教育
2020年10月1日更新
思春期の子の親が気をつけることは?|思春期の性教育[6]
文・百名奈保|今回は、思春期の男子の性に関する悩みを紹介します。トップ3は、「マスターベーション」「包茎」「性器の形や大きさ」についてです。
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A 部屋に入る時は必ずノック
マスターベーションの“うわさ”
平日の夜7時、週末の午後3時、この時間に思春期男子からの「お悩み相談」が集中します。
なぜこの時間帯かと尋ねてみたところ「部活がない時間」「親が家にいない時間」だから電話をかけやすいそうです。
不思議なことに、女子からの相談はメールが多いけれど、男子は圧倒的に電話での相談が多いのです。心配に思うことがあった時、すぐに不安を解消したいから電話なのかもしれませんね。
男子に多い悩みの一つが、マスターベーションです。マスターベーションに関する“うわさ”はたくさんあって、何回もすると頭が悪くなったりハゲたりする、テクノブレイク(し過ぎて死ぬ)、し過ぎるとニキビが増えるなど、「友達から聞いた」「ネットに書いてあったので信じた」というものです。これらは医学的な根拠がない“うわさ”なので、そんなことはありません。心配しなくて大丈夫です。
マスターベーションは、自分の体を知るきっかけになったり、性欲をセルフコントロールして気分転換ができたり、安眠できたりするので、罪悪感を持ったり、後ろめたく感じることはないのです。
女子がすることもあるし、したければして良いし、したくなければしなくても良いものです。
思春期の子と保護者の方へ、気を付けてほしいことがあります。
思春期の子へ。マスターベーションをするときは「プライベートな空間を確保する」「清潔にする」「体は優しくソフトにさわる」。男子の場合、間違った方法(※)でマスターベーションを続けていると、将来子どもを作りにくくなることがあるので気を付ける。
※性器を床や壁など硬いものに押しつける、性器をとても強い力で握る、足を伸ばしてあおむけの姿勢でする。
保護者の方へ。子どもの部屋に入る時は必ずノックする、ノックしたあと一呼吸おいてドアを開ける(男子からの要望です)、お風呂やトイレの滞在時間が長くなっても詮索したり、急かしたりしない。
性器の大きさが気になる
思春期の男子のほとんどが気にする仮性包茎(ふだんは皮をかぶっている)ですが、勃起時に皮がむけていれば問題無いです。日本の成人男性の70%が仮性包茎といわれているので、雑誌やネットの広告を見て「手術が必要なのかな?」と、心配しなくても大丈夫です。どうしても不安な場合は、泌尿器科を受診して相談しましょう。
性器の大きさについても相談が多いのですが、自分のものを上から眺めれば小さく感じ、他人のものを横や下からみれば大きく見えるものです。勃起して4~5センチの長さがあれば問題ないといわれています。女子中高生に男子の性器の大きさについて聞いてみたところ「体のパーツ一つだけで人の魅力が決まるわけではない! 気にし過ぎ!」と、言っていました。
正しい情報にアクセス
小中高生が、性に関する悩みがある時はネット検索をするそうなのですが、多くは不安がさらに大きくなるようなことしか書いていないので、ますます困るようです。
「友達に相談しないの?」と、彼らに尋ねたら「自分の格好悪いところは話したくない」「浅い付き合いがラク」という理由から、いつもネットで調べるそうです。
ネットからの情報すべてが間違っているわけではないのですが、「性に関する正しい情報」にたどりつくことが大事なので、検索するなら「セイシル」というサイトがお勧めです。「セイシル」は、小中高生が抱える性の悩みにこたえるwebメディアで、医師や専門家の監修のもとで思春期のお悩みについて分かりやすく書いてあります。保護者の方にも参考になると思います。
ひゃくな・なお/那覇市嘱託助産師・保健師として、学校で性教育について講話。子どもたちからの相談も受け付けている。那覇市首里で、「助産院*きらきら」を開業
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毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1730号 2020年10月1日紙面から掲載」