健康
2024年5月23日更新
変形性膝関節症など 膝が痛い!|足・腰も治療すると効果的|鈴木先生が解説 なるほど鍼灸④
体を各パーツに分けて診る西洋医学と異なり、全身を診る東洋医学の鍼灸は、西洋医学だけでは改善しない症状の最後の砦ともいわれます。このコーナーでは、鍼灸の治療法や特徴、その魅力について、沖縄統合医療学院の鈴木信司先生が分かりやすく紹介します。
鈴木信司(沖縄統合医療学院 学校長)
琉球大学大学院医学研究科博士課程修了、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。医学博士。県内初の鍼灸学科を開講した沖縄統合医療学院学校長。はり師・きゅう師等の国家資格と養成教員資格を持つ。全日本鍼灸学会、日本伝統鍼灸学会等に所属。
屈伸しかしない関節
体重の増加が負荷に
中高年世代の女性が鍼灸治療に来院するお悩みの中で、特に多いのが慢性的な膝の痛み。中高年女性の場合、その原因は変形性膝関節症であることが多いです。変形性膝関節症は加齢や体重の増加などが引き金となります。また、膝は他の関節と異なり、回転せず屈伸運動しかできない関節であるため、体重の負荷がかかりやすく、体重が増えると負担が大きくなるのです。また、半月板損傷や前十字靭帯損傷など膝にけがをした経験のある方も、変形性膝関節症になるリスクが高くなります。
変形性膝関節症は、気候の変化が症状を悪化させる要因となり、冷えると痛みが増すという方が少なくありません。鍼灸治療では、対症療法として痛みを抑えるのと同時に、血流などの循環を改善して根本的な治療を目指します。
鍼と灸で血流促進
慢性的な痛み改善
慢性的な膝の痛みを治療する際は、鍼と灸で筋肉の血流などの循環を改善し、痛みなどの症状を軽減しながら、灸で温めて冷えを改善します。膝の周囲には、膝のお皿の上端内側から指3本分上にある「血海」、膝のお皿の上端外側から指3本分上にある「梁丘」、膝のお皿のすぐ下にある内側のくぼみの「内膝眼」、外側のくぼみの「外膝眼」などのツボがあり、鍼と灸の治療を行います。
さらに膝を動かす際には、膝だけではなく、腰、股関節、足関節も連動するため、これらの関節に関わる筋肉である、体重を支える腰背部の脊柱起立筋、太ももの前面にある大腿四頭筋、太ももの裏側から膝裏にかけての筋肉群であるハムストリングス、膝から足首にかけてのふくらはぎに位置する下腿三頭筋なども同時に治療すると、より効果的です。
数ある足のツボの中でも特に有名なのが「足三里」です。「足三里」は、膝の外側のお皿の下から指4本分下がった位置にあり、足の疲れを癒やす健脚のツボとして知られています。日本各地を歩いて旅した江戸時代の俳人の松尾芭蕉は、「おくのほそ道」の序文の中で、三里のツボに灸をすえて旅支度を始めたと記しています。
慢性的な膝の痛みは鍼灸が治療を得意とする分野ではありますが、高度のО脚やX脚が認められる方、我慢できないほどの痛みがある方は、医療機関を受診してください。
ツボ刺激でセルフケア
慢性的な膝の痛みに
本文で紹介した膝のお皿の上端内側の上にある「血海」、上端外側の上にある「梁丘」、膝のお皿の下端内側にある「内膝眼」と、下端外側にある「外膝眼」に加え、膝のお皿の下端外側から指4本分下がった「足三里」、膝の内側の下にある太い骨のすぐ下に位置する「陰稜泉(いんりょうせん)」も合わせてセルフケアを。親指で心地よい程度の強さで10秒ほど押します。市販の貼るタイプのお灸で冷えを改善するのもおすすめです。温熱レベルが低いものから試してみましょう。
鍼灸ひとくちメモ
市町村での助成制度
県内17市町村(糸満市、浦添市、うるま市、沖縄市、嘉手納町、北中城村、宜野湾市、北谷町、豊見城市、中城村、那覇市、南城市、西原町、南風原町、八重瀬町、与那原町、読谷村)の国民健康保険加入者と、一部市町村の後期高齢者医療保険加入者に対して、「はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧施術利用券」が発行されています。自治体によって年間利用枚数が異なり、助成額も利用券1枚につき800円または1000円となっていますので、お住まいの自治体に確認してみてください。また、県市町村職員共済会、県教職員共済会の加入者にも助成事業があります。
↓画像をクリックすると、沖縄統合医療学院のホームページに移動します
