毎日レシピ
2021年8月12日更新
重詰め以外も料理いろいろ|作ってみよう!旧盆料理
旧盆(今年は8月20日~22日)は、先祖をもてなし、供養する大切な伝統行事。今回は重詰め以外にもさまざまある旧盆料理を紹介します。(文・レシピ 松本嘉代子)
手作りの味 次世代に
年中行事の中でも盛大に行われる旧盆は先祖をもてなし、供養するもの。重詰め料理を作る時間がない人もいるかと思いますが、それ意外にも旧盆らしい料理はいくつかあります。初日の旧7月13日のウンケー(精霊迎えの日)の夕食にはウンケージューシーを作ります。ショウガを使うため、ショウガージューシーと呼ばれることも。香りが強いショウガは邪気払いの食材とされ、チガリムン(餓鬼)に膳を食べられることを防ぐと考えられています。
14日のナカビー(中日)は特別決まった儀礼や食事はありませんが、昼食には涼を感じられる、冷やしそうめんを供えるのもいいですよ。旧盆のおやつとして食べられていたサーターダーグ(砂糖団子)は手軽に作れて簡単。ウークイの日に供える場合はウークイダーグと呼び、半量を赤く色付けして紅白で3個ずつ盛り付けます。
15日のウークイ(精霊送りの日)の朝昼の献立はナカビーと同様。昼食なら豚肉と野菜を卵でとじた汁物クーリジシもおすすめ。だしをベースにした、夏にふさわしいさっぱりとした味です。
夕食後の遅い時間には重詰め料理を供えます。その後ウチカビを焼き、御三味(重詰め料理から数種類)を取り分けて、線香やソーローメーシ(精霊が使う箸)などをクワズイモの葉やバナナの葉に入れて取り下げます。最後にはこれを門前に運び、合掌してウークイを行います。
自宅で過ごすことが増えた今こそ、一品でも旧盆料理を作ってみてはいかがでしょう。手作りする姿を子や孫に見せ、その味を覚えてもらうことで、沖縄の食文化を次世代にも残していきたいものです。
ウンケージューシー
●材料(5人分)
米……………………………3カップ
豚だし+かつおだし………約4カップ
※炊飯器なら3カップ
豚三枚肉(ゆで)…………80~100g
シイタケ……………………4枚
ニンジン……………………80g
ショウガ(細かく刻む)…大さじ1
塩……………………………小さじ2
しょうゆ……………………大さじ2
サラダ油……………………小さじ2~大さじ1
●作り方
下準備:米は、炊き始める30分~1時間前に洗ってざるに入れ、水気を切っておく。
1 豚三枚肉は丸ごとゆでて、5mm角に切る。
2 シイタケは水に戻して石づきを取り、5mm角に切る。ニンジンも同様に切っておく。
3 釜に分量のだし、米、1、2、細かくきざんだショウガ、塩、しょうゆ、サラダ油を入れ=上写真、全体に混ぜ合わせて強火にかけ、沸騰しボツボツと穴が開いたらふたをする。次に中火にして2分くらい炊き、弱火にして10分ほど蒸らす=下写真。
★ 炊飯器を使う場合は、だしを3と1/2カップにし、すべての材料を入れて炊く。
砂糖団子(サーターダーグ)
●材料(16個分)
もち粉…………150g
水………………125g
グラニュー糖…100g
水………………1カップ
●作り方
1 分量の砂糖と水を鍋に入れて煮溶かし、冷やしておく。
2 ボウルにもち粉を入れて水を加えながら手で練り、耳たぶくらいの軟らかさにする。
3 2を丸めて直径2~3㌢の団子を作り=上写真、沸騰したお湯に入れて浮いてきたら1~2分煮てすくい取り=下写真、水に放す。
4 器に団子を入れ、1をかけていただく。
冷やしそうめん
●材料(4人分)
そうめん…6束
【つけ汁】
だし汁…2カップ
しょうゆ…大さじ5
みりん…大さじ5
薄焼き卵…2個分
【薬味】
わけぎ…適量
ミョウガ…2本
おろしショウガ…少々
わさび…少々
切りのり…少々
★シソ、紅たでがあればなお良い
●作り方
1 つけ汁の材料を鍋に入れてひと煮立ちさせ、よく冷やす。
2 そうめんは一束ずつ輪ゴムで端を縛り=写真、たっぷりの湯を沸かしてゆでる。
3 2が煮立ってきたら、分量外のさし水(1カップ程度)をする。再び煮立ってきたら、手早くざるに上げて冷水にさらしながらそろえ=上下写真、水気を切っておく。
4 わけぎは小口切り、ミョウガは薄切り、薄焼き卵は細く切って、切りのりやわさび、おろしショウガと共に皿に盛り付ける。
5 大きめの器に3のそうめんを、円を描くように盛り付ける。
6 5のそうめんを、よく冷やした1のつけ汁につけていただく。
※つけ汁をうす味にする場合は、だし汁2・1/2カップ、しょうゆ大さじ4、みりん大さじ3に調整する。
クーリジシ
●材料
豚だし+かつおだし……………5カップ
豚三枚肉(または肩ロース)…200g
※豚三枚肉はゆでる前の分量
シイタケ…………………………2~3枚
トウガン………………………(正味)200g
コンニャク………………………100g
カマボコ…………………………100g
塩…………………………………小さじ1・1/2
しょうゆ…………………………小さじ1
卵…………………………………2個
●作り方
1 豚三枚肉は丸ごとゆでて、4㌢長さの短冊に切る=写真。
2 シイタケは水に戻して石づきを取り、4㌢長さの薄切りにする。
3 コンニャクも薄めの短冊に切って軽くゆでておく。
4 トウガン、カマボコも同様に切る。
5 鍋に分量の豚だしとかつおだしを入れて煮立て、豚三枚肉、シイタケ、トウガンを加えて再び煮立てる。
6 5のトウガンが煮えたら、コンニャク、カマボコ、塩、しょうゆを加える=写真。
★沸騰した状態でしょうゆを入れないと、しょうゆの生臭さが残ってしまうので注意。
7 沸騰している6に卵を溶き入れ、全体を軽く混ぜて仕上げる=写真。
重詰め料理も掲載! 県内書店で発売中の「沖縄の行事と食~伝統のならわし・重詰め料理~」(松本嘉代子著)では、返し昆布のより詳しい作り方や、すべての重詰め料理のレシピを掲載。2000円(税抜き)。問い合わせは、タイムス住宅新聞社098(862)1155へ。
まつもと・かよこ/松本料理学院学院長。新聞やメディアで琉球料理の継承について広く発信。県「琉球料理伝承人 琉球料理担い手育成講座」の指導に携わる
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1775号 2021年8月12日紙面から掲載」