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2021年4月15日更新

[沖縄の魅力]新糸満造船 株式会社 代表取締役社長 松浦 快奏さん

沖縄の魅力を発信する企業を紹介。vol.324
創業50余年、糸満市の新糸満造船(株)は離島航路を含め、県内で稼働する船舶が安心して運航できるよう修繕を中心とした業務を行う。「ちょっとした修理でも対応する『沖縄の船のホームドクター』としての位置づけを目指しています」と代表取締役社長の松浦快奏(かいそう)さん(76)は言う。

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船をバックに笑顔の松浦快奏代表取締役社長。「船舶の造修を通じて、沖縄県経済並びに社会に貢献したい」と話す

優れた設備で船の修繕

新糸満造船 株式会社
代表取締役社長 松浦 快奏さん


Q 施設の特徴は?

 通常、船舶の修繕では、造船所内に掘られたドックに入れ、中の水を抜いて安定させてからでないと修理ができません。そこで当社では船を陸に上昇させるシンクロリフトシステムを採用。船を乗せる船台を使って持ち上げ、レールで陸へ移動させます。当社のシンクロリフトは国内最大級で国内では三つの施設でのみ採用され、修繕や検査を素早く安全に行うことができるようになりました。

さらに複数の船舶の修繕・建造が同時にでき、船が浮かんでいる状態のまま海面から垂直に上げるため、船体への負荷が少ないなどの長所があります。

 

Q 小型から大型まで船舶の整備を一手に引き受けていますが苦労することは?

 造船業は総合産業。船内にエレベーターや照明設備もありホテルのようなもの。その設備の安全点検など、必要事項がとても多いんです。その設備の管理を請け負ってもらえる業者を探すのに苦労しました。

国内最大級のシンクロリフト。船を持ち上げる「船のエレベーター」だ

県外に足を運び、ようやく協力を得られたのですが、事業がうまく回り出すのに時間がかかりました。もともと県内の船の修繕は県外に出向いて行うことが通例で、最初のうちはこの施設があることすら知られていなかった。しかし、現在は修繕の受注も増え、認知度も上がりました。


Q 業務において新展開があるそうですね

 キ殻から作った除菌液「ナノシェル」を開発しました。これまで船に付着したカキ殻を除去し廃棄していたのを、有効活用しようと考えたものです。除菌液は、カキ殻を高温焼成し、純水と一緒にナノサイズまで超微粉砕したもの。pH(ペーハー)値は13・0の強アルカリ性で、大腸菌が殺菌できる強さです。

原料は自然由来の成分のみを使っているため、環境にも優しい商品。さらにその液体を調べると、除菌やA型インフルエンザなどの抗ウイルス効果が期待できることも分かり、商品化を決めました。

 

Q 今後の抱負は?

 船舶が安心・安全に航海できるようサポートするのはもちろん、地域の人たちの困ったの声にも応えたい。現在、カキ殻の除菌性や消臭性を生かした商品を研究中。また、食品残(ざん)渣(さ)のようなそのままでは捨てられないものを有機肥料に変えるような商品開発が目標です。


天然素材の除菌液
カキ殻から生まれた除菌液「ナノシェル」は、糸満市物産センター遊食来(ゆくら)で販売中。さらに多くの人に利用してほしいと同品のオフィシャルウェブサイトを開設。パッケージデザインも刷新。詳細は画像をクリック。


松浦快奏(まつうらかいそう) 新糸満造船(株) 代表取締役。
1944年、山口県下関市生まれ。山口県立下関西高等学校卒業。中央大学商学部卒業(東京都)。大学時代は山岳部に所属し、山に親しむ。1968年、小門造船鉄工株式会社(山口県下関市)に入社。鋳造や機関、木工、塗装、鉄工、資材、経理と造船業のほとんどの現場業務と事務業務を経験。小門造船鉄工(株)が沖縄県の糸満造船(株)に資本参加することになり、1972年に来沖し、翌73年に「新糸満造船(株)」へ組織変更。同年に小門造船から取締役総務部長として転属。86年に代表取締役専務就任。2001年代表取締役社長となる。座右の銘「虚空咲照頭」、趣味は酒を呑んで騒ぐこと。


新糸満造船 株式会社
電話098(994)5111
糸満市西崎町1-6-2



https://nanoshell.jp/


『週刊ほ〜むぷらざ』発信!沖縄の魅力ー未来をつくる企業ー<324>
第1758号 2021年4月15日掲載

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