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2024年11月21日更新

手指や足の慢性痛に「動注治療」|動脈に極細チューブ入れ投薬[新治療で長引く痛み改善⑩]

文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)

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ヘバーデン結節や足底腱膜炎、痛風に

当院では肩や膝などに生じる慢性痛に対し、主に運動器カテーテル治療を提供しています。今回はその一つ、手指や足の慢性痛に対する「動注治療」を紹介します。

人の血管には動脈と静脈があり、心臓から全身に血液を送り出すのが動脈で、全身から心臓に戻ってくるのが静脈です。一般的に採血や点滴で使われるのは静脈で、皮下に青白く見えます。動脈は脈を感じることができる血管で、主に血圧を測る時に用いられます。当院が治療対象としているモヤモヤ血管は動脈に生じるため、動脈に注射治療を行います。これを略したのが「動注治療」です。

動注治療では、手首、足首などの動脈の中に、点滴で使う細いチューブを入れます。そこから治療薬を注入すると、血液の流れに乗って、指先や足先の痛い所に生じたモヤモヤ血管に作用し、痛みを軽減させることができます。動注治療は、オクノクリニックの奥野祐次先生が2014年に開発した治療で、年4千件の治療実績があります。
 
動注治療のイメージ。点滴に使うよりもさらに細くて柔らかいチューブを、手首あるいは足首の動脈の中に直接挿入。そこから治療薬を注入することで、長引く痛みの原因となるモヤモヤ血管を減らす。片手・片足なら5~10分で終了。


麻酔後はほぼ痛みなし

動注治療は片手、片足なら5分程度で治療できます。局所麻酔を打つ時にチクッとした痛みはありますが、それ以降はほとんどありません。治療に使うチューブは、点滴に用いるタイプよりもさらに細く柔らか。治療後はチューブを抜き、3分間の圧迫だけで止血でき、すぐ帰宅できます。

血液サラサラの薬を飲んでいる方でも容易に止血できるため、内服を継続したまま治療ができます。治療後、注射した所に皮下出血を起こすことはありますが2~3週間で自然に消え、痕も残りません。日常生活もいつも通り。また、普段から採血が難しいと言われる方でも大丈夫です。当院では動脈の位置を超音波で確認しながら注射するため、より正確に、かつ安全に治療することができます。

入院不要 体への負担軽く

現状、手や足など治療部位は限られていますが、日帰り手術で行う運動器カテーテル治療に比べ①入院不要(初診時40~60分)で②体への負担がより軽く③低コストで治療できます。運動器カテーテル治療と同じ薬を使うため、治療効果は同程度に期待できます。治療対象は、へバーデン結節、CM関節症、腱鞘炎、TFCC損傷、足底腱膜炎、外反母趾、変形性足関節症、痛風などがあります。

さまざまな治療を受けても痛みが改善せず、生活に支障を来している方は少なくありません。加齢の影響や痛みと付き合っていくしかないと説明され、治療を諦めている方もいます。3カ月以上続く長引く痛みに対する治療の選択肢の一つになればと願います。



執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医・指導医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院


↓画像をクリックすると、さくがわクリニックのホームページに移動します

毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1946号 2024年11月21日掲載

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