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2023年11月16日更新
[みんなどうしてる? 退職後のライフプラン]家計簿で老後の不安が安心に|生活費や税金しっかり把握を
みんな気になる老後の資金。定年退職後のライフプランはどう考えた? 年金はいつから受給する? 沖縄友の会のメンバーの平良さん(72)、高尾さん(69)、野原さん(58)が、年金の受取年齢や退職後の生活費、家計簿について話しました。
平良さんの家計簿。30代から記録し続けている
年金の受給開始年齢、どう決めましたか?
高尾 65歳から受け取っています。長生きするなら受取開始は遅い方がいいけれど、寿命は分からない。いろいろ調べたのですが、最終的にはみんながもらっている年齢で、と決めました。
平良 私も65歳から。体が動くうちに使える、生きたお金が手元にあるほうがいい。いくつまで動けるか考えました。
野原 夫が65歳で退職予定で、その時の状況で考えようと思っていたのですが、お二人のお話を聞くと65歳かな。元気で動ける時って、大事ですね。
平良 健康だと思っていても、健診でCが出てくるのよ。午前中は眼科、午後は歯科と病院をはしごしたりね。
野原 医療費は増えていきますね。同時に家の修繕費も。
平良 家も体も、そのままというわけにはいかないよね。
高尾 そう考えると、退職金はごほうびに使いたくなるけれど、ある程度取っておいたほうがいい。
野原 退職後の翌年の住民税※1が大きな額だそうですね。
平良 そうそう。準備が必要ね。あと、給与明細の健康保険や税金はきちんと見ておくといい。健康保険を国民健康保険※2に切り替えると、金額が変わる。
高尾 退職後2年は健康保険を継続できる※3ことも、知っておくといいですね。
平良 夫の退職後、税金と健康保険を毎月こんなに支払うんだ、というのはショックでしたね。退職後1年間は生活費が30万円とすると、税金や健康保険が10万円くらい。最初のころは健康保険を自分で支払うと知らずに延滞してしまい、延滞料がかかりました。
高尾 感覚がつかめるまでにしばらくかかるね。
左から平良さん、高尾さん、野原さん
家計簿はどう役立った?
平良 夫の退職が早まると決まったとき、家計簿を基に見通しを立てました。ひと月の生活費がこのくらいだから、3年間は大丈夫だね、と。落ち着いて対応できました。
野原 30代から付け始めたのですが、生活が数字で見えるのが面白い。会のみなさんから、「手作りだとおいしいし安いよ」と聞いて、パンやお菓子を手作りするように。お菓子を買うことが減りました。
高尾 私も住宅ローンと教育費のピークが重なるよ、と聞いて、親戚にクリスマスに手作りのパンをプレゼントしました。
平良 予算を立てていたので家族旅行など必要なことに安心して使えた。家計簿を付けていなければ、切り詰めてばかりだったかも。家計簿はストッパーになり、安心をくれて、未来を見据えられる。
高尾 これから第3、第4のステージ。上手にお金と付き合って、この先も楽しんでいけたらいいね。
使い方にメリハリつけてる?
平良 服は整理していて、もうほとんど買っていません。20年前のものも着ています。逆に、夫婦で組踊や映画を見に行くお金はいといません。
高尾 髪の毛は自宅でヘナで染めて、夫か自分がカットしています。洋服はメルカリで買ったり。
野原 私は、ネットフリックスで韓国ドラマを見るのが至福の時です。夫婦でテニスをしているので、いつか現地でウィンブルドンを見るのが夢。
平良 ぜいたくはしなくても、普通に生活できてちょっと余裕がある暮らしを目指したい。
高尾 病気をした時にタクシーを使えるお金を持っておくといいよ、と先輩に言われたのは印象に残っています。どんな年代でも蓄えは必要よね。
孫はかわいくて財布もゆるみがちだけど、バランスが大事。先輩方から、年代によって家計の状況は変わっていくと聞きました。自分の生活を大事にすることは、先々子どもに心配をかけないことにつながると思う。
※1 住民税は前年の所得から算出され、所得に応じて金額が変わる。
※2 健康保険料は勤務先との折半。国民健康保険料は全額自分で支払う。
※3 手続きをすると退職後2年間、健康保険を継続できる。保険料は全額自己負担だが、国民健康保険より保険料が抑えられることがある。
毎週木曜日掲載『週刊ほ〜むぷらざ』
第1893号 2023年11月16日掲載