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2022年2月3日更新

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美|臨床心理士、絵本作家のテイラー清美さん|人と動物の幸せ願う思い絵本に

アメリカから沖縄へ10年ぶりに帰ってきて驚いたのは、野良猫の数の多さ。ボランティアでTNR活動に取り組むうち、動物愛護の気持ちを一人でも多くの人に持ってもらいたい、ボランティアに携わる人々に感謝と敬意を伝えたいと思い、絵本を作りました。

臨床心理士、絵本作家のテイラー清美さん|人と動物の幸せ願う思い絵本に

優しい共生の輪を広げたい

臨床心理士、絵本作家
テイラー清美さん


動物愛護を伝え
地域、行政と協働


絵本「ねこずきエイリアン」は、テイラー清美さん(56)の3作目だ。主人公はエイリアンのビートと猫のじゅん。二人は週に2回、宇宙船で世界中を回り、病気やけがをしている猫を助けている。その数の多さに嘆き、人間は信用できないと怒ったビートが、ある日、地球上の全ての猫を自分の惑星へと連れ去る…。

優しさあふれるストーリーを描き、本の最後には「世界中のねこずきな優しい人間たち、特に、日々TNR活動(飼い主がいない猫を捕獲して不妊手術を行い、町に戻す活動)やレスキュー活動に携わる方たちへ捧(ささ)げます」と記した。

本業は米国政府に勤める臨床心理士。米国海兵隊の心理カウンセラーとして、2016年、転勤で10年ぶりに沖縄へ帰ってきた。その際驚いたのは野良猫の多さ。スーパーの駐車場で小さくてガリガリにやせ細った母親猫を見たときは、「涙が出るほど心が痛んだ」。TNR活動が沖縄にもあることを知り、夫婦で取り組むようになった。

一昨年からは猫の保護活動を行うボランティア団体「ハピネコ沖縄」にも参加。「県内どこの保護団体もとても苦労している。病気の猫を見つけたら病院に連れていって治療費を払い、自分の食事を我慢して猫の餌代に回す人もいる。餌やりのマナーをしっかり守っていても、周囲の理解を得られず怒鳴られたり、精神的なプレッシャーで心身が疲れている人が多い」と語る。

友として、カウンセラーとして、そんな悩みを聞いてきたテイラーさんは、ボランティアに携わる人々へ感謝と敬意を伝えるとともに、「動物愛護の気持ちを持つ人を一人でも増やし、特に子どもたちの意識を高めていきたい」と、動物愛護をテーマにした絵本を自費出版した。イラストは全て、テイラーさんがタブレットペンで描いたデジタル画だ。イラストの専門知識はなく、「動画サイトを見ながら手法を学んだ」と苦労したが、「病気やけがを負っている保護猫の里親探し、ペットロス、TNR活動と三つのとても大切なテーマを絵本で伝えることができた」と充実感に満ちた笑顔を見せる。


テイラーさんは絵本の売り上げの一部を「公益社団法人どうぶつ基金」に寄付している。どうぶつ基金は全国の動物病院と協力し、各地域の行政、ボランティアが行うTNR活動を支援するため、登録申請により避妊去勢手術費用を負担している。申請には三つの枠があり、テイラーさんが申請できるのは20匹分の手術が支援される一般枠のみ。しかし、昨年から協働で取り組む北中城村や同村の熱田自治会が申請している行政枠で、手術、ワクチン、ノミよけ薬も上限数なく支援が受けられる。

「不妊手術だけでなく、ワクチンやノミダニの駆除も大事だが、1匹当たり2500円をボランティアが負担していた。行政が関わることで、TNR活動の推進や地域住民の理解も得やすくなる」と喜ぶ。

熱田自治会長の安里和子さんは「TNR活動を一緒に取り組んで、人間と動物が共生できる社会を目指すことが、より良い地域づくりにつながると思うようになった。捕獲作業など自治会だけでやるのは難しいので頼りにしている」と笑顔で語る。

テイラーさんも「ボランティア活動を通し、地域や人々がつながっていくのが感じられる」と目を細める。

ほとんどのボランティアがコロナ禍でも活動を続けているとして、「セルフケアも大事にしてほしい」と呼び掛けるテイラーさん。人と動物の幸せを願う熱い思いが、臨床心理士として、絵本作家として、テイラーさんを突き動かしている。



 絵本は愛猫がモデル 
絵本は愛猫がモデル

絵本「ねこずきエイリアン」は、テイラー家で一緒に暮らす娘の愛猫じゅん=写真=がモデルになった。「いつも脱走のチャンスを伺い、何かを待っているように、よく空を見上げている様子から物語のヒントが生まれた」と話す。友人でTNR活動にも参加しているベセットリサさんが英語文を担当し、英語版として昨年9月に出版。テイラーさんが日本語に訳した。



 実話から生まれた物語も 
実話から生まれた物語も

ケガや病気を持つ猫の里親探しがテーマの1作目「りゅうとくんのて」=写真左=は、サミー、ディーンと名付けた目の病気がある兄弟猫がモデル。里親募集中で、現在はテイラーさんが世話している。「猫の目の病気は早期治療で治ることが多い。そのことも知ってもらいたかった」と話す。

ペットロスがテーマの「てんとうむしになったヘレン」=同右=は、共に活動する仲間の実体験がもとに。自宅の火事で、目が見えない保護猫を亡くした悲しみを猫の目線でつづり、友人の協力で英語版、スペイン語版でも出版された。2作ともAmazonで販売中。3作目は3月に販売予定。売り上げの一部をどうぶつ基金に寄付している。



 TNR活動で小さな命を守る 
TNR活動で小さな命を守る
TNRの術後ケアで、ケージに入れた保護猫の世話をするテイラーさん

TNRとは、飼い主のいない猫を捕獲(T=トラップ)、不妊去勢手術(N=ニューター)をして元の場所に戻す(R=リターン)活動。その印として先をV字にカットされた猫の耳がさくらの花びらのように見えることから「さくらねこ」「地域猫」と呼ばれ、一代限りの命を地域で見守っていこうという取り組み。

テイラーさんが参加する「ハピネコ沖縄」(北谷町)は保護猫を一時的に預かるシェルターを運営しながら、TNR活動や野良猫虐待防止の見回りなどに取り組んでおり、里親、寄付、ボランティアも募集している。

ハピネコ沖縄 https://www.hapineko.org/


 

臨床心理士、絵本作家 テイラー清美さん
プロフィル
テイラー・きよみ
1965年、うるま市(旧石川市)出身。臨床心理士。南フロリダ大学院卒業。フロリダ州政府リハビリカウンセラーを経て、米国海兵隊の心理カウンセラー。2016年、転勤でフロリダから沖縄へ。18年より夫婦でTNR活動に取り組む。21年、絵本「りゅうとくんのて」、「てんとうむしになったヘレン」を出版。今年2月下旬に「ねこずきのエイリアン」を出版予定。


今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 文/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1395>
第1800号 2021年2月3日掲載

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