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2023年10月26日更新

ライフケア楽笑 代表の翁長久仁子さん|心身を癒やす 「介護美容」[彩職賢美]

介護美容セラピストとして、施設や自宅を訪問し、高齢者や介護が必要な人の身だしなみなどを整えるサポートをしています。顔や手などを優しいタッチでケアしながら言葉を交わしていくと、目を輝かせ、生き生きとした表情になる。心に触れるようなコミュニケーションを最も大切にしています。

ライフケア楽笑 代表 翁長久仁子さん
撮影協力/おきなわ長寿苑 撮影/比嘉秀明


ケアから生まれる笑顔の連鎖

ライフケア楽笑 代表
翁長久仁子さん



心が動くと体も動く
観察、会話を重視


鏡に映る自分を見て、高齢の女性は頬に手を当て、まるで光が差したような笑顔を見せた。数十分前の硬い表情とは明らかに違う。それを見て喜ぶ家族。そんな女性と家族の様子に介護スタッフも喜ぶ。「介護美容セラピーには笑顔の連鎖がある」。介護美容セラピストとして多くの高齢者に関わってきた翁長久仁子さん(52)は自信を見せる。

高齢者に特化した介護美容セラピーは、顔や手に優しく触れ、女性にはメークも施し、コミュニケーションを取りながら心身をケアする。「皮膚が弱く、薬の影響でうっ血しやすい人もいるので、注意深く観察しながら行います」と話す。

介護業界20年の経験を生かした観察力、声掛け、介助、そして、家族やスタッフにも気配りできるサポート力が翁長さんの強みでもある。

「鏡を見ながら襟を正したり、髪の乱れを直したりすれば、きれいになりたいという欲求があると分かる。ケアの最後にブラシを渡す。そのときも、自然と髪をとく行為につながれば、体で覚えた『手続き記憶』の誘発で脳の活性化につながる。髪をとく動作で腕の可動域などを確認したり、座位保持や自立支援にもつなげることができます」。笑顔を絶やさず、楽しくおしゃべりしている間も、翁長さんの目はたくさんの情報をキャッチしている。

翁長さんが最も重視しているのがコミュニケーションだ。70代の男性は退院後、自宅に戻ったものの入浴を嫌がるようになった。息子から相談を受けた翁長さんは、ゆっくりと会話しながら、顔のお手入れから始めた。鏡でさっぱりした自分の顔を見て「これなら同級生に会えるな」と笑った男性。翁長さんが「だったら着替えた方がいいよ。お風呂に入ったら?」と促すと、男性が椅子から立ち上がった。「お風呂場へ誘導する間に、息子さんを急いで手招きしてバトンタッチしました。20日ぶりにお風呂に入ってくれたんです」。

その後は、翁長さんと散歩もできた。「心に触れるように体に触れる。そうすれば、心が動き、ポジティブになれる」。翁長さんの顔も喜びで満ちる。
 

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亡き父は脳出血の後遺症で10年間、介護生活を送った。当初は母親が仕事をしながら介護していたが、介護度が進行してからは、翁長さんが同居して介護を担った。「私は酒癖が悪かった父を良くは思っていなかったんです。でも介護を通して、父の優しさや妻である母への愛情、感謝の気持ちがあるのを知ることができた。介護できてラッキーでした」。

当時は介護施設の職員だった翁長さん。同じ介護でも仕事のときと違って、家族だからこその感情があり、気持ちのコントロールが必要なときがある。翁長さんは自身の介護経験も生かし、「介護する側もされる側も笑顔になれる社会を作りたい」と、講習会や介護の情報発信に取り組み、介護の準備活動「介活」を広めている。また、介護美容セラピストの仲間と3人で「ワクワク介護叶(かな)え隊」を結成。「介護の相談や悩みを気兼ねなく話せるような少人数の場」の提供にも昨年から取り組む。

今後は、介護美容セラピーの手技に、高齢者や認知症の対応方法も一緒に学べる「美(ちゅ)らケアセラピスト」の育成にも力を注ぎたいとするほか、「学校で生理や出産を学ぶように、介護についても学ぶことが必要」と、教育現場への働き掛けも考えている。また、離島も含めたいろいろな場所に出向き、「ケアの後、一緒に散歩もするくらい、一人一人にじっくり向き合うセラピストでありたい」と話す翁長さん。「将来の夢は旅するセラピスト」と目を輝かせた。


 ハンドケアで「愛」を伝える 
まずは目を見て、声を掛け、手を握る
まずは目を見て、声を掛け、手を握る

手の甲にクリームを乗せ、手のひらでくるくると優しくマッサージしながら、「これって手話で愛しているっていう意味なんだって」と話し、サインとしてインプットする
手の甲にクリームを乗せ、手のひらでくるくると優しくマッサージしながら、「これって手話で愛しているっていう意味なんだって」と話し、サインとしてインプットする

手話では、握り拳の上を、手のひらでくるくると回すと「愛してる」のサイン。翁長さんは、「介護する側もされる側も、お互いを大切に思い、感謝や愛を伝え合うことが大事だと分かっていても、面と向かってはなかなか言いにくいもの。手話の愛してるという動作を取り入れた、ハンドケアをぜひ取り入れてみて」とアドバイスする=写真。「例えば、終末期に反応ができなくなったり、言葉が話せなくなったときでも、手をくるくると触ることで、愛しているよと気持ちを伝えることができ、相手も受け取れる。コミュニケーションが取れるうちから、定期的に行って」と話す。


 ケアで表情も生き生き 

介護美容で表情も明るくなった

介護美容セラピーは、高齢者や介護が必要な人にスキンケアやメークを通して肌に触れることで、身体的な健康と美容をサポートしながら、同時に心の健康や幸福感も促進することを目指す。

翁長さんの優しいタッチとコミュニケーションを通して、「利用者はケアの前後で皮膚の状態だけでなく、表情も良くなるんです=写真。その様子を見て、家族、介護スタッフと笑顔の連鎖が生まれる。そこがこの仕事の醍醐味(だいごみ)」とうれしそうに話す。




ライフケア楽笑 代表 翁長久仁子さん
プロフィル/おなが・くにこ
1971年、沖縄市出身。2人の子がいる。離婚をきっかけに、介護施設に入り、働きながら介護福祉士の資格を取得。その後、ケアマネ、日本介護美容セラピスト協会認定ビューティータッチセラピストなども取得。父親の在宅介護、看取りも経験。福祉施設や地域包括支援センターを経て、2020年「ライフケア楽笑」を設立。「介護の癒し専門家」として介護美容の普及、人材育成にも取り組む。

 


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文・赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1428>
第1890号 2023年10月27日掲載

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