特集
2024年11月14日更新
やってみよう!防災|何から始める?リアルに想像して話し合う
読者アンケートでも、リクエストの多かった「防災」。防災対策をやってみた主婦の座談会と、プロが勧める、すぐできる対策を紹介します。できることから、防災対策を始めませんか。
何から始める?
リアルに想像して話し合う
防災士の松村直子さんは「災害時は、『命を守る』が最優先。災害が起きたらどうする? をリアルに想像して家族で話してほしい」と話す。
松村直子さん。Life+Life Laboratory。31日がある月の31日に、北谷町で防災カフェを開いている
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
松村さんはシングルマザーで障がいがある。防災を学び始めたきっかけは、東日本大震災だった。「片手の前腕がなく、足が弱くて走れない。災害時に子どもを守れるか、真剣に考えた」と話す。
被災地にも足を運ぶ松村さん。「最優先は命を守ること」と言い切る。「東日本大震災で、祖母を助けて少年が亡くなったんです。祖母は『逆が良かった』と嘆き悲しんでいたけれど逆だと、孫が祖母を助けられなかった後悔を背負って何十年も生きることになる。誰もが、精いっぱい死なないことを目指すことが第一」
複数のパターンで
そのためにまずできることが、「災害になったら、どうする?」を話すことだという。ポイントは、複数のパターンを想定すること。例えば、平日の朝、夕方、休日の昼。家族はどこにいるか。どこに逃げるか。どう連絡を取り、どこで落ち合うか。「A案のほか、B案、C案も考えておいたほうがいい」とアドバイスする。
家族との連絡法を決める
特に決めておきたいのが、「家族と連絡を取る方法」。それは、「家族の安否が確認できないと、人は動けない」からだという。災害時、被災地では連絡がつながりにくくなることも想定される。松村さんが勧めるのは、①災害用伝言ダイヤル(171)②三角連絡法(遠くに住む家族や知人を連絡先に決め、そこを中継点にして連絡をする。連絡する相手を事前に決めておく)③安否確認のアプリ(家族の位置が共有できる)、などが役立つという。
旅行を想像し備え
「避難時の持ち出し品の備えは、2〜3日分の旅行を想像するといい」と松村さん。その際、命につながるもの(薬や補聴器、入れ歯、メガネ、赤ちゃん用のオムツやミルクなど)は忘れずに。また、呼吸器をつけている、透析を受けている、といった人は、災害時に病院でケアを受けられるか確認しておくことを勧める。
「防災を意識すると、普段の生活のありがたみに気付く。年に1回でいい。何かあった時に離れたくないから、みんなで考えてみよう、と話し合う機会を持ってほしい」と話した。
すぐできる対策 すぐできる防災対策を、松村さんに聞いた。
①子どもにも考えさせる
非常時に持ち出すものを、家族それぞれ考えてみましょう。ぜひ、子どもにも考えさせてほしい。ワークショップで、ものと重さが描かれたカードゲーム=写真=を子どもたちにさせると、4歳の子も真剣に選びます。
②ベッド横にスニーカー
体の中で守るべきは、頭・背中・足の裏。頭や頸椎(けいつい)をケガすると、致命傷を負う可能生があるし、足の裏はケガをしたら走れなくなる。私はベッド下収納にスニーカーや備蓄品を置いています=写真(提供/松村さん)。
③近所の人に、あいさつ
人と人とのつながりは、災害時や災害後、生きる力につながります。
地域の人と顔見知りになっておくことは大事です。お互いを知っていれば、いざという時に助け合える。ぜひ、近所の人にあいさつを。また、「誰かを助けたい」「誰かに助けてほしい」時に、意思表示をすることも大事です。必要そうな人にバスの席を譲ってみる、など一歩踏み出してみて。
取材/栄野川里奈子
『週刊ほ〜むぷらざ』やってみよう!防災
第1945号 2024年11月14日掲載