介護
2022年1月6日更新
入浴介助は目配り気配り|介護の楽ワザ⑤
家族の介護をしている人が、経験から得たこつや便利な道具、シェアしたい情報を紹介。今回は、Hさんから入浴介助のポイントについてのお話です。
Hさん
義母が半身不随。女同士ですが、入浴介助の際はデリケートゾーンをタオルで覆い、自分で洗ってもらうなど気配りしています。
同性同士でもタオル1枚の配慮を
病気の後遺症で半身不随となった義母。在宅介護が始まり、入浴は主に私が介助するようになりました。
最初のころは緊張して「事故なく介助すること」だけに専念し、私がほとんど洗っていたのですが、手際がいいとはいえず、義母の表情も硬め。きっと不安や羞恥心のようなものもあったのだと思います。いくら女同士とはいえ、「私が逆の立場だったら…」と考えました。それからは別のタオルを用意して、デリケートゾーンを覆い、義母が問題なく使える片方の手で、できるところは自分で洗ってもらうようにしました。
また、義母はとても寒がりなので、冬場は浴室の床や壁に熱いシャワーを掛けて浴室内を暖めていました。入浴中もお湯を張ったバケツに足を入れるなど、体が冷えないよう工夫しました。
その後、義母の介護度が上がるとともに、私自身も腰を痛めるなど心身への負担が大きくなり、介護保険の訪問入浴介助サービスを週に2回、利用するようになりました。
初めは気後れ気味の義母でしたが、すぐに慣れました。ヘルパーさんが手際よく洗い、髪をドライヤーで乾かしたり、爪切りまでしてくれるので、すごく助かります。プロの技を見て勉強になることも多く、私も教えてもらったことを取り入れています。また、家族以外が介護に関わることで普段と違う会話が生まれるのも良かったです。
やっぱり、入浴した日は気持ち良さそうな表情を見せるし、夜も寝つきがいいようです。
入浴介助のポイント
・浴室の壁や床を熱いシャワーで暖めておく
・介助中は、デリケートゾーンをタオルで覆うなど=イラスト①、介護される側の「恥ずかしいという思い」への配慮を
・デリケートゾーンは可能なら自分で洗ってもらう
・入浴介助中にケガなどがないか確認する
・足浴=②=で全身を温める
・滑り止めが付いた安定感があるシャワーチェアを使い、事故防止に努める
同性同士でも最低限の気遣いを
体が冷えないよう、足湯などの工夫も有効
専門家からひとこと!
井岡有子さん
いおか・ゆうこ/医療法人おもと会訪問リハビリぎのわんおもと園 理学療法士
入浴できないときは、体を拭く清拭でもOK!
身体の異常をチェック入浴時にさりげなく
入浴介助は、介護される側の体をさりげなく観察する良い機会です。おしりなど、普段目に付かないところに傷や湿疹、腫れなど異常がないかチェックしましょう。 高齢者は皮膚の乾燥によるかゆみから、かき傷を作ったり、ぶつけたり、転んだりして内出血を起こし、それが悪化することも少なくありません。「病院を受診する」、「事故防止の環境改善をする」など、早めの対応につなげてください。
入浴は体の清潔を保つだけでなく、気分もさっぱりして明るくなります。体が温まることで緊張した筋肉を緩め、関節がこわばる「拘縮」を和らげたり、皮膚も丈夫になって褥瘡予防にもつながります。
入浴ができない場合は体を拭くだけでも同様の効果があるとされています。すぐ全裸にするのではなく、上半身、下半身に分け、蒸しタオルなどで体を拭きます。おしりなどのデリケートゾーンは最後に。
スタッフが自宅に専用の浴槽を持ち込む、介護保険の「訪問入浴サービス」もあります。地域包括支援センターなどに相談してください。
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「介護の楽ワザ」記事一覧
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1796号 2022年1月6日紙面から掲載」