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彩職賢美

2019年9月26日更新

[彩職賢美]シンガー・ソングライター フリーバスガイドの島袋李奈さん|記憶に残る歌 届けて走る

もともと人を楽しませることが好き。高校時代は道化師、看護師に憧れ、バスガイド、シンガー・ソングライターと道を歩みましたが、「人を楽しませたい」という芯の思いは変わりません。学んだ全てが今の活動につながっています。

彩職賢美

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歌の力でみんなを元気に

シンガー・ソングライター 
フリーバスガイド
島袋李奈 
さん

ステージもバスの中もマイク片手に全力投球

「ハイターイ! 島袋李奈ヤイビーン。ユタサルグトゥ、ウニゲーサビラ!」 

シンガー・ソングライターでフリーのバスガイドという異色の経歴を持つ。ライブでステージに立つときも、ガイドでバスに乗るときも、マイクを握るときは全力投球。声や顔の表情、身ぶり手ぶりも大きく、彼女が話せばまるで照明のワット数を上げたかのように、その場は途端に明るくなる。

うるま市出身で現在は神奈川県横浜市を拠点に全国の道の駅やイベントでライブを行う。ことし7月にはクラウドファンディングを活用してオリジナルアルバムを2枚同時にリリース。ワンマンライブも成功させた。歌の活動の合間に沖縄をはじめ各地でバスガイドも行う。その理由は「全国で幅広い年齢層の人に歌を届けたいから。どこでも私が沖縄出身であることを話し、身近に感じてもらえるようにしています。憧れは綾小路きみまろさん」と威勢がいい。
 
高校卒業後、沖縄でバスガイドとして勤務し、転職で愛知県へ。歌の活動を行うようになったのは、東日本大震災でのボランティア活動がきっかけ。被災材の撤去作業をしながら老人ホームや仮設住宅で交流したとき、趣味のギターを弾いて、バスガイドのときのように唱歌や童謡、懐メロなどを一緒に歌った。

「最初は、よそ者がきたときのピリついた緊張感がある。それでも歌っていくと、声が重なっていき、心がほぐれてくるのが分かるんです。最後には初対面の私にいろいろな話を素直に打ち明けてくれる。歌の力に深く感動し、歌作りに興味を持つようになりました」と話す。
 
「ふるさと」や「埴生の宿」のように曲が流れれば、歌詞を見なくても歌えるような、心と記憶に残る歌を作ることが夢。地元で過ごした幼少期の思い出を歌にした「うえず十字路」は琉球放送の「おきなわのホームソング」に採用された。その他の楽曲も、命、平和、夢など、彼女自身から生み出される言葉がメロディーとパワフルな歌声に乗り、人々を魅了している。


ライブではキーボードを弾きながら歌うスタイルが多いが、「ピアノもギターも我流だし、楽譜も読めない。自分の声もコンプレックスだった」と打ち明ける。

小さなころから音楽が好きで、ピアノ教室に通いたかったが、家が貧しく諦めざるを得なかった。母はある日、粗大ごみから壊れたオルガンを拾ってきた。音の鳴らない部分は自分の声で補って練習した。今では好きな音楽で全国を回り活動している娘の姿に「静かに喜んでいる」と母の様子をうれしそうに話す。 横浜で料理店「ぐすく」を営む伊江島出身の女将も、お母さんと呼ぶ大切な人。「いつも応援してくれて、伊江島をはじめいろいろな人とつなげてくれた恩人」と感謝する。そんな周りの人々への恩返しとして「紅白歌合戦への出場」を目標に掲げる。
 
「私の歌で、元気になったり、勇気付けられたり、悲しいときには素直に涙を流せたり、その人に寄り添うような歌をつくっていきたい」

沖縄から世界へ。島袋さんが歌に魂を込める。


きっかけは震災ボランティア

みんなの前で歌を披露し、みんなを元気づける島袋さん(右)(島袋さん提供)

島袋さんが歌の活動を始めるきっかけとなったのが、東日本大震災でのボランティア活動。「何もせずにはいられず」、当時、暮らしていた愛知県で立ち上がったボランティア団体「愛・知・人」に参加。最初は宮城県南三陸町で被災材の撤去作業に取り組んだ。

東松島では、老人ホームや仮設住宅での交流の際に、趣味でやっていたギターを持ち込み、唱歌や童謡などを一緒に歌うようになった。その後も現地を訪れ、交流を続けている。


伊江島は第2のふるさと

「伊江島ゆり祭り」でも歌を披露し、会場を盛り上げた島袋さん(左)(島袋さん提供)

横浜に暮らす島袋さんが「大切にしている場所」と話すのが、伊江村長公認の沖縄料理店「ぐすく」。そこで縁がつながり、伊江島で開催される「ゆり祭り」や「伊江島マラソン」などのイベントに毎回呼ばれるようになった。

ぐすくに集まる関東在住の伊江島出身者や常連客で11月に開催を予定している伊江島ツアーには、島袋さんがバスガイドとして同行を予定しており、島袋さんも「今から楽しみ」と笑顔を見せる。


オリジナルCD2枚を同時リリース

ニューアルバムのチラシ

島袋さんは、クラウドファンディングを活用して、2019年7月7日にオリジナルCD「shinka1」「shinka2」を同時発売。「shinkaは、沖縄の言葉で仲間という意味があります。他にも新歌、進歌、進化という意味も込めました。

今回は素晴らしいメンバーによる生演奏でレコーディングができました。仲間と奏でた新歌が、進歌して、あなたに届き、それが進化して風を起こす、私のshinkaになってほしいと思っています」と島袋さん。

今後はCDにも収録されている「らのうた」とクラウン(道化)の練習で身に付けたバルーンの技術で保育園を回る活動にも力を入れたいと話す。県内では那覇市の高良楽器店で販売している他、ライブ会場、郵送でも直接販売している。詳細は、島袋さんの公式ホームページで。

https://shimabukurorina.jimdo.com



プロフィル
しまぶくろ・りな

1982年、うるま市上江洲出身。前原高校を卒業後、北部観光でバスガイドとして3年勤務した後、転職し愛知県へ。東日本大震災をきっかけに同県で設立されたボランティア団体「愛・知・人」の活動に参加。被災者との交流を通じ、歌の力に感動し、2013年より歌作りを始め、15年、オリジナルを中心にライブ活動を開始。17年、神奈川県へ移住。音楽活動に力を注ぎながら、バスガイドの仕事も再開。


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撮影/比嘉秀明 文/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1344>
第1678号 2019年9月26日掲載

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