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2024年2月29日更新

介護タクシー&予防フットケアかおり 代表の新城馨さん|「足」の悩み 助け寄り添う[彩職賢美]

介護生活をサポートする介護タクシーをはじめ、巻き爪など足のトラブルを予防改善するフットケアとフットヘルパーの育成に力を注いでいます。関わる人々が「良かった」と安心して見せてくれるその笑顔が、私の原動力です。


予防できるフットケア伝える

介護タクシー&予防フットケアかおり
代表 新城 馨さん



ドイツで学び深める 後進の育成にも尽力

新城馨さん(51)が営む「巻き爪フットケアかおり」は、読谷村の静かな住宅地にある。3週間に1回、那覇市から通っているという80代の女性は、県内唯一というドイツ製の施術椅子に座り、新城さんと談笑しながら、ケアを受ける。

長年、巻き爪に悩んでいたが、「今は痛みが取れ、再発もないし、週に4回、卓球を楽しむほど調子もいい。他の仲間は膝にサポーターをしている人も多いけど、私はサポーターなしで大丈夫!」と朗らかに話す。

新城さんが施すドイツ式フットケアは、専用の器具を使って痛みを緩和し、爪の形や足の状態を整えることで、トラブルを再発させないよう行うのが特徴だ。「巻き爪やタコ、魚の目の再発で悩む人が多いのは、患部だけを治して爪の切り方や靴の選び方など、自分の足にあったケアができていないから」と指摘する。新城さんはケアを施すだけでなく、爪の切り方など家でもできる基本的なケアも伝授。「日常生活の習慣が最も大切。本人や家族がケアすることで再発なく予防できている人も多いんですよ」と笑顔で話す。

介護予防に重点を置くドイツ式フットケアをより深く学ぶため、現地の研修会に参加した新城さんは、足に対するドイツの意識の高さに驚いた。「ドイツでは母子手帳のようなものに、股関節の開く角度や左右の脚長差も記されるほど、赤ん坊のころから足を大事にし、ファーストシューズからしっかりしたものを選びます」。新城さんは、介護予防フットケアのエキスパートを育成する日本のフットヘルパー協会の資格を取って技術向上を図り、後進の育成にも力を入れている。

10代前半の少年が3年間も巻き爪のトラブルを抱えたまま、患部に体重を乗せないような歩き方を繰り返すうち、足が変形してしまう事例があった。「もっと早く来てくれたら、骨の変形は防げたはず。でもケアで痛みが取れると歩き方が変わり、ふくらはぎの筋肉の張りも緩んできました。友達に歩き方が変わったと言われたと、自分から話してくれたり、表情が明るくなったりしたのもうれしかったですね」と新城さん。

「子どもの足は特に、周りの大人が気を配る必要がある。靴のかかとの減り方を見る、はだしになる時に足元までよく観察する、相談しやすい雰囲気を作るなど、いろいろ配慮してほしい」と呼び掛ける。


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さまざまな症例に触れ、自身のスキルアップを求めるようになったころ、日本の介護予防フットケアの第一人者である大場マッキー広美氏との出会いがあった。「最初に電話で話したとき、大場先生なら悩みが解決できると思ったんです」。その日のうちに航空券を手配し、翌日の早朝、山形へと向かった。飛行機、バスを乗り継ぎ3時間。面会は30分。当日帰省の強行スケジュール。「利用者のために、なんとかしなきゃという思いが強かった。でも、先生が沖縄に来て指導していただけることになりました」。大場氏から1対1の指導を受けた後は、知人の高齢者施設で実習を重ねた。「施設では足のトラブルで悩んでいる人が多く、喜ばれ、実践から多くの学びがありました」と振り返る。

現在は、フットケアができるフットヘルパーの育成にも取り組む。「沖縄は糖尿病による血行障害で足を失う壊疽(えそ)など重大な病変を起こしたり、重傷化するまで放置するケースも多い。予防のためにも介護予防のフットケアができる人を育成したい。看護師、理学療法士、介護士など医療福祉施設で働く人たちに、ぜひフットケアの技術を持ってほしい。たくさんの人の生活の質の改善につながると確信しています」


 将来のフットヘルパーに期待 

新城さんから、爪を切るニッパーの持ち方を学ぶ生徒の皆さん

新城さんは介護予防フットケアができるフットヘルパーの育成にも力を注ぐ。現在、11人のフットヘルパーを育成し、スキルアップのために講習会も開いている。講習会に参加した高齢者施設勤務の上江洲春美さん(70代)は、「施設では爪の悩みを持つ人がとても多いんです。透析している人は足の傷が化膿(かのう)すると切断につながることもあるので予防が大切です。爪切り担当として信頼してもらえるような人になるのが目標です」と話す。

理学療法士の喜友名朝丈さん(30代)は、「以前からフットケアに興味があったんですが、学校では学ぶ機会がありませんでした。爪に問題があると、歩き方や腰にも影響が出ます。腰だけほぐしても、爪や足元を治さないと良い状態につなげることができません。リハビリをしていく上で、爪のことも見ることができるのは、私にとって強みになるし、広めていきたいです」と力強く語る。

ミッチェルみずほさん(30代)は、勤務する医療機関で爪を整えるなどの軽いケアを担当している。「忙しくしている医者や看護師の代わりに、時間のかかる爪のケアができたら、患者さんにも病院にとっても役立つはず。さらに技術と経験を積んで、いろんな症例に対応できるようになりたいと思っています」と笑顔。

新城さんは、施設に出向くときなど、実践の場を生徒たちと共有し、自身の経験と知識を伝えながら、沖縄で活躍するフットヘルパーが増えることを目指している。


 県内初の女性介護タクシードライバー 

2009年に始めた介護タクシー。昨年は女性ドライバーの組織作りに奔走した

沖縄初の女性介護タクシードライバーでもある新城さん。昨年は、女性介護タクシードライバーによる「あんぐわぁ~の会」を結成した。

母親が巻き爪や股関節を患ったことがきっかけでフットケアを学んだが、介護タクシーの利用者にも足のトラブルを抱え困っている人が多いと感じ、フットケア事業も始め、技術を磨いていった。困りごとに寄り添う新城さんの人柄が伝わる。

■介護タクシー&予防フットケアかおり 電話 090-3196-7939




プロフィル/しんじょう・かおり
1972年、読谷村出身。長年、トラック運転手として配送業務に携わる。父親の勧めで2009年、「介護タクシーかおり」を創業。母親の巻き爪をきっかけに、13年からフットケアを行うようになり、14年、学びを深めるため、ドイツ研修に参加。16年、介護福祉士取得。17年、フットヘルパー認定校指定取得。19年、ドイツにてORAシュパンゲインストラクター取得。ドイツ式フットケアサロンを開設。



↓画像をクリックすると、「介護タクシー&予防フットケアかおり」のホームページへ




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撮影/高野光(フォトアートたかの) 取材/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1431>
第1908号 2024年2月29日掲載

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