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彩職賢美リターンズ

2019年9月5日更新

[彩職賢美リターンズ](有)ハイビスカスクッキングスクール校長、沖縄薬膳みそ(株)代表 食育研究家の知念美智子さん|みそ造り一筋35年 後進の育成にも力

彩職賢美に出た人が再登場する「彩職賢美リターンズ」。2回目は、(有)ハイビスカスクッキングスクールと沖縄薬膳みそ(株)を経営している知念美智子さん。子育ての苦い経験から食の大切さに目覚め、みそ造り一筋35年。「多くの人に薬膳みその良さを伝えたい」と製造・研究を重ね、2010年に特許を取得。新たに華みそ造りのマイスター制度を導入し、後進の育成にも力を注ぐ。

(有)ハイビスカスクッキングスクール校長
沖縄薬膳みそ(株)代表
食育研究家
知念美智子 
さん

20年かけ製造技術を確立
みそ通し健康作りにまい進


彩職賢美に出た2006年には、私が開発した薬膳華みそに関する「みそとその製造方法」の特許出願中で、周りの人たちから注目されていました。みそ造りは伝統的な食文化だけに、特許に必要な「新しさ」を認めてもらうのが難しくて、特許庁からはなかなかいい返事がもらえませんでした。

でも、家族をはじめ、特許取得を勧めていただいた県発明協会のメンバー、みその研究・分析に協力いただいた、発酵学の第一人者で東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生、医学的見地からは琉球大学名誉教授の伊藤悦男先生など、専門の先生方の協力もあり、諦めようと思ったことはありませんでした。

特許庁から却下されるたびに弁理士の福島康文先生とともに、「次はみそというより、一つ一つの原料の成分を分析して伝えよう」などと、取得のためのアプローチを練りました。

ようやく登録にこぎつけたのは2010年。「続けてよかった」って素直に喜んだのを覚えています。特許取得後は、文部科学大臣表彰や沖縄の産業まつりでの県知事賞受賞、沖縄市のふるさと納税返礼品にも認定されたのです。苦労したかいがありました。


娘のぜんそく治療を機に「体は食べ物でつくられる」

振り返ると、発酵食を代表するみそ造りを続けて35年。薬膳華みそを考案したのは、娘のぜんそく治療がきっかけでした。月に何度も入退院を繰り返すほど重症で、そのたびにレントゲン撮影があり、放射線の影響が気になっていました。偶然、病院にあった医学誌で、広島大学の渡邊敦光名誉教授が、みそは放射線を体外に排出するという研究を発表した記事を目にしたんです。それを見た瞬間「自分でみそ造りをしよう」と決めました。

それからは、試行錯誤の繰り返し。「簡単にできて、安心、安全なみそ」造りを研究。「今する、すぐする、絶対する(笑)」が私のポリシーだから。
 みそは大豆、米麹、塩で造りますが、私も一般的な白米麹を使ったみそ造りからスタート。みそは毎日食べるものだから、できるだけ体にいい食材を使いたくて、体に良いと言われる食材を試しながら、改善していきました。そしてたどり着いたのが、玄米、ハトムギ、黒ゴマ、黒大豆、黄大豆、塩を使った「薬膳華みそ」。気がつくと華みそとその製造方法が確立するまでに20年もかかっていましたね。


仕事も人生も失敗は学べるチャンス

続けてこられたのは失敗したから(笑)。失敗するからもっと良くしようと挑戦するし、同じ失敗を繰り返さないよう工夫もする。失敗をチャンスに変えられるかは自分次第! その人の捉え方だと思うんです。

人生も同じ。娘がぜんそくになった時、体は食べ物で作られると気づき、妊娠中の自分の食生活が少なからず影響していたと知った時は、ショックで。悩みに悩みましたが、後悔しても始まらない。過去の苦い経験を引きずるよりも前を向いていたいと思うようになったんです。


県内外で講座を展開 マイスター制に!

特許取得時は、ビジネスとしての目的が大きかったのですが、やはり、安心、安全で誰でも簡単に造れるようにしたいと思うように。大事な特許を生かして、失敗しないみそ造りを広めたいと思いついたのが「薬膳華みそ」のマイスター制度と分校制度。

学んだマイスターたちが、毎日の家族の健康作りに役立てたり、講師になり収入につなげてもらいたい。

資格取得はことし5月からスタート。月に1、2度は県外にも出向いて講座を開いています。5月、6月に福岡で実施した講座には194人、先月の東京の講座には86人もの参加者がいました。多くの人が私の造るみそに興味を持ってくれた。それがうれしいんです。これからは、地域や学校、子どもたちの食育、みそ造りを通して健康長寿につながる指導をしていきたい。何よりも家族の健康を守る家庭の「食医」であるお母さんたちとともに学びながら、全国を駆け回り、手作りみそを通した健康作りを広めたいですね。

「食育」っていうと難しく捉えがちだけど、三度の食事は毎日のことだから、シンプルに具だくさんのみそ汁とごはんは毎日いただきたいと思います。みそ汁の具は季節に捕れる旬のもの。海のもの山のもの、実になるもの、根のもの、葉のもの、その土地で採れた食材を入れればバランスがとれます。みそ汁に合わないものはないと言っても過言ではないと思います。みそ汁一杯から始まる健康をお母さんたちに伝えたい。


薬膳華みそが文部科学大臣表彰

東京農業大学教授の小泉武夫氏と共に文部科学大臣表彰で、「創意工夫功労者賞」の受賞を喜ぶ知念さん(左)=知念さん提供
 


みそ玉をつくる知念さん(右)
 

知念さんが開発した「薬膳華みそ」(右)。近年の調べでは、生活習慣病の原因とされる活性酸素を分解・除去する酵素SODは熟成1年で1g中4020~4860。緑茶が700、赤ワインが1000など、他の食品に比べ数値が高い。また、体内で病気の原因となる変異原と戦う力の「抗変異原性」が98%と高い。平均的な米みそが30~50%なのに比べると特徴的。さらに必須アミノ酸、その他のアミノ酸が他のみそに比べて1.5倍以上。​

(有)ハイビスカスクッキングスクール
090-8763-6176



プロフィル
ちねん・みちこ

1947年生まれ。国頭村出身。長女にぜんそくがあったことで「食育」に取り組みはじめる。1981年、手作りみそを造り始め、薬膳華みそを考案。料理教室を通し、普及に努める。2004年に特許を出願し、10年に特許を取得。現在、「薬膳華みそ」造りをマイスター制にし、後進の育成にも力を注ぐ


初登場の紙面(2006年4月27日掲載)


撮影/比嘉秀明 編集/安里則哉
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美リターンズ<2>
第1675号 2019年9月5日掲載

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安里則哉

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日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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