彩職賢美
2016年3月3日更新
メイクで引き出す 彩りと存在感|メイクアップアーティスト 守本理恵さん
今週の彩職賢美は、メイクアップアーティスト・ハンドメイドコスメティシャン 守本理恵さん
才色兼備『沖縄で働く女性は、強く、美しい』
植物を使いスキンケアアイテム作りも
作り出す豊かさ伝えたい
メイクアップアーティスト
ハンドメイドコスメティシャン
守本 理恵さん
24歳で単身渡仏以来、メイク一筋。国内外のファッション雑誌などモードの先端で活躍する守本理恵さん(43)。震災を機に南城市へ移住後は、「一人一人が持つ花のような彩りや存在感を引き出したい」とメイクアップレッスンも展開中だ。一方で植物に興味を持ち、スキンケアアイテム作りの講師としても活動。伝えたいのは「作り出せる豊かさ」だ。
ファッションの現場で常に求められるのは「クリエーティビティー」。イメージを具現化する引き出しの多さはもちろん、いかに新鮮さや独創性をプラスするかが腕の見せどころ。「厳しいけれど、新しいものを生み出すことができるのもまた現場」とやりがいを語る。
インスピレーションを受けるのは、映画や音楽、美術、自然の造形美や色彩までと幅広く、「時代が求める物は何か」と敏感に反応し続けている。
メイクに興味を持ったのは理容師の母の影響。「考えるより気持ちが先に行くタイプ」で、美容学校卒業後は親の反対を押し切ってパリのメイク学校へ。東京、ニューヨークとトップアーティストの下で腕を磨き、30歳で東京のプロダクションに所属。以来、VOGUE、ELLEなど名だたる雑誌やCM、著名人のメイクを手掛けてきた。
転機は2011年。東日本大震災を機に、1歳の長男を抱え沖縄に移住した時のこと。東京での仕事は続けていたものの、「今までのように仕事はできない」と諦めていたという。そんな折、請われるままに友人らに教えたのがレッスンの始まり。「『こんなに変わるの!』と感動してくれる生徒さんを見るたび違う喜びがある。一人一人が持つ、花のような彩りと存在感を引き出したい」と新たな道を見いだした。
生徒は美容部員などのプロから一般女性まで、国籍も職業も年代もさまざま。骨格やなりたいイメージを踏まえたレッスンは、丁寧で分かりやすいと好評だ。「教えることで私の理解も深まる。キャリアも豊かになった」と実感。今ではウエディングメイクも手掛け、活躍の場を広げている。
ハンドメイドコスメティシャンの顔も持つ守本さん。緑豊かな南城市で、植物に興味を持ったのがきっかけだ。
「近所のおばぁが、やけどならアロエがいいよと教えてくれて。ヒアルロン酸も含まれているから日焼け後にもいいし、食べると免疫力も上がる。身近にあるなら使わない手はないでしょ」。のめりこみやすい性格も手伝って野草や自然農法の勉強会、手作りコスメのプロフェッショナルコースも受講。畑を耕し野菜や麦、大豆を育て、料理、掃除、化粧品作りにと役立てている。
震災で先が見えない中、移住して感じたのが人も自然の一部ということ。「生活に必要な物すべてを人に頼るのは悲しい。一つでも二つでも、自分で作り出せることが幸せにつながるから」。根底にあるのは、家族の幸せと子どものたくましい成長を願う母の思い。それがオーガニック化粧品の開発やコスメ作りを含めたライフスタイルの提案へ発展。今は華やかなファッションの現場と自然と触れ合う暮らし、「両方でバランスが取れている」。
「沖縄で違う世界を知り、私の可能性も引き出してもらった。そんな人の温かさやものづくり、メイクの話も含め、学んだ知恵を本にしてシェアしたい」。目標が形になる日も、遠くはなさそうだ。
家庭のキッチンで植物を使ったハンドメイドのスキンケアアイテム作りをレクチャーする守本さん(写真は本人提供)
守本さんのハッピーの種
Q.ONとOFFの切り替え法は?趣味のピアノと陶芸。特にピアノは鳥が寄ってくるぐらい。弾いていると自分が癒やされます。
畑仕事も切り替えにはピッタリ。植物のにおいや太陽のあったかさを感じながら畑に居ると、滞っていたものがジワーッと大地に溶け出す気がする。植物は種から成長するんだとか、こうすると虫に食べられちゃうんだとか、毎回発見もあって。自然のリズムを感じる癒やしの時です。
Q.化粧品を3年買ってないってホントですか?
ホントです。40歳を過ぎて老化が気になり始めてからは、ノニで化粧水を作ったり、酒かすでパックをしたり。ゴーヤーも洗浄力があるからスクラブにいいですよ。料理感覚で、キッチンでまとめて作っています。
メイクアップの依頼やレッスンの問い合わせは下記まで
080-5056-3006
mail/riemorimotomakeup@gmail.com
HP/http://www.makeup-okinawa.com/
PROFILE
守本理恵(もりもと・りえ)1973年群馬県出身。東京マックス美容専門学校卒業。97年渡仏、パリのクリスチャンショボーでメイクを学ぶ。YUKI女史に師事した後、2001年渡米、撮影やショーでキャリアを積む。03年帰国、プロダクションに所属し雑誌や広告、セレブリティーのメイクで活躍。11年、震災を機に沖縄へ移住。現在、ハンドメイドコスメティシャンとしても活躍
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明・編集/徳正美
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1207>・第1494号 2016年3月3日掲載