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彩職賢美|沖縄の輝く女性にインタビュー

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2017年1月26日更新

[彩職賢美]森井農園の森井智恵子さん|島の恵みを商品に

自家農園の農作物を使ったピパーツの粉末、グアバやローゼルのジャム、青パパイアの漬物。森井智恵子さん(64)の商品は、すべて無添加で手作り。「素材の色、香り、食感を大切にしながら、自分の目で確かめられる分を作っています」。丁寧に作られた商品は、出荷すれば売り切れる人気ぶりだ。


 

素材生かし無添加、手作り

農作物を加工、商品化
森井農園

森井智恵子さん


「漬物とジャム、食べてみてください。ミルクティーにピパーツ胡椒を一振りすると、おいしいですよ」。農園で気さくにもてなしてくれた森井さん。

島産100%のピパーツ胡椒は豊かな香りがフワッと鼻から抜ける。ローゼルのジャムは甘酸っぱくて爽やか。ジャムの原材料は、果物、砂糖、島産レモンとシンプルだ。「あえて無添加と書かなくてもいいくらい、当たり前のこと」という言葉に、消費者への思いと作り手の誇りが見える。商品は、ジャムや漬物、ハーブティーなど11種類。年間7000個ほどを出荷している。

数百種類以上の植物がある農園を歩きながら、「これはレモングラス、もむと香りがいいでしょう。ローゼルの実は、ちょうど旬です」と、話が止まらない。農大出身でハーブの資格を持ち、植物への造詣は深い。

商品を作り始めたのは、22年前。台風で大量に落ちた農園のパパイアを「つまみにでも」と漬物にしたのがきっかけだった。生活改善グループで販売していたものを市の特産品コンテストに出展し、奨励賞を受賞。その後、自宅の隣に加工所を構え、本格的に商品化。当時、市の特産品を作ろうという機運があり、行政のサポートも後押しになった。観光客の増加に伴い、生産数は増えた。

2006年、農産物を加工する女性起業者らと「南の島々から八重山の味つたえ隊」を結成。複数の商品を組み合わせた「お歳暮セット」を販売し、農産物を使った調味料「島ソース」を開発。祭りやイベントに積極的に参加し、地域活性化に一役買っている。隊は2012年、農林水産業に関わる地域団体を認定する「沖縄、ふるさと百選」に選ばれた。来月、「県農林漁業賞」を受賞予定だ。


糸満市出身で結婚を機に、石垣へ。移住を決めたのは、大学時代の経験だ。実家は裕福で、おとなしい子どもだったが、「技術を身に付け、海外に住みたい」と東京農業大学に進学。海外移住研究部に入った。木の伐採や土砂崩れを起こした田んぼの復旧作業も経験。「嫌な仕事も、淡々とやればいつかは終わる」と根性がつき、どこでも生きられるフロンティア精神を学んだ。1年の夏休み、石垣島のパイン農家に住み込み、自然が残る風景に「開拓地のよう」と感動した。

「家の周囲は畑で窓の外には於茂登岳、電気を付けたら虫がえらく入ってくる。テレビも扇風機もなかったけど、不便さや貧しさは海外の開拓地を連想させて、かえってワクワクした。単純なんです」と笑う。

夫の農園を手伝い、4人の子を育て上げた。「農作業後、海で手作りボートで遊んだり、おにぎりを持って公園に行ったり。家族6人いつも一緒で楽しかった」。それには、親族や地域の支えがあった。「近所のオバアたちが野菜をくれ、子どもの面倒を見てくれた。本当に感謝しています」。

島に根を張り38年。豊かな自然や人と人の間合い、ゆったりとした時間の流れが心地良い、という。「大好きな場所で、自由な仕事があり、小さいながらも自分で切り盛りして、社会とつながっている」と、生き生きと話す。いずれ農園で、ハーブの体験ワークショップを開くのが夢。「目指すはオンリーワンの暮らしです」。飾らず、明るい。自然体の生き方に魅了される。





ジャムやハーブティー、漬物 11種類の商品
現在の商品は、パイン、グアバ、ローゼル、パインとパパイアのミックスの4種類のジャムと、「青パパイア南(ぱい)ぬ島の佃煮(つくだに)」「青パパイアの島んちゅ漬け」、調味料の「島唐辛子」、「ピパーツ胡椒」、ハーブティー「レモングラス」「ローゼル」、寿司のもとの「青パパイアちらし膳」。紅型をモチーフにしたオシャレなパッケージは、娘さんのアイデア。商品は石垣空港や石垣市特産品販売センター、JAゆらてぃく市場などで販売されている。

<問い合わせ>
森井農園
0980-82-9602




フレッシュさ生かす職人技!
取材中、森井さんに近所の農家から「畑を更新するけど、パイナップル要る?」と連絡があった。写真は、そのパイナップル。自家栽培を中心に、近所や次男の畑で採れた、フレッシュな農作物を用いている。ジャム作りで最も神経を使うのは、煮詰め具合だ。「足りないととゆるくなり、長過ぎると素材の風味が損なわれる。たかがジャム、されどジャム。特にパインは固まりにくいので、コツが要ります」。素材の持つ色や香り、食感を生かすため独自の方法を用いて、日々工夫を忘れない。フレッシュさを生かすのは、一瞬を見逃さない職人技だ。

 

森井さんのハッピーの種

Q.趣味はありますか?

ハーブに関することです。3年前にハーブソサエティー初級インストラクターを取得したのですが、その時の仲間と集まり、山歩きをしたり、ハーブ料理やハーブクラフト作りなどをしています。若い人との交流は楽しいものですね。フクギやガジュマル、クチナシを使って、ストールを草木染めしたことも=右上写真。植物から、こんなにキレイな色が出るんですよ!



石垣島を含む八重山では、そばにピパーツ胡椒、ジューシーの香り付けにピパーツの葉、長命草は刺身のツマや和え物に、月桃をお茶や虫よけ、繊維を取ってアンツク(バッグ)にと、ハーブが普段の生活の中に気軽に取り入れられている。昔の人の知恵はすごいなと感じます。




PROFILE
森井智恵子(もりい・ちえこ)1952年糸満市出身。1977年東京農業大学栄養学科卒業。卒業後沖縄に戻る。78年、結婚を機に石垣島に移住。95年、農作物を使った商品作りを始める。97年、石垣市の特産品コンテストで奨励賞を受賞。加工所を設け、本格的に商品化に乗り出す。ハーブソサエティー初級インストラクター。私生活では、4人の子、5人の孫がいる。



週刊ほーむぷらざ「彩職賢美」|輝く女性を応援!
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撮影/比嘉秀明・編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1241>
第1541号 2017年1月26日掲載

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おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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