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2019年5月30日更新

[彩職賢美]FMよみたん副局長・ラジオパーソナリティーの比嘉美由紀さん|地域の情報 声で届ける

「将来はマイクでしゃべる仕事がしたい」と思ったのは幼い頃。挫折や他の職業に就くなど、遠回りをしてたどり着いたのは地元のコミュニティーラジオ局のパーソナリティーでした。入社11年目の今でも、ラジオ放送の仕事はとても楽しく、天職だと思っています。「ラジオ聞いているよ」「あの情報を知れて良かった」というリスナーの声にやりがいを感じ、励まされています。

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やりがいはリスナーの声

FMよみたん副局長・ラジオパーソナリティー
比嘉美由紀 さん

遠回りしても、夢実現 ボランティアから副局長へ

「今日もメッセージが来ていますよー。それではご紹介しますね」。すっきりとした明るい声の主は、FMよみたんのラジオパーソナリティー比嘉美由紀さん。思わず返事をしたくなるほどのフレンドリーさが、声だけで伝わってくる。

平日朝7時~9時の間、読谷村内のイベントや公民館・学校からの情報を届ける番組を10年続けてきた。村民から「ラジオ聞いているよ。あんたの声聞くと元気になるさー」と言われると「朝からやがましくないねー?」と笑って返す。「聞いてもらえることがありがたい。リスナーさんからメールや電話で『あの情報教えてくれてありがとう!』というメッセージを受け取ると、うれしい。やりがいを感じます」

しかし、毎日の放送に満足はしていない。初めて一人で番組を担当した時は、緊張で頭が真っ白に。放送終了後は悔しさで号泣し、パーソナリティーになったことを後悔した。現在でもリスナーからうちなーぐちの読み方を電話で教えてもらうこともあり、「完璧だと思えた日は一日もない。自分に満足していないから、今も続けているのかも」と話す。担当番組の放送終了後は、営業活動に精を出し、スポンサーにラジオで流す広告の提案を行っている。

県内外の学生のインターンシップを受け入れている同局。ラジオ局の仕事や、情報収集の方法を教えながら、「学生たちに夢を与えられる人でいたい」と語る。「私は遠回りしたけど、夢だった仕事にたどり着いた。夢を持ち続けて口にすると、周りの人たちが応援してくれる」と伝えている。


「マイクでしゃべる仕事がしたい」と思ったのは幼少期。アナウンサーの専門学校への進学を考えたが、夢がかなうか不安になり、断念した。福岡の短大に進学後、将来やりたいことを考えると、思い浮かんだのはやはり「マイクでしゃべる仕事」だった。就職活動ではラジオ局やテレビ局を受験したが、苦戦している頃に他の学生から「在学中にマネジメント事務所に所属して経験を積むのが一般的」と知らされた。「私の勉強不足。周囲の学生にかなわないと思って諦めました」

「沖縄で経験できない仕事を」と気持ちを切り替え、新幹線の乗務員に。接客が大好きだったが、事務職への異動を打診され、30歳で退職。その後は「仕事をやり切り、燃え尽き症候群になった」と振り返る。約1年、充電期間としてゆっくり過ごし、そろそろ働こうと思った頃、同局の設立を母から聞いた。「やってみたら」と背中を押され沖縄に戻ることを決めた。

しかし、募集していたのはボランティアスタッフ。不安はあったが、やりたいと伝えると、平日の朝2時間の番組を担当することに。「開局当初は社長と、もう一人の社員が大変そうで、放っておけなかった。私ができることをと、午前中はボランティアでお茶くみや、スタジオの清掃をしました」。その頃、社長に「私が外回りで不在の時、スタジオを任せたい」と、それまでのボランティアからアルバイトとしての採用を提案された。「『私が、営業活動を頑張り、3カ月後に正社員として採用するから!』と言われたので、信じて待つことにした」と懐かしそうに笑う。

開局前の研修から数えると10カ月後、正社員になり、今では副局長としてトラブルやクレーム対応をする責任ある立場に。「組織をまとめ、引っ張る役割だけど、実は得意ではない。指導力は私の課題かな」と自身を分析する。入社11年目の今でも「放送業務が楽しい」という思いは変わらず、村内外のイベントやお祝い事の司会など活動の場は広がった。「話し方や段取りなど、毎回勉強。読谷が好きだから、これからも地域の情報を伝えて、いつか読谷村=比嘉美由紀って言われるようになりたい」と声を弾ませた。

今日もラジオに耳を傾け、明るい声に元気づけられている人がいるのだろう。 


今年で入社11年目に

開局10周年イベントの余興でスタッフをまとめる比嘉さん(右)/編集部撮影

開局と同時に入社した比嘉さんは今年で入社11年目。当初2人だった正社員も今では15人になり、比嘉さんは「私の下に13人いるので、後輩を指導したり、みんなをまとめたりするなど組織作りも私の仕事です。責任感を感じます」と話す。

昨年開催された開局10周年のイベントでは、村内外から今までにお世話になった人たちを招待し、余興や料理でもてなした。県外からも同局の放送を楽しみにしている人々が集まるなど、大盛況のイベントだった。


「声」で周りが振り返る

休日は家族と買い物に行くこともあるといい、「スーパーに買い物に出かけたときに、店内で少し離れた場所にいる母に向かって『おかーさーん』と呼んだら、周りの人が『ん?』って振り返ったんです」というエピソードを紹介してくれた。「聞き覚えのある声だと思われたんでしょうね」と笑顔を見せる。

仕事のときと休日の一番の違いは「メイクや服装」と話し、休日はメイクが薄めになり、服装はカジュアルになるのだそう。「仕事でお付き合いのある人は、休日モードの私と会ってもなかなか気付かないんです」

仕事用のメイクや服装だと「ピシッとした気分になる」といい、どんなメイクやヘアスタイルにするか、洋服を着るかでオンとオフを切り替えているようだ。


ペットの「いぬん」

トイプードルのいぬんと写真を撮るプライベートの時の比嘉さん/比嘉さん提供

トイプードルの「いぬん」は飼い始めて7年。「以前から弟が、犬を飼うなら名前はいぬんにすると決めていた」

比嘉さんの起床時間である毎朝5時頃、部屋に入って来るそうで、「『仕事だけど美由紀は起きてるかなー』って確認しているみたい」と笑う。「起きてるよー」と声をかけると、静かに部屋を出ていくようだ。帰宅したときも玄関で待っているようで、「賢いところもかわいい」とメロメロ。



プロフィル
ひが・みゆき

1976年、読谷村生まれ。読谷高校卒業後、九州帝京大学短期大学(現在は帝京大学福岡キャンパス)に進学し、卒業。2008年にボランティアスタッフとしてFMよみたんの開局に携わり、2016年、副局長に就任。2018年から執行役員。平日朝7時~9時の情報番組「べにいも村イモーニング」と、毎週木曜日の防災情報番組を担当。昨年防災士の資格を取得。

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撮影/比嘉秀明 編集/比嘉知可乃
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1334>
第1661号 2019年5月30日掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
比嘉知可乃

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新人プランナー(企画・編集)
1990年生まれ、うるま市出身。365日ダイエット中。
真面目な話からくだらない話まで、「読んだ人が誰かに話したくなる情報」
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