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2011年6月9日更新

サバニ「島を繋ぎ 知恵を繋ぐ」

海んちゅ写真家 古谷千佳子のフォトエッセー「潮だまり」vol.03

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サバニ

島を繋ぎ 知恵を繋ぐ



ほんの一昔前まで、サバニは海人が漁で使うだけでなく、人はもちろん、日常の荷物運搬に欠かせない生活の足だった。

台風2号に振り回された後の快晴の日、とある雑誌の取材を受けるために浜比嘉島へ渡った私は、オジィの舟を眺めながら改めて思い出した。

本島と離島が橋で繋がるまでは、オジィのサバニは、家族を本島へ送り出すために海上を往来した。また八重山では、西表島から木材を運ぶため、周囲の島を往復する運搬船として使われていたという。

「サバニ」といっても、使い方によって形が変わる。海人たちが使うサバニは、少しでも早く漁場へ着くようにスピードを重視したため安定性は悪いが、物を運ぶためのサバニは船底が平らで安定して浮かぶことが出来る。
まだサバニにエンジンがついていない戦前の話。

木製のサバニに帆を立てて、遠く海外まで航海していた海人たちは、急に沸き起こった台風による強い風や、大きな波で逃げ場を失った時は、サバニをわざとひっくり返したという。海人たちは、裏返ったサバニの中に入り、舟の中の空気で呼吸した。南の海は水温が高いため、冬であっても凍死することはない。時化がおさまると、舟をくるりと元の状態に戻して、船内に入った海水を汲み出し、再び走り出すのだ!

そんなシーンを、私はこれまで漁港やリーフ内で行われる「ハーリー」の転覆競技でたびたび見てきた。

また近年では、外洋を帆走するフーカキサバニ(帆を掛けたサバニ)を見る機会が増えた。2000年から毎年開催されている「サバニ帆漕レース」に参加しているチームの木製サバニだ。サバニを漕ぐということは、先人の操船技術や知恵に近づくこと。自然から離れた暮らしの中で大切なものを失いつつ有ると感じた人々が今、新しい形で海に出始めたのだ。

今年のレース(2011年)は6月26日(25日は前夜祭)。海人の魂を感じに、私も応援に行ってこようっ!




[文・写真]
古谷千佳子(ふるや・ちかこ)
那覇市在住。海の仕事に従事、スタジオで写真を学んだ後、海人写真家となる。海・自然と調和する人々の暮らしや伝統漁業を主に撮影する。TBS「情熱大陸」などに出演。著書に 写真集「たからのうみの、たからもの」、「脳を学ぶ2」(共著)ほか
http://www.chikakofuruya.com/
 
古谷千佳子のフォトエッセー『潮だまり』
週刊ほーむぷらざ 第1250号・2011年6月9日に掲載

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