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2021年8月26日更新

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美|キャンディータフト 代表の宗利紀里(むねとし きり)さん|今、結婚式をあきらめないで

結婚式で誓うのは「生涯の約束」。添い遂げることを目指し、心を込め、覚悟を持って互いに誓う。結婚式をしたくても、大人数で集うことができない今、時世に合わせ、小さくても心にしっかり留まる本物の式を挙げてほしいと思っています。

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誓う二人を見届け寄り添う

キャンディータフト
代表
宗利 紀里
 さん

誓う二人を見届け寄り添う

ウエディング業界歴36年。2千件以上の結婚式に携わり、3万人以上の学生にブライダルを教えてきたキャンディータフト代表の宗利紀里さん。新郎新婦と直接やりとりし、オリジナルウエディングをつくりあげる、フリーランスのウエディングプランナーというスタイルを日本でいち早く確立させた。

「はじめは手探り状態。不安もあったが、アメリカでウエディングの現場に学び、迷いはなくなった」。年配の女性プランナーが「この仕事は人生経験を積んできた人だからこそできる」と言った言葉に力を得た。

宗利さんは心理カウンセラーの資格も取得。結婚前カウンセリングや人生相談などにも広く対応している。5年前には神戸から沖縄へ移住。外人住宅を改装したカフェ「沖縄物語」を開業した。「新しい人生の始まりに関わる仕事。この誓いの儀式を見届けた者として、ずっと幸せであってほしいし、いつでも相談してもらえるような存在でありたいと、結婚式だけでなく、戻ってこられる場所を作りたかった。沖縄でやっと夢がかなった」とほほ笑む。

宗利さんは県内で唯一、全米ブライダルコンサルタント協会の上級資格を持ち、認定講師として資格取得のためのセミナーを開催している。

「ウエディングプランナーという仕事は専門職であり、知識も経験も必要な仕事。沖縄は年間約1万8千件のリゾートウエディングが行われるなど、その人気は全国随一。結婚記念日などに再び愛を誓うバウリニューアルと呼ぶ再誓式や、LGBTのウエディングなどでも注目されている。要望に応えながらも、儀式として意味のある、オリジナルウエディングをつくれるプランナーへのニーズは、ますます高まっている」と話し、後進の育成にも力を注いでいる。


「時代とともに結婚式への考え方も変化し、式を挙げない人も増えている」という。2020年ゼクシィ結婚トレンド調査によると、全国の平均的な結婚披露宴は、参列者数66人で費用は362万円。「ネットにはあまりにも豪勢な結婚式の情報ばかり。近年は結婚年齢が上がり、再婚も多い。自分たちらしい結婚式をやりたい、意味のあるお金の使い方をしたいと思う人たちが、結婚式をやらないという選択をしている」と指摘する。

一方、沖縄では招待客が300人を超える披露宴も珍しくないが、「披露宴と結婚式は違う」と宗利さん。「結婚式は人生の節目の儀式で、思い出づくりではない。儀式があるから自覚が生まれ、社会や両親との接し方も変わってくる。結婚式は、恋愛関係からワンランク上の、人間として最も成長するステージへの入学式。夫婦は運命共同体。添い遂げる覚悟の重みを感じ、誓う式を二人で挙げてほしい」と話す。

宗利さんは式をつくる専門家でありたいと、結婚式や宗教などさまざまなことを学んできた。沖縄式の結納について、結婚式と変わらぬ格式の高さがあるとし、「義理の親子固めの盃があり、サーターアンダギーやマチカジなど祝意と子孫繁栄を願う意味のある品を飾ったり、潮の干満に時間を合わせたり、素晴らしい伝統が残っている」と熱く語る。学生にも、日本とアメリカ、両方のウエディングの基礎知識を教えるとともに、沖縄の結婚の儀式についても関心を持つよう伝えている。

「私は、この仕事に巡り合えたことで人生がとっても豊かになった。苦労があってもやりがいがあるから、とても幸せ。生きている間、ウエディングプランナーをやりきりたい」。その輝く表情が希望の光となり後進を導いている。



 オンラインで結婚式を生配信  

宗利さんがプロデュースし、沖縄のビーチでカップル二人だけの結婚式と撮影を行った=写真=ときは、新婦のスマホを使ってインスタでライブ配信。家族や友人らが視聴し、お祝いのコメントが多数寄せられた。

また、在沖米軍基地で働くアメリカ人カップルの結婚式を、宗利さんが営むカフェ「沖縄物語」で行ったときには、沖縄と、それぞれの両親が住むアメリカの実家2カ所、英語で司式を行った牧師のいる京都の四つの場所をオンラインでつなぎ、同時中継しながら行った。チェロとピアノによるプロの生演奏でファーストダンスを踊る演出も喜ばれた。

問い合わせ先/キャンディータフト ☎090・9997・4749


 宗利さんが教える! 結婚式のハッピーアイテム  

リングピロー
結婚指輪を置くリングピロー=写真手前=は、生まれてきた赤ちゃんの枕にすると、その赤ちゃんが幸せになるという言い伝えがある。新婦が手作りすることが多い。

ウェディングケーキ
本来は3段以上。一番下の段は、披露宴に集まったゲストと分かち合って食べるため、2段目は、披露宴に来られなかった人に配るため、1番上は新郎新婦が持ち帰って冷凍保存しておき、1年後の結婚記念日か、一人目の赤ちゃんが生まれたときに取り出して、同じデザインのケーキを作り、それを食べる。また、ケーキの一番上に花嫁衣装と同じ色のリボンを飾ると幸せになれるという言い伝えがある。

ガーターベルト
新婦は片足にガーターベルトをはめておき、これを披露宴で新郎がドレスのスカートに下から手を入れて取り、独身男性に投げる。それを受け取った人と、新婦のブーケトスを受け取った人が、即席カップルとなりダンスを踊る習わしがある。その後は、赤ちゃんのヘアバンドにする。花嫁の幸せが子どもに受け継がれますようにという意味がある。




プロフィル
むねとし・きり
1964年、兵庫県神戸市出身。全米ブライダルコンサルタント協会認定上級ブライダルコンサルタント。ウエディング業界歴36年。多数の結婚式に携わる他、ブライダル講師として24年間、大学、専門学校等で指導。2001年「キャンディータフト」設立。16年、沖縄へ移住。沖縄ウエディングに特化したプロデュース、カフェの運営、スクール事業の運営、恋愛、結婚カウンセリングなどを行う。



今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 文/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1387>
第1777号 2021年8月26日掲載

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