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2021年4月22日更新

[沖縄・彩職賢美]社会福祉法人海邦福祉会 事務局長の知念恵さん|障がい者福祉寄り添い歩む

社会福祉の理念は障がいがあってもやりたいことができるよう一緒に考え、寄り添うこと。長期化するコロナ禍に福祉の現場は疲弊していますが、理念を実現するため、アロマを取り入れるなど、利用者と職員の心と体のケアにも努めています。

「みんな違って、みんないい」

社会福祉法人海邦福祉会
事務局長 知念 恵
 さん

人と福祉アロマでつなぎ
障がい者への理解広げる


「社会福祉は制度や地域づくりを先にして、障がい者を当てはめることではない。障がいがあってもやりたいことができるよう、一緒に考えて寄り添うことが大事」

社会福祉法人海邦福祉会で事務局長を務める知念恵さん(47)の瞳には信念が宿る。社会福祉に携わり30年。現在は同法人の理事長を務める夫や約70人の職員とともに、約150人の障がい者の生活を支援している。

熊本の高校を卒業後、地元の社会福祉法人に就職したのがきっかけで福祉の道へ。資格や経験はなかったが、障がい者の就労や生活の支援など寄り添う仕事は、「自然でいられ、喜びを感じる」ことだった。

沖縄出身の夫とは職場で知り合った。交際中だった夫の帰郷を機に、義母が読谷村で営んでいた海邦福祉会へ入社。当時は社会福祉事業に対する世間の認知度は低かったが、夫と力を合わせ、施設入所支援、グループホーム、放課後等児童デイサービスなど、数々の事業の先陣を切ってきた。

「障がい者でなくても、できないこと、苦手なこと、こだわりはある。互いの違いを認め、人としての尊厳を持ち、障がい者が地域の生活者として当たり前に存在し暮らしていけるようにしたい」

法人事務局のデザインコンセプトに、金子みすずの「みんなちがって、みんないい」を取り入れたのも、そのメッセージを職員や訪問する人々へ伝えるためだ。壁に造りつけた青い飾り棚やパソコンのキーボードをイメージした天井の装飾は、大きさや色などバラバラなものを組み合わせてできている。「違いを認め、寄り添える人を職場にも地域にも増やしていきたい」と言葉に力を込める。



知念さんは、アロマをツールにした新しい取り組みにも力を注ぐ。

きっかけは昨年から続くコロナ禍。障がい者の体を支えたり、食事や歯磨きの介助など、福祉の現場で密な接触は避けられない。その上、知的障がいでマスクの必要性を理解できない人や、感覚過敏などの理由でマスク着用が困難という人も多い。「意思疎通の難しさを理由に、新型コロナウイルス感染症に感染しても入院が困難になることが予想される」と危惧する。

高齢者や小さな子どもを抱える職員もいる。感染から利用者も職員も守ろうと、現場には常に緊張感が張り詰め、長期化するコロナ禍に福祉の現場は疲弊しているという。知念さんは、消毒液やマスクなどを必死で集め、日常生活の行動についても全職員に協力を求めて感染予防を徹底。さらに、以前から学び、日々の暮らしや心身のケアに活用してきたアロマも導入した。

抗菌やリラクゼーションへの効果を期待して各事業所にアロマディフューザーを設置したところ、「アロマの香りに利用者も職員も表情が和らぎ、ストレスの軽減につながっている」とほほ笑む。香りが会話のきっかけになり、反応から「疲れているな」「体調が悪そうだな」など健康観察にもつながった。

また、地域の人が参加できるアロマのワークショップを事業所で開催。「新しい交流が生まれ、福祉に関心を持つ人が増えた」と喜び、「アロマで人々と福祉をつなげ、障がい者への理解を広げたい」と話す。

「誰も知り合いのいない沖縄に来て、私自身がアロマなど福祉以外でつながった人々によって救われた。その交流のおかげで視野が広がり、福祉の仕事にアロマが生かせることを知って自信にもなった」と感謝する知念さん。励まし、支えてくれる人々の存在が、人に寄り添い歩む知念さんの福祉の道に心和む花となって咲いている。



 居心地良い空間にリフォーム 

こだわりが詰まった障害者支援施設高志保園の食堂はカフェのような雰囲気(知念さん提供)

「ここに暮らしている人が心地よい施設にしたい」と、リフォームが進行中の障害者支援施設高志保園。「殺風景な暗く臭い施設でなく、きれいで明るく、良い香りのする空間が誰だっていい」と知念さん。車椅子の利用者が多いと、メンテナンス費用を考えた硬い床が多いが、同法人では安全面を優先し転んでも大丈夫な床に変更。食堂はおしゃれなカフェのようにして、外にはウッドデッキも設置。「みんなが集まってくつろいでいるのを見ると、作って良かったと思います」とほほ笑む。


 弁当&パン 利用者が製造販売 

知念さん提供

海邦福祉会が運営する就労継続支援B型「ベジラボ」と「Bakery&Cafe Pod」では、お弁当やパンを施設利用者が製造販売している=写真。

「読谷村の健康増進」をコンセプトに提供するヘルシー弁当は平日毎日20〜30食を製造。パンも一緒にベジラボ前や、読谷村役場裏口などで販売しており、地域の人々などに人気だ。


 アロマが交流のきっかけに 

知念さん提供

コロナ禍で売り上げが減少した就労継続支援B型の事業所で、アロマのワークショップを開催したところ、地域の人を呼び込み、福祉に関心を持ってもらうきっかけになった=写真。知念さんはアロマ関連の取り組みを「Kokoiki」(ココイキ)の名称で事業化。今後も読谷村伊良皆にある事業所を拠点にして、月に4〜5回ほど開催しながら「社会福祉と障がい者理解につなげたい」と意気込む。



◆社会福祉法人海邦福祉会 ☎︎098・958・4483



プロフィル
ちねん・めぐみ
1973年、熊本県出身。高校卒業後、地元の社会福祉法人施設に就職。障がい者の自立や生活の支援、施設長秘書、経理も担当。2004年、知念隆生さんと結婚。義母が1990年に設立した社会福祉法人海邦福祉会へ入社。2012年、事務局長に就任。施設入所支援、生活介護、短期入所、就労継続支援、共同生活援助などを行う3事業所を運営。アロマ関連では2007年、バリニーズマッサージ、2019年、レインドロップテクニックなど多数の資格を取得。



今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 文/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1382>
第1759号 2021年4月22日掲載

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