台南で昔の那覇を思ふ|新城和博のコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

新城和博

2018年5月3日更新

台南で昔の那覇を思ふ|新城和博のコラム

ごく私的な歳時記Vol.39|首里に引っ越して20年。「ボーダーインク」編集者でライターの新城和博さんが、この20年も振り返りながら、季節の出来事や県産本の話題をつづります。

東アジア出版人会議という国際会議に参加するために生まれて初めて台南へ行った。台湾の南にある街だ。実は台湾に行くこと自体初めてなのだが、ぼくのまわりの友達は台湾によく遊びに行く人が多く、なんとなく勝手に行った気になっていたのだが、実際のところ、やっぱり初めて来た気はしなかった。



会議の行われた台南は、台北よりも古い地域だという。台北から高速列車で2時間くらい南に下った熱帯地域で、戦前からの古い街並みが残る古都といった感じ。宿泊するホテルに向かうバスから眺めていると、通りのあちらこちらに日本統治下時代の石造りの立派な建物が残っていた。威風堂々という感じの建物の間を埋めるようにして、大小さまざまなビルがびっしりと立ち並ぶ風景は、やっぱりなんだか以前どこかで見たような気がしてしまう。デジャブとはまた違う感じ……。建物そのものが歩道を覆うひさしというかアーケードになっていて、その下の食堂が屋台のようにテーブルを出していたり、バイクや車が突っ込まれている。間口は広くないが、長屋のような細長い感じの間取りが多くて、いろんなタイプの店舗が並んでいる。食堂、ブティック、電気屋さん、こじゃれたカフェ、占い屋さん、病院、ヘアサロン、屋台……沖縄をはじめとして日本の地方都市で失われていった活気のある商店街という言葉がぴったりだ。80年代の国際通りを10倍にした感じというか(どんなよっ!)。



ホテルについてさっそく周辺の通りを散歩してみたら、なんだかタイムスリップした感じになってしまい、楽しくなってしまった。通りを少し外れると、行き止まりのように見えてどこかに通じるというすーじ小もちゃんとありました。余裕で散歩して気がつくと、迷子になってしまった(オトナなのに)。やはり異国でありました。



会議は、台湾の出版人たちがホストとなり、中国、香港、韓国、そして日本の出版人によるテーマに応じた発表が二日間びっしりと行われる。そのなかに交じってぼくも沖縄の出版事情について語った。沖縄(琉球)も東アジア出版界の一員である、というのは、ちょっと大げさかなと思うのだが、気にしないで、むかし編集した『HAPPY ISLANDの本』(エフエム沖縄・多喜ひろみ編)について発表した。優秀な同時通訳の方が、中国語、韓国語に訳しているのだが、はたして理解してもらえただろうか。ラジオのリスナーたちが、はがき、FAX、メールで投稿してきた楽しいお便りをまとめて本にしたんですよ、そんなハッピーな時代があったんですよ……。



会議の日程が終了したあと、台南の歴史を表す遺跡、廟(びょう)や博物館を訪問するバス旅行に参加した。台南は、台湾の中でももっとも古い都市らしく、もともと小さな島があって、16世紀ころから中国近海で交易(密輸入も含む)する、中国、日本やヨーロッパ各国の商人たちの船が立ち寄るようになって貿易港となり、浅瀬を埋め立てしているうちに、陸続きになったのだそう……。ほとんど古琉球時代の那覇の成り立ちと一緒である。

そうか、そうか。それでなんとなくデジャブ感があったのか、と勝手に納得しちゃおう。ガイドの方が、このオランダ商人が建てた城は海のそばで、通りの向こう側からは海岸線でしたという説明に、三重城(ミーグシク)とか東町の大市場(うふまち)、久茂地川あたりを思い浮かべてみた。



泊まっていたホテルの真向かいにある「林百貨店」は、戦前建てられた日本のデパートの造りをそのまま残していたレトロな佇まい(たたずまい)がすてきだった。戦前の那覇のメインストリート(いまの西町・東町あたりです)にあった山形屋がこんなふうに残っていたらなぁと、少しだけノスタルジックな気分になったのでした。


 

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ライター/編集者
1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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