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2020年7月16日更新

不妊治療のイマ①|withコロナ 治療はどうする? 正解求めず柔軟に対応

不妊のカップルは5.5組に1組と言われています(厚生労働省調べ)。不妊治療のイマについて、不妊症看護認定看護師の大嶺美幸さんが紹介します。今回は、ウィズコロナでの治療への向き合い方です。

文・大嶺美幸(不妊症看護認定看護師)

新型コロナウイルス感染症の影響を受けているすべての方々に、心よりお見舞い申し上げます。

今年5月、日本生殖医学会より、新型コロナの影響で不妊治療を延期していたカップルへ、新型コロナの感染防止対策を行いながら医師と相談をし、十分な説明と同意をもって不妊治療の再開を考慮する一方で、感染拡大の場合、治療の延期も視野に入れ、状況に応じて選択するよう通知がありました。

先が見えない混沌とした状況の中、どう治療を選択するか。もともと不妊は男女に要因があり、カップル単位の診療になりますが、通院は女性が主になり、身体・精神・社会的負担が大きくなりがちです。さらに現在は、新型コロナの影響で経済的、精神的な不安が増しています。


不妊治療で女性にかかる負担
 

精神的な負担 妊娠する保証の無い治療に対するつらさ。先が見えない不安。期待と落胆の繰り返し。パートナーとの意思統一の難しさ。職場への気兼ね。年齢による焦り。怒り、悲嘆、喪失感、罪悪感、孤独感、など。
身体的な負担 診察や採血検査、注射による痛み、治療による副作用など。
社会的な負担 経済的な負担。仕事と治療の両立など。
時間的な負担 通院・診療時間。
時間的な負担 通院・診療時間。

 

情報をうのみにしない

日本生殖心理学会は、コロナ禍で不安を抱えている不妊治療中の方へ、新型コロナの心配事に対処するコツとして、①不確実な情報に踊らされない②一つだけの正解を求めない③「一人でいること」「つながること」の両方を大切に、という指針を出しました。

①は情報をうのみにせず、一次情報(本人が体験したオリジナルの情報)か、根拠や反論も合わせて調べることが必要です。

②では、状況が変わる中、一つの正解を求めるのではなく、幅広い選択肢を持つ柔軟性を持つことが大切だとしています。


③は、精神的な安定のために、「一人でいる時間」を持ちつつ、「人といる時間」のバランスをと説いています。心地良いバランスは、それぞれで変わります。

自分や相手をよく見る


コロナ禍で治療方針でもめることのあるこの時期、欠かせないのがカップル間のコミュニケーションです。ポイントは三つ。①自分の心身のケア②意識して自分や相手の感情・思考・行動などを見る③信頼関係を築いて対話をする、です。

基本は①です。心身のケアのためにも、運動と休息のバランスを取ること。栄養バランスのいい食事やウオーキングなどの運動で体を整えつつ、アロマや好きな音楽、自然に触れるなど、リフレッシュできる時間を持つといいでしょう。時間的、気持ち的なゆとりを持つために、必要な場合は休息、睡眠を。ありのままの感情を肯定することも大切です。

その上で、②意識的に自分や相手を見ることで、気付きが得られます。パートナーへの悲しみ、腹立たしさ、といった感情は、どんな状況で起こるか。どうしてそう思ったか。書き出したり、誰かに話をすると、気持ちが整理できたり、区切りがつくことがあります。
③②で観察した後に、自分はこう感じたけど、どう思う? と確認をするといいでしょう。自分と相手を尊重し、相手の話をきちんと聞くこと、自分の思いを率直に伝えることを心掛けると、信頼関係が深まります。

ご自身やカップルで抱え込まないよう、相談先も確保を。医療機関では多職種のサポートを受けることができます。治療方針は医師へ、治療に対する不安や悩みは看護師へ、心理的な悩みに関しては臨床心理士やカウンセラーへ、ご相談ください。

どうかご自分を追い込まず、余力を残して、周囲(医療従事者、友人など)に頼っていただけたらと思います。今だからこそ、ご自分をいたわり、カップルでゆっくり話し合ったり、生活を見直したりしてみてはいかがでしょうか。


オススメの本


「妊活に疲れたら、開く本」 平山史朗著 主婦の友社発行
著者は生殖心理カウンセラー。落ち込んだり疲れた時に、違う視点を得ることで楽になれる。

相談先
「沖縄県不妊専門相談センター」
電話098(888)1176 
医師や助産師など専門の相談員が、不妊・不育に関する相談に面談やメール、電話で応じる。 



おおみね・みゆき。不妊症看護認定看護師。日本不妊カウンセリング学会不妊カウンセラー。豊見城中央病院不妊外来に在勤。 

毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1719号 2020年7月16日紙面から掲載」

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

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