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2012年7月12日更新

未来をつくる力「時と命の繋がり感じて」

海んちゅ写真家 古谷千佳子のフォトエッセー「潮だまり」vol.16



未来をつくる力

時と命の繋がり感じて



白い砂浜から一斉に沖へと漕ぎだす木製の帆掛けサバニ。つい30年ほど前まで海人(うみんちゅ)たちは風の力と潮の流れを利用し、人力で舟を漕ぎ、漁をするため、物資を運ぶため、広大な海を行き来していたのだ。その知恵を絶やさぬために、昔ながらの木造サバニで座間味から那覇までを競い合うサバニ帆漕レースが7月1日に開催された。夏の青空の下、一昔前の海人たちの姿を想像しながら、私は息子とともに大海原へ向かうサバニを見送った。

「妻が乳飲み子を残して先に逝ってしまった時、海人として海に潜れなくなった。船大工だった自分のオジィの仕事を思い出しながら船を作る仕事を始めた。陸での仕事なら子どもを見ることができる」と、石垣島に住む船大工のオジィから聞いた話を思い出した。

「海に潜るのが好きなのに潜れない。海へ出られないとは、どんな心境だったのか?」「自然とそうなった」オジィは静かに語ってくれたが、当時独り身だった私には想像ができなかった。

母と私、この二点の命の繋がりしか、リアルに認識できなかった時代の私は「目標」というゴールをつくり、がむしゃらに進んでいた。グラつかないようにスピードを出すことでしかバランスが取れなかった。ゴールがクリアされると、次なる夢を描き前進する。

わが子の誕生により、点が三つに増えた時、母以前のご先祖様と子ども以降の未来が見えるようになり、悠久の時と命の繋がりを心身で感じられるようになった。そして、ゆっくり歩むこともできるようになった。「我慢」という無理あるものでなく、「その時」が来るのを待てる。いろいろなものを受け入れられるように、自然とそうなった。

お母さんになる…いやいや、自然を見る必要のある仕事や暮らしの中で、人間に必要とされる能力とは、そういうものではないかと思う。街にいるより自然の中でのスケールは大きくなる。尺度が大きくなると見えるものも広がる。そんなモノサシを得たことは人間として、表現者として最高の宝を頂いたと思っている。

昔の海人の追体験をしているサバニの漕ぎ手たちは、大海原で何が見えるのだろうか。自然の中に、未来をつくる力の源があると信じる私は、希望の塊を海辺から見た。




[文・写真]
古谷千佳子(ふるや・ちかこ)
那覇市在住。海の仕事に従事、スタジオで写真を学んだ後、海人写真家となる。海・自然と調和する人々の暮らしや伝統漁業を主に撮影する。TBS「情熱大陸」などに出演。著書に 写真集「たからのうみの、たからもの」、「脳を学ぶ2」(共著)ほか
http://www.chikakofuruya.com/​
 
古谷千佳子のフォトエッセー『潮だまり』
週刊ほーむぷらざ 第1307号・2012年7月12日に掲載

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