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2019年4月11日更新

[翔べ!わかむんちゃー under30]お笑い芸人・ありんくりん|沖縄らしさ 笑いで表現

正月の家庭の様子や、外国人への道案内など、沖縄で身近に見かける場面をネタに漫才やコントを披露するありんくりん。ウチナーンチュが笑いながら共感できる掛け合いは、ひがりゅうたさんとクリスさんならでは。ウチナーグチを積極的に使い、三線や歌、ダンスを取り入れた芸は「見たことあるようでなかったもの」として県民を魅了している。

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見たことない芸を県民に!

県内の各界で活躍するわかむんちゃー(若手)を取り上げます。第1回はお笑い芸人のありんくりん。昨年は「お笑いバイアスロン」、今年1月には「O-1グランプリ」と県内の二つのお笑いコンテストで優勝を飾った2人に話を聞きました。

照屋林助さんや小那覇舞天さんの影響も

Q・ウチナーグチや三線を使ったネタが多いですね。

りゅうた 僕は沖縄のゆっくりとした時間の中で見せるウチナーンチュの表情とか話す言葉の間、テンポが以前から好き。クリスとお笑いをやると決めた時から、沖縄らしいネタで、アメリカ人(クリス)が関わると面白くなると思っていた。

クリス 沖縄吉本のお笑い養成所(NSC)に入学する前、2人で北谷で遊んだ時に偶然、照屋林賢さんと出会ったことも大きい。「君たちは何者ね?」って聞かれて、調子に乗って「俺たちは沖縄のお笑い芸人になりますよ」って言ったら「じゃあ明日からネタ見せに来て」って言われて。正式なデビュー前に林賢さんのテレビ番組でショートコントを披露した。

りゅうた 林賢さんと出会って、林賢さんの父、故・照屋林助さんや、戦後の県民を歌や踊りで元気づけた故・小那覇舞天さんの反骨精神がある芸に興味を持った。林助さんの奥さんに当時の2人の話を聞いたり、林助さんの三線店で2人のCDを聞いて「こんな芸があるのか」と思って、三線を生かそうと。三線を持ってクリスが踊るネタは直感で思い浮かんで、やったらウケたって感じ。

クリス あの頃は林賢さんの追っかけ。事務所に「林賢さんいますか」って聞いて、「恩納村にテレビの撮影行ったよ」って言われたら2人で探しに行ったりとか。見つけられなかったこともあるし、今考えたらバカかも(笑)。

りゅうた 「君たちが根っこに持っていることを話しなさい」って言われる。ただ単にお笑いをやるんじゃなくて、「あんたたちは何なのっていうのを表現してみなさい」ってね。


身近な場面がネタ作りのヒント

クリス 人間観察もネタ作りに影響してるよね?

りゅうた オトーの仕事仲間が家に集まることが多くて、おじさんたちの会話を聞いて覚えたウチナーグチもネタにしている。例えば「ワンネーヒンスームンヤシガ、マーサムンジョーグードー(私は貧乏人だけどおいしい食べ物が好き)」とか。ボケじゃなくて、自然なんだよね。その独特な雰囲気が好き。本土とは少し違う感じ。ネタを作るときは記憶を頼りにウチナーグチを思い出す。

クリス わからん言葉はお父さんに聞いたりしてるよな。

りゅうた 正月にオバーたちが「チューヤソーガチ…(今日は正月…)」ってしゃべりながらウートートーしている姿を見て、「これクリスにさせたら面白そうだな」とか考えてるよ。

クリス O-1グランプリのネタでやった時、ウチナーグチを覚えるのが大変だった。

Q・コンビ結成のきっかけは?

クリス 高校のころ、共通の友人に紹介されたのがりゅうた。僕は卒業後にアメリカに留学する予定が、1年延期に。東京でお笑いライブを見て感動して、「お笑いやってすぐ売れて稼いで、1年で辞めてアメリカ行こう」ってノリで決めた(笑)。りゅうたは本当に面白いと思っていたから、一緒にやろうって声掛けた。

りゅうた お笑いが大好きだったからからこそ、あの時何度か断った。芸人になるにはものすごい努力が必要だろうと。

クリス それでも口説き続けて最後は粘り勝ち。初めての漫才はりゅうたの地元の北中城村喜舎場公民館でのイベントだった。

りゅうた 当時はクリスが沖縄のお笑いのすごさを分かっていないと思った。オジー、オバーたちがたくさんいる前でやったら、分かるなと思って。

クリス 僕が米兵の格好したネタで結構ウケたよね。

りゅうた その時に「これはイケる!」って確信した。お笑いバイアスロンの時の、アメリカ人が三線を習いに来るネタも、ずっとやりたかった。三線使って二人で踊りだすとか、とにかく、沖縄の人が「見たことありそうでなかったもの」をやりたい。

Q・すべることはありますか?

クリス あるある。けど慣れた。逆にすべっている空気が今は楽しくて2人で笑ってしまう。そこから、さらに大きな声を出したりして全力でやってる。

りゅうた ネタを忘れても、アドリブでどうにかできるようになった。クリスはネタ飛んでいることすら気付いてないこともあるよ。終わってから「今日良かったな」って言ってくる(笑)。

クリス まあ、それでもりゅうたが合わせてくれるし。

りゅうた コンテスト前は緊張する。前日は「もっと自信を持っていい」って自己暗示して寝る。

クリス 特に自分たちが納得してない自信のないネタは怖い。

りゅうた 反対に、自信があるネタは早く見せたいよな。


「怖いもの知らず」と表現力が強み

Q・どんなところが二人の強みだと思いますか?

クリス 「怖いもの知らず」なところかな? NSC時代は何も分からないままラジオ番組持ったり、祭りの司会もやったね。

りゅうた お笑いの先輩たちと比較されて「面白くない」って言われることもあったから、とにかくネタを面白くしