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2015年9月17日更新

[彩職賢美]たから産婦人科 助産師の赤嶺美保子さん|連携し問題解決 子のため母支援

日々誕生する新しい「いのち」の現場で働く助産師の赤嶺美保子さん(63)。生と死が交差する現実に一度は離職したが、自身の出産と子育てを経験し、復職。専門学校の教師を務めた後、現在は個人病院の「助産師外来」担当として妊婦や新米ママ、悩みを抱える女性たちを支援する。DVや貧困など、女性を取り巻く社会問題にも向き合い、寄り添い続ける。

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安心し育児できるように

女性や母子の心と体の健康を見守る
たから産婦人科 助産師

赤嶺美保子さん


助産師になり、36年。取り上げてきた新生児は数知れない。「新しい命の誕生は実に神秘的。産声を聞く瞬間に立ち会える、こんな光栄な仕事はない」と目を潤ませる。

現在は那覇市のたから産婦人科で開設中の助産師外来で子育て支援と保健指導を担う。

「子育て支援」は主に妊婦や新米ママのサポート、育児相談などを担当。「初めての育児で育児書や周りの情報に流され、不安や悩みを抱える人も多い。育ち方は子どもそれぞれ。専門家としてはもちろん、2児を育てた先輩ママとしても、アドバイスする」とにっこり。

また、「孤独の中で育児をするママに、気分転換してほしい」と、隣接する多目的スペース「ちびっこHOUSE」で新米ママたちの交流の場を作った。ここではベビーマッサージ教室などを企画、指導にもあたる。

一方で「助産師外来を訪れるのは、母親になるために相談に来る女性ばかりではない」と赤嶺さんは表情を硬くする。望まない妊娠・出産、DVや虐待、貧困。性的マイノリティーなど、「保健指導」の場では女性を取り巻く社会問題に直面。多くのニーズが見えてきた。

相談者には、声掛けのタイミングや話しの間など、状況を判断しながら不安を和らげ、話しやすい空気を作る。そして同じ目線に立ち、丁寧にその声に耳を傾ける。課題が見えたところで連携する機関や地域など、しかるべき場所につなげる。

「子どもと楽しく過ごしたいと願っても、貧困やDVなどが原因でかなわない人も多い。助産師にできることは限られているが、関係機関と協力し、相談者をフォローしていかなければならない」と意気込む。



ちびっこHOUSEで行われるベビーマッサージ教室でママたちに指導をする赤嶺さん=中央。ほかにもマタニティークラスや離乳食の相談なども行われている


赤嶺さんの原点は生まれ育った座間味村での経験。「子育ても暮らしも何でも助け合ってきた」と振り返る。

看護学校卒業後、看護師として勤務した後、助産の道に。当時勤めていたのは総合病院。誕生はもちろん、新生児の死に立ち合うことも。その過酷な現実に無力さを覚え、離職した。

その後、出産を経て、専門学校の教師に。そこでは妊娠、出産から思春期、更年期など女性を取り巻く事象をトータルでケアする「母性看護学」を担当。授業を通し、「母子や女性のケア、地域での援助の必要性を強く感じ、現場に戻りたいという思いが再び芽生えた」という。

出産を経験したのも大きい。「わが子を抱き、子どもは宝ということが分かった。子どもが第一。だからこそ、子育てに不安を感じたり失敗したり。ママたちの気持ちが分かった。なにより、子どもが健やかに育つためには、安心した育児環境が必要」との実感があった。

2003年、同院の「助産師外来」に転職。「これまでの経験から、自分の価値観やマニュアルを押し付けるのではなく、柔軟に女性の声を聞き、寄り添うことを教えられた。今までは教科書どおりだったかも」と話す。

「子どもたちのためにもママを支えたい。女性の課題にもっと光が当たる社会になれば」と赤嶺さんは願う。

 

 

赤嶺さんのハッピーの種

Q.リラックスの秘けつは?

産婦人科は年中無休、24時間体制です。出産には医師や看護師、助産師、そして多くの職員が関わっています。当院は小回りの利く開業医院なのでアットホームですが、緊張の連続で責任も重い仕事。
そこで毎朝、出勤前にコーヒーの豆を挽き、庭にあるデッキのイスに腰掛け、庭の花や木を眺めつつコーヒーを飲みます。この「おひとりさまコーヒータイム」が至福の時間。
総合病院に勤務していたころは3交代制で体もきつかったけれど、今は夜10時には就寝し、朝5時には起きています。早起きも得意ですよ。
 

Q.趣味はありますか?

県内外、国内外問わず山登りに行くことです。
近い場所だとやんばるの山にはよく行きます。県外だと信州の山が多いでしょうか。昔、上の子がまだ小さかった頃、背負子に背負い、親子3人で四国の山を登山した思い出もあります。


たから産婦人科
098-853-3511
http://takarakko.jp/



PROFILE
赤嶺美保子(あかみね・みほこ)1951年座間味村生まれ。75年千葉県の日本三育学院短大看護学科(現・日本三育学院大学)卒業後帰沖、県内の病院に3年間勤務。79年県立那覇看護学校助産学科卒業、沖縄赤十字病院の産婦人科に勤務。94年、沖縄看護専門学校の専任教員として「母性看護学」を教える。2003年からたから産婦人科の「助産師外来」に勤務。2児の母。



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撮影/比嘉秀明・編集/相馬直子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1185>
第1470号 2015年9月17日掲載

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編集者
横浜市出身、沖縄で好きな場所は那覇市平和通り商店街周辺と名護から東村に向かう途中のやんばる。ブロッコリーのもこもこした森にはいつも癒されています。「週刊ほ〜むぷらざ」元担当。時々、防災の記事なども書かせていただいております。被災した人に寄り添い現状を伝えること、沖縄の防災力UPにつながること、その2点を記事で書いていければいいです!

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