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2024年2月8日更新

有限会社ニコニコ商事 佐和田鮎美さん|厨房設計から起業支援まで[彩職賢美]

飲食店の厨房の設計が私の主な仕事です。お客さんが使いやすい厨房を作るためには「どれだけ細かい要望を引き出せるか」がカギになります。また、個人の飲食店経営者は1人で悩みがち。起業時のサポートに加えて、今後は起業後の支援もできるようになりたいです。


撮影協力/おでん処 屋良屋


経営者の情報共有の場目指し

有限会社ニコニコ商事
佐和田鮎美さん



顧客と工事業者つなぐ役 現場経験積み成長の糧に

おでん屋、パン屋、ラーメン屋。厨房の設計・施工で佐和田鮎美さん(47)が携わった店の一部だ。現場の採寸後、顧客の要望に添った設計図を作成して機材の配置を考えるのが主な仕事。「細かい要望をお客さんからどれだけ引き出せるかが重要。イメージしやすいよう他店の写真などを見せながら、使いやすい厨房をお客さんと共に作る」

施工現場では顧客の要望を工事業者に伝え、工事の進め方などを調整。「コンセントの位置など細かく要望を伝える。お客さんへは、専門用語をかみ砕いて、分かりやすく工事の説明をしている」。自身の役割はパイプ役だと考えている。

力仕事ができる男性をうらやましく思う。その一方「『できないからお願い!』って言えるのは女性の強みかも。お客さんが工事について私に聞くのは、女性だから質問しやすいのかもしれない」。女性が現場に関わるメリットも感じている。

有限会社ニコニコ商事に入社当初は厨房機器を販売する店舗の店番と経理を担当したが「今では現場にいることが多い」と笑う。2018年には国家資格の1級厨房設備施工技能士の資格を社長であり夫の勝さんと共に取得。女性では県内初だった。「取得後は頼ってもらうことが増えて『プロとして見られている』と感じる。その期待に応えたい」

県内は全国と比べて飲食店が多い地域と言われる。飲食店の起業サポートをする中で気になっているのは経営者の情報収集不足。「助成金の存在を知らないなど、情報があれば悩まずに済む場合もある。個人経営だと孤独になりやすい」と感じている。夫と共に経営に携わる身として「他人事とは思えない」とも。

仕事柄、不動産業者や金融機関ともつながりがあることから、自社の目指す姿は「プラットフォーム。私たちを含めて飲食店の経営者同士が情報を共有し、悩みを解決できて成長できる場が理想。お互いの強みを生かし合えれば業務提携など新たなビジネスにつながるかもしれない」と声を弾ませる。「起業支援でも、厨房の設計や施工のみを依頼された場合も、開店はゴールではなくスタートだと思っている。そのお店のお客さんまで喜んでもらいたいから、何でも相談してもらえる存在になりたい」と佐和田さん。飲食店経営者の開業後の支援も目標だ。
 

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昨年は共に現場を回る後輩が入社。質問を受けることで自身も分からないことがあると気づいた。また、「本来は私の仕事なのに大工さんたちに甘えていたことや、共に働く水道や電気の工事業者のみなさんが『お客さんに喜んでもらいたい』と私たちと同じ思いだったことを改めて感じた」。日々、周囲の支えに感謝している。

予想外のことが起きる居抜き店舗の改装では、壁を壊したら便器が見つかった事例もある。工事計画や費用が変わる一大事だ。「細かいことも勝手に判断せず、必要な工事や追加費用を確認してお客さんが納得してから工事にかかる」。専門用語などの知ったかぶりも絶対にしない。「自分をだましているようで嫌。何より、お客さんや大工さんらに迷惑がかかり、信頼を失う」。行動や言葉からまっすぐな姿勢が伝わる。

取材中は「経験を積みたい」と繰り返した。「現場ごとに状況が違い、お客さんにとってベストな工事方法も違う。それを思い付かない時が一番はがゆい。経験豊富な社長に相談し、私が思いつかないような方法を提案されるたびに、経験の重要さを感じる」。自分たちの成長が顧客の利益になると信じている。

「携わった店舗はずっと繁盛店でいてほしい」。そう願い続けて今日も現場に向かう。


 娘に年上の人を敬う姿勢伝える 
 

休日は家族でキャンプをするなどして過ごしている。左が三女の仁(めぐみ)さん、中央が勝さん

高校生から6歳までの4人姉妹の母でもある佐和田さん。末娘が乳児の頃は会社にベビーベッドを置いて仕事をしたり、現場に連れて行ったりなど「小さな会社だからこそできた」と振り返る。

公私ともにパートナーとなる夫の勝さんは「私よりも娘たちの話をよく聞いてくれる。帰宅すると、夫が座るソファの周りに4人集まってきて学校でのできごとを話しているんです。家事も、夫が頼むと娘たちは素直に手伝ってくれる」とほほえむ。

子どもたちへの教育で大切にしているのは、年上の人を敬うこと。「言葉使いや態度など、社会に出たときに困らないようにしたい。いろいろな考え方があるとは思うけど、私たち夫婦は親が叱らないとこの子のためにならないと思っている。この部分の教育は私よりも夫の方が厳しい」という。


 全社員で経営を学ぶ 
 

今年は社員と共に初詣に行った。現場で働く社員のほか、厨房機器を販売する店舗で接客を行う社員もいる


社員全員で経営について学ぶようになって7年ほどたつニコニコ商事。「経営コンサルタントの先生がほぼ毎日巡回に来てくれます。座学だけではなくて、日々の業務の中で経営者の目線を教えてくれるので、みんな頭に入りやすいんだと思います」と佐和田さん。「経費などについても自分ごととして考えてくれるようになった」とその効果を実感している。また、「実務を通して経営を学びたい」と同社に転職した社員もいるという。

昨年入社した男性社員と共に現場を回る佐和田さん。「彼は細かいことによく気がついてくれて、私も助けられている。私が『彼を指導している』という感覚はない。現場では同じ目線で仕事をして、飲食店の厨房を共に作り上げている」と自分なりの後輩への向き合い方を語る。

■有限会社ニコニコ商事 098(897)2525




プロフィル/さわだ・あゆみ
1977年、那覇市出身。県内の高校を卒業後、大阪の専門学校で音響について学ぶ。県内の音響施設で働いた後27歳で結婚。29歳で第1子を出産。2008年に有限会社ニコニコ商事に入社。入社後は経理を担当していたが、社長である夫が資格取得の勉強を始めたことに刺激を受け、自身も18年に1級厨房設備施工技能士の資格を取得した。4人の娘の母。



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今までの彩職賢美 一覧


撮影・桑村ヒロシ 取材・比嘉知可乃
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1430>
第1905号 2024年2月8日掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
比嘉知可乃

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新人プランナー(企画・編集)
1990年生まれ、うるま市出身。365日ダイエット中。
真面目な話からくだらない話まで、「読んだ人が誰かに話したくなる情報」
をお届けできるように頑張ります!

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