ヘルスケア
2023年2月16日更新
心臓の病気② 増える狭心症・心筋梗塞|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(105)
家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。前回に続き、心臓の病気にスポットを当て、その専門医である、ひがハートクリニックの比嘉耕一院長に話を聞きます。今回のテーマは狭心症と心筋梗塞です。
沖縄県内では30代40代で増加
心臓の病気② 一刻を争う心筋梗塞の治療
動脈硬化で血管が狭くなったり、血管内のプラークの破裂などで血管がふさがると、心臓の筋肉に酸素や栄養を運ぶ冠動脈の血流が悪くなり、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患を起こします。高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙、家族歴などが動脈硬化の危険因子となり、県内では若い世代に増えていて、働き盛りの30代後半~40代男性と40代前半の女性の虚血性心疾患による死亡率は全国ワースト5に入っています(平成27年人口動態調査特殊報告)。動脈硬化は頸(けい)動脈エコー(超音波)検査で診断できます。
一方、冠動脈がプラークで狭くなり、心筋梗塞になる危険性が高いのが不安定狭心症(急性冠症候群)です。安定狭心症と異なり、寝ているときなど安静時でも痛みを感じ、胸の痛みや締めつけ感の他、左腕の内側のしびれ、顎や歯に痛みを感じる場合もあります。こうした症状がある場合、すぐに受診が必要です。
狭心症の診断は簡単ではありません。胸痛がない時の心電図は正常なことが多く、そのため血管造影の検査(冠動脈CT・カテーテル検査)が必要です。治療法は安定狭心症の場合、薬の服用が中心となりますが、重症の場合はバイパス手術が必要です。不安定狭心症の場合は一刻も早くカテーテル検査を行い、その場で直ちにふさがりかかっている血管を広げます。そうすれば心筋梗塞になることを未然に防ぐことができます。
次回は、心不全について聞きます。
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心臓の病気②
一刻を争う心筋梗塞の治療
Q1 狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患は沖縄で増えている?
動脈硬化で血管が狭くなったり、血管内のプラークの破裂などで血管がふさがると、心臓の筋肉に酸素や栄養を運ぶ冠動脈の血流が悪くなり、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患を起こします。高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙、家族歴などが動脈硬化の危険因子となり、県内では若い世代に増えていて、働き盛りの30代後半~40代男性と40代前半の女性の虚血性心疾患による死亡率は全国ワースト5に入っています(平成27年人口動態調査特殊報告)。動脈硬化は頸(けい)動脈エコー(超音波)検査で診断できます。
Q2 狭心症とは?
動脈硬化で冠動脈が狭くなって起こるのが安定狭心症です。階段を上ったり、畑仕事をしたり、洗車をしたり、体に負荷がかかる運動をすると胸が痛くなり、動作を止めて休むと数分で痛みが治まります。こうした症状がある場合、痛みが治まったからといって安心せず、必ず循環器科を受診し、治療を受けましょう。一方、冠動脈がプラークで狭くなり、心筋梗塞になる危険性が高いのが不安定狭心症(急性冠症候群)です。安定狭心症と異なり、寝ているときなど安静時でも痛みを感じ、胸の痛みや締めつけ感の他、左腕の内側のしびれ、顎や歯に痛みを感じる場合もあります。こうした症状がある場合、すぐに受診が必要です。
狭心症の診断は簡単ではありません。胸痛がない時の心電図は正常なことが多く、そのため血管造影の検査(冠動脈CT・カテーテル検査)が必要です。治療法は安定狭心症の場合、薬の服用が中心となりますが、重症の場合はバイパス手術が必要です。不安定狭心症の場合は一刻も早くカテーテル検査を行い、その場で直ちにふさがりかかっている血管を広げます。そうすれば心筋梗塞になることを未然に防ぐことができます。
Q3 心筋梗塞とは?
血管内がプラークの破裂や血栓などで詰まり、冠動脈への血流が止まり、心筋が壊死(えし)するのが心筋梗塞です。突然、締め付けられるような激しい胸の痛みが起こり、冷や汗や呼吸困難を伴うこともあります。詰まった冠動脈を再び開通させれば、壊死の範囲を少なくすることができるので、できる限り早く治療を開始することが非常に重要です。タイム・イズ・マッスルと言われるゆえんです。激しい胸の痛みが続くときは、迷わず救急車を呼んでください。次回は、心不全について聞きます。
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比嘉耕一さん/ひがハートクリニック院長 日本循環器学会専門医
ひが・こういち/広島大学医学部卒。東京女子医大心臓血圧研究所、牧港中央病院などを経て2009年10月ひがハートクリニックを開院。日本循環器学会専門医。日本内科学会認定内科医。モットーは「患者さんの立場に立つ親身な治療」。
ひがハートクリニック
電話098-875-4810
浦添市港川2-23-2
文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家庭の医学手帳<105>
第1854号 2023年2月16日掲載