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2016年9月29日更新

[彩職賢美]ハートライフ病院 砂川克子さん|全力で乳がんケア

「絶対に一人にさせない」。乳がん患者を看護し13年、砂川克子さん(58)のモットーだ。県内の乳がん看護認定看護師第一号で、リンパ浮腫指導技能者。乳がんの告知から治療法の説明、治療によるリンパ浮腫のケアなど、さまざまなサポートを行う。「乳がんは術後10年間、経過を見る病気。前を向いていけるよう、サポートしたい」と、患者と家族に寄り添う。

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「絶対に一人にさせない」

ハートライフ病院
乳がん看護認定看護師
リンパ浮腫指導技能者
砂川 克子さん



初めて会った時、花のような笑顔に魅了された。病院内を移動時、出会う患者に「○○さん、調子はどう?」と声を掛ける。明るい雰囲気に、自然と周囲に笑顔が生まれる。「遠慮しないでね。いつでも相談に乗るよ」が口癖。退院後もメールで相談を受けたり、飲みに行くことも。患者との距離は近い。

子どものころは恥ずかしがり屋で引っ込み思案だったが、仕事をするうちに性格が変わった。「目標とする、フレンドリーな先輩がいたんです。私が心を開けば、患者さんも開いてくれるかなと思っています」。内科、小児科、NICUと、さまざまな経験を積んできた。

「やればやるほど、自分が成長できる仕事。看護師は使命」と言い切る。そう思うようになったのは13年前、自身ががんの疑いで手術を受けてからだ。

足の裏に突然、1センチの黒いほくろができた。医師からがんかどうか手術をしないと分からない、と告げられ、大きなショックを受けた。当時、末の娘は1歳。「娘に何も伝えていない。今死ぬわけにはいかない、と手術室に泣きながら入った。結果が出るまでの2週間、針のむしろでした」。結果は良性だった。

その直後、乳腺外来に配置された。乳がんの告知を受ける患者と、ショックを受けた自分がオーバーラップした。「私が告知された時、看護師はおらず、医療関係者からの言葉かけもなく辛かった。患者さんに、ああいう思いはさせたくない」。

自身の経験から、一番大事にしているのが告知の場面だ。「できる限り同席して、患者さんの様子を見ながらカウンセリングをします」。働き盛りの女性に多い乳がんは、結婚、出産、育児、仕事など、年代によって抱える問題が違う。「お母さんが乳がんになると、家族への影響も大きい。患者さんやご家族の悩みを聴いて共有し、一緒に向き合います」。

乳がん治療は手術、薬物療法、放射線療法とさまざまな方法を組み合わせて行われ、患者が治療法を選ぶこともある。「より専門的な知識を持ち、サポートしたい」とリンパ浮腫指導技能者を取得。その後、乳がん看護認定看護師を目指すことに。2011年5月、東日本大震災の余震が続く時期で、家族からは止められたが、「何があるか分からないからこそ、今取得しないと後悔する」と受験を決意。半年間千葉大学で研修を行い、翌年資格を取得した。「私の役割は、医師の説明を、よりイメージしやすいよう患者さんに伝えること。自分の意思で選び、納得して治療に臨んでほしい」。

昨年、ハートライフ病院でリンパ浮腫看護外来を立ち上げた。リンパ浮腫は、乳がん治療などの後遺症でおこる、手足がむくむ病気。「予防や治療ができるのですが、まだあまり知られていません。改善できることを、多くの人に知ってもらいたい」。

看護師になり36年。「がんは特に、患者さんだけでなくご家族にもショックが大きい。正しい情報を共有し、想いを込めてご家族を含めたケアをしていきたいですね」。好きな言葉の「真心」は、砂川さんを体現している。




 

がっつり体育会系

7年前から、週に5回筋トレをしている砂川さん。トレーニングマシンを使って、いくつもの筋トレに取り組んでいる。もともと体を動かすことは好きで、学生時代はバレーボール部に所属し、30代、40代はマラソンにはまっていた。「やり始めたら極めたい」性格で、NAHAマラソンを3時間台で完走したことも!

撮影協力/疾病予防運動施設リューザ




 

好きな音楽はバッハ

クラシック、中でもチャイコフスキーやバッハの曲をよく聴く。一番好きな曲は、バッハの「G線上のアリア」




 

ずっと本を読んでいたい

自由な時間があれば、1日中本を読んでいたいたいほどの活字中毒で、純文学のジャンルが好き。写真は愛読書の「新祈りの道」(高橋佳子著)


 

「リンパ浮腫はケアできる」

乳がんや婦人科・泌尿器科のがんの治療で行われるリンパ節切除や、放射線治療の後遺症で腕や足がむくむことをリンパ浮腫という。 砂川さんは「リンパ浮腫にならないように予防したり、早期発見して治療をすることで重症化を防ぐことができる。そのためにも初期症状、合併症やその対処法について知識を持つことが大事」と話す。ハートライフ病院では、リンパ浮腫看護外来を開設している。
<問い合わせは>
ハートライフ病院地域連携室
098-895-6710
 


 

砂川さんのハッピーの種

Q.子育てと家事の両立は?

私は本当に仕事オンリーで、子どもの病気で仕事を休んだことがないんです。夫と両親にサポートしてもらい、感謝でいっぱいです。
仕事を辞めたいと思ったことは、一度だけ。最初の子を身ごもったときにお母さんだけをやりたい、と悩んだのですが、相談に乗ってもらった周りの先輩から、「自分たちにできたから、できるよ」と励まされて。今では、仕事を続けて、よかったなと思っています。


 



PROFILE
砂川克子(すながわ・かつこ)1958年宮古島市生まれ。1980年、県立那覇看護学校卒業。総合病院に勤務し、小児科、内科、外来などを経て、。2008年リンパ浮腫指導技能者資格を取得。2012年、県内で初めて乳がん看護認定看護師となる。2014年ハートライフ病院へ。那覇看護専門学校、沖縄専門看護学校の非常勤講師。4人の子がいる。



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撮影/泉公(ララフィルム)
編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1229>
第1524号 2016年9月29日掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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