教育
2021年1月7日更新
性行為の話はタブー?|思春期の性教育[9]
文・百名奈保|高校の思春期講演では、必ず避妊について話をします。具体的な話、失敗例なども交えて話をします。
A 避妊など正しい知識は必要
話し合いと覚悟が必要
大学生になった学生さんから「避妊のことは、高校の時にちゃんと教えてもらいたかった」という声を聞くことが多いので、学校側と相談しながら踏み込んだ内容の話をします。中学校では、学習指導要領には避妊について触れられていないけれど、必要な状況であれば話をしています。
生徒さんの中には、性に関する正しい知識がなくても性行為をする子もいますが、きっかけはさまざまです。真剣に恋愛をしている高校生や大学生に、頭ごなしに「性行為をするな」とは言わないけれど、本当にそうしたいと思っているのか、お互いの気持ちを確認したのか、ちゃんと避妊について話し合いをしたのか、もし妊娠した時は産むのか産めないのか決めているのか。
性行為は、2人で数えきれないほどの会話を重ね、お互いの気持ちを確認して、覚悟をしてする行為だと話します。
驚くようなうわさ
生徒さんたちの間に広まっている「性行為に関するうわさ」には、驚くようなものがたくさんあります。「初エッチは妊娠しないって聞いたから大丈夫」「生理の時は妊娠しないから避妊しなくてもOK」「最後の瞬間、息を止めてエッチすれば妊娠しない」「sexの後すぐシャワーで洗えば妊娠しない」「コンドームは2枚重ねれば最強になる」。
他にもここには書けないような内容のものがたくさんありますが、どれも医学的な根拠はなく間違ったことばかりです。生徒さんたちは「初めて知ったことが本当」だと思ってしまうので、早い時期に学校で「正しい性の情報」が得られる機会を作ることが必要だと思います。
中高生から「彼が避妊に協力してくれない、妊娠が怖い」という相談を受けることがあります。
彼が避妊しない理由は、面倒だから、多分妊娠しないから大丈夫、感覚が鈍る、好き度が増すからという身勝手なものばかりです。避妊に協力しない彼は「あなたのことを大切に思っていない」「妊娠しても構わないと思っている(責任は取らないけど)」のどちらか。相談者には、彼とのお別れを勧めることもあります。
性感染症の相談先は
さらに、生徒さんから「性病になったかも、かゆい、赤くなってる」という相談メールが助産院にくることもあります。
性感染症については中学校の保健体育の時間に学習するけれど、性感染症になる具体的な行為(性器、口、肛門への接触)については学習しないことになっているので、予防する方法(コンドームの扱い方を含む)や性感染症の症状、治療方法、相談先について正しく知っている生徒さんは、ほんの一握りだと思います。すでに性行為を経験している生徒さんには「あなたの行動が心配だよ」と声掛けをし、妊娠、避妊、性感染症の話をします。性感染症の相談は、男子は泌尿器科、女子は婦人科ということも伝えます。
生徒さんには「妊娠したかも」「性病かも」と不安になったり、傷ついたり、つまずいたりしてほしくないです。
新型コロナでスケジュールが厳しい中、助産師による思春期講演を計画してくださる学校がたくさんあり、正しい知識を伝える機会をいただけることに感謝しています。
ひゃくな・なお/那覇市嘱託助産師・保健師として、学校で性教育について講話。子どもたちからの相談も受け付けている。那覇市首里で、「助産院*きらきら」を開業
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毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1744号 2021年1月7日紙面から掲載」