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2020年9月17日更新

不妊治療のイマ③|不妊の原因、半分は男性

文・大嶺美幸(不妊症看護認定看護師)
不妊の原因は、WHOによると男性側に原因がある確率は約半分。男女共に検査を受けると、原因検索がスムーズに進めやすくなります。

男女共に検査受けるとスムーズ



不妊とは、生殖可能な年齢の男女が避妊をせずに性交渉を行っていても妊娠しない場合が1年経過する状態のことです。1年でおおよそ85%の女性が妊娠するといわれています(日本産科婦人科学会)。

不妊の種類には、一度も妊娠したことの無い「原発性不妊」と、これまでに妊娠(分娩(ぶんべん)や自然流産、子宮外妊娠などを含む)したことがある「続発性不妊」があります。

日本産科婦人科学会によると、排卵時期に性交渉のタイミングが合っていても、月経1周期あたりの妊娠率は20歳前半で30%、30歳で20%、35歳で10%程度です。4周期または6周期ごとを目安に、検査を進めます。

生活習慣による不妊も

不妊の原因はさまざまですが、WHOの統計=右上図=では、不妊の原因が男性のみと男女両方に原因がある場合を合わせると48%、約半分は男性です。男女共に加齢の影響を受けるので、妊娠に向けての取り組みは早めが良いでしょう。

男女が同時期に検査を受けると、スムーズに原因検索が進めやすくなります。男性の検査結果は、体調の変化で大きく値が変動しますので、参考値という気持ちで、気負わずに受けていただけると良いと思います。

精子の成長には、約90日と比較的長い時間を費やすため、日常生活も大切です。必要時は標準体重に近づけることや、喫煙や深酒などの生活改善をお勧めします。治療効果や生活改善の効果を確認するのに、おおよそ3カ月は必要となります。

近年は、生活習慣による不妊もあります。女性も男性も偏食や過食、運動不足、睡眠不足、仕事のストレスなどが影響を及ぼします。コロナ禍に、できることを取り込みましょう。

定期的にカップルで話し合いを

女性の検査は、不妊期間や年齢を考慮し、体の負担が少ないものから始めます。検査は通院が必要となり、月経周期に合わせて超音波検査や採血検査などを行います。例えば、排卵日にタイミングを数周期あわせても妊娠しない場合、医師から「卵管造影検査」の提案があるかと思います。卵管の通過性を調べる検査で、卵管の疎通性が改善されることがあり、妊娠率が半年ほど上昇します。ただ、検査に用いる造影剤で甲状腺ホルモンに影響を受ける可能性や、造影剤のアレルギーなどのリスクが多少なりともあります。検査時期や必要性、リスクを踏まえて、医師と検査の見通しを立てると良いと思います。

医師から提案される検査や治療方針に合わせて、およそ4周期ごとにカップルで話し合われることをお勧めします。いつまで続けるか、どこまでの検査・治療をするか、どのくらいの費用が許容範囲かを、パートナーと共有し、見通しをつけることが大切です。
 

女性の心への負担大きい

妊活中の女性の心理は、「先の見えないトンネルの中にいるよう」と表現されます。期待と落胆を繰り返し押しつぶされそうな思いの中、パートナーと不妊治療への認識に違いが生じ、関係性が変化することもあります。コロナ禍では、不安や気が張ること、疲労感も蓄積され、耐え忍ぶことが多くなります。

一方で、不妊の体験を通してパートナーとの関係を見つめ、対話や時間を重ねることは、今後の人生観につながり、お二人の基盤となります。ご自身の気持ちに意識を向け、お二人で気持ちや考えを共有しながら丁寧に進めていけるよう、医療と看護は寄り添いサポートします。どうぞご自身を追い込まずに、医療施設や周囲とつながっていただけたらと思います。 




おおみね・みゆき。不妊症看護認定看護師。日本不妊カウンセリング学会不妊カウンセラー。友愛医療センター不妊外来に在勤。 

毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1728号 2020年9月17日紙面から掲載」

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