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2024年9月19日更新

スポーツ障害(テニス肘)による長引く痛み|ラケット使うスポーツに多い[新治療で長引く痛み改善⑧]

文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)

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糖尿病患者は発症リスク3倍!

ひじが痛くて重い物を持てない、ペットボトルのふたが開けられない、などの症状はテニス肘の可能性が高いです。テニス肘の正式名称は外側上顆炎と言い、モヤモヤ血管による長引く痛みが生じる疾患の一つです。テニスやバドミントンなどラケットを使うスポーツでひじの外側を痛めることが多いため、そう呼ばれています。中指の付け根からひじ外側につながる筋肉に慢性的な負荷がかかると、ひじの外側にくっついている筋肉の端(腱)またはその周囲に炎症が生じ、長引く痛みとなってしまいます。

 


調理師・保育士などにも

テニス肘は20代の若年層では発症率が低く、30~50代に多く発症します。発症率は約1~4%とされ、男女差は明らかでありません。ひじ外側への慢性負荷で痛めることが多いので、スポーツ障害だけでなく、仕事で同じ動作を繰り返す方(調理師、保育士など)や、ひじへの負担が大きい方ほど重症になる傾向があります。また糖尿病の持病がある方は、ない方と比べて発症率が約3倍高いとの報告があり、慢性的な高血糖状態もテニス肘の発症に影響があると考えられています。


ひじ関節に直接投薬

テニス肘では重たい物(フライパン・買い物した荷物)を持つ、ひじを回す(雑巾しぼり・ドアノブをひねる・ペットボトルのふたを開ける)などでひじの外側の骨のでっぱりやその周囲に痛みが生じます。重症の方は500㍉㍑ペットボトルなど軽い物を持つ動作でも痛みが生じます。3カ月以上の長引くひじの痛みを感じている方は、超音波検査で痛みの部位に異常新生血管(モヤモヤ血管)を確認できることがあります。

重症になると、安静、鎮痛薬、ステロイド注射、理学療法(ストレッチ・筋力訓練)、サポーターといった治療では、なかなか改善しない方も多数いらっしゃいます。また一時的に軽減しても同じような負荷をかけると元に戻ってしまう方は重症と考えて良いです。

こうした方に当院では運動器カテーテル治療を提供しています。手首の脈が触れる血管からカテーテルを入れ、ひじ関節まで進め直接投薬することでモヤモヤ血管を減らす治療です。歯科治療と同じ部分麻酔で、片側60分程度です。


治療後はセルフケア重要

経過には個人差がありますが、おおむね1~2カ月後に痛みが軽減する方が多いです。元々、ひじへの慢性負荷で痛みが出ているため、治療後はセルフケアが重要になります。仕事やスポーツなどで痛みが出る動作は極力避け、徐々にペースアップを。理学療法の併用も効果的です。



執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医・指導医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院


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毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1937号 2024年9月19日掲載

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