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2021年4月8日更新

三月菓子で健康を願う|作ってみよう 行事料理[5]

旧暦の三月三日(2021年は4月14日)は「サングヮチ(ツィ)サンニチー」と呼ばれる女性の節句。その際に食べる三月菓子について、松本嘉代子さんが作り方やいわれを紹介します。

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三月菓子(サングヮチグヮーシ)




●材料
卵 ………………………………………3個
グラニュー糖 …………………200~230g
サラダ油 ……………………大さじ1+1/2
小麦粉 …………………………350~400g
ベーキングパウダー …………小さじ1/2
打ち粉 …………………………………適量
揚げ油 …………………………………適量


●作り方

 ボウルに卵を割り入れて砂糖を加え、泡立て器をボウルの底につけたまま、泡を立てないように一気に20回ほど混ぜる=写真。


 1にサラダ油を加え、2~3回軽く混ぜ合わせる。
  ※1・2共に混ぜる回数を守る。


 2によく振るった小麦粉とベーキングパウダーを入れ、木ベラでさっくり混ぜ合わせて=上写真=まとめる=下写真。
※ボウルを回しながら、周りから一つにまとめるように混ぜる。生地を切るようには混ぜない。


 3の生地にラップをかけて冷蔵庫で30分ほど休ませ、生地を3~4等分にする。​

 まな板の上に打ち粉をして、生地を丸くまとめてから棒状にする=写真。


5を手で延ばして6~7㎝幅の長方形に整え、包丁で切り込みを入れて切る=上・下写真、イラスト。






 揚げ油を160~170度ぐらいに熱し、6の切り込みを上にして入れ、浮いてきたら急いで裏返す=写真。割れ目がはっきり出たら再び裏返し、1~2分後に取り出す。
★2センチ幅に切って揚げると、手軽に食べられるひと口菓子になる=上写真手前。

 

女性の節句「浜下り」

「サングヮチ(ツィ)サンニチー」の起源は中国の「上巳の節句」。農業に携わる前に心身の汚れを清める農耕儀礼だったようです。沖縄では一般的に、仏壇・火の神に供え物をして、健康祈願をし、身を清めるため海水につかる「浜下り」行事を指しています。

ひと昔前の浜下りは、仕事や家事、育児に追われる女性たちにとって唯一、自由な時間を過ごせる楽しみの一つ。フーチムチ(ヨモギ餅)や三月菓子(サングヮチグヮーシ)、卵を食紅で染めた紅梅卵(クーベータマグ)、花いかやコーグヮーシ(落雁)などが入った三月御重(サングヮチウジュウ)を持ち寄り、浜辺で楽しい時間を過ごしました。

私が幼かった頃は戦後の混乱期。折り箱に入ったごちそうや三月菓子をいただき、特別感があった一日は今でも忘れられません。

ただ、時代の移り変わりとともにその過ごし方も変化し、新暦三月三日のひなまつりとまとめる家庭も増えてきました。また、三月御重を作る家庭は少なくなり、ちらし寿司とハマグリの吸い物という本土風のひなまつりのごちそうやオードブルを用意するなど、料理も変化しているようです。

自宅で過ごす時間が増えた今、三月御重とまではいかなくても、家庭で三月菓子を作ってみませんか?
 
 
県内書店で発売中の「沖縄の行事と食~伝統のならわし・重詰め料理~」(松本嘉代子著)では、返し昆布のより詳しい作り方や、すべての重詰め料理のレシピを掲載。2000円(税抜き)。問い合わせは、タイムス住宅新聞社 電話=098(862)1155へ。




まつもと・かよこ/松本料理学院学院長。新聞やメディアで琉球料理の継承について広く発信。県「琉球料理伝承人 琉球料理担い手育成講座」の指導に携わる。
 
『週刊ほ〜むぷらざ』作ってみよう行事料理
第1757号 2021年4月8日掲載

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