琉球大学大学院医学研究科博士課程修了、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。医学博士。県内初の鍼灸学科を開講した沖縄統合医療学院学校長。はり師・きゅう師等の国家資格と養成教員資格を持つ。全日本鍼灸学会、日本伝統鍼灸学会等に所属。
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屈伸しかしない関節
体重の増加が負荷に
中高年世代の女性が鍼灸治療に来院するお悩みの中で、特に多いのが慢性的な膝の痛み。中高年女性の場合、その原因は変形性膝関節症であることが多いです。変形性膝関節症は加齢や体重の増加などが引き金となります。また、膝は他の関節と異なり、回転せず屈伸運動しかできない関節であるため、体重の負荷がかかりやすく、体重が増えると負担が大きくなるのです。また、半月板損傷や前十字靭帯損傷など膝にけがをした経験のある方も、変形性膝関節症になるリスクが高くなります。
変形性膝関節症は、気候の変化が症状を悪化させる要因となり、冷えると痛みが増すという方が少なくありません。鍼灸治療では、対症療法として痛みを抑えるのと同時に、血流などの循環を改善して根本的な治療を目指します。
鍼と灸で血流促進
慢性的な痛み改善
慢性的な膝の痛みを治療する際は、鍼と灸で筋肉の血流などの循環を改善し、痛みなどの症状を軽減しながら、灸で温めて冷えを改善します。膝の周囲には、膝のお皿の上端内側から指3本分上にある「血海」、膝のお皿の上端外側から指3本分上にある「梁丘」、膝のお皿のすぐ下にある内側のくぼみの「内膝眼」、外側のくぼみの「外膝眼」などのツボがあり、鍼と灸の治療を行います。
さらに膝を動かす際には、膝だけではなく、腰、股関節、足関節も連動するため、これらの関節に関わる筋肉である、体重を支える腰背部の脊柱起立筋、太ももの前面にある大腿四頭筋、太ももの裏側から膝裏にかけての筋肉群であるハムストリングス、膝から足首にかけてのふくらはぎに位置する下腿三頭筋なども同時に治療すると、より効果的です。
数ある足のツボの中でも特に有名なのが「足三里」です。「足三里」は、膝の外側のお皿の下から指4本分下がった位置にあり、足の疲れを癒やす健脚のツボとして知られています。日本各地を歩いて旅した江戸時代の俳人の松尾芭蕉は、「おくのほそ道」の序文の中で、三里のツボに灸をすえて旅支度を始めたと記しています。
慢性的な膝の痛みは鍼灸が治療を得意とする分野ではありますが、高度のО脚やX脚が認められる方、我慢できないほどの痛みがある方は、医療機関を受診してください。
ツボ刺激でセルフケア
慢性的な膝の痛みに
本文で紹介した膝のお皿の上端内側の上にある「血海」、上端外側の上にある「梁丘」、膝のお皿の下端内側にある「内膝眼」と、下端外側にある「外膝眼」に加え、膝のお皿の下端外側から指4本分下がった「足三里」、膝の内側の下にある太い骨のすぐ下に位置する「陰稜泉(いんりょうせん)」も合わせてセルフケアを。親指で心地よい程度の強さで10秒ほど押します。市販の貼るタイプのお灸で冷えを改善するのもおすすめです。温熱レベルが低いものから試してみましょう。
鍼灸ひとくちメモ
市町村での助成制度
県内17市町村(糸満市、浦添市、うるま市、沖縄市、嘉手納町、北中城村、宜野湾市、北谷町、豊見城市、中城村、那覇市、南城市、西原町、南風原町、八重瀬町、与那原町、読谷村)の国民健康保険加入者と、一部市町村の後期高齢者医療保険加入者に対して、「はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧施術利用券」が発行されています。自治体によって年間利用枚数が異なり、助成額も利用券1枚につき800円または1000円となっていますので、お住まいの自治体に確認してみてください。また、県市町村職員共済会、県教職員共済会の加入者にも助成事業があります。
↓画像をクリックすると、沖縄統合医療学院のホームページに移動します
取材/堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』鈴木先生が解説!なるほど鍼灸④
第1920号 2024年05月23日掲載
『週刊ほ〜むぷらざ』鈴木先生が解説!なるほど鍼灸④
第1920号 2024年05月23日掲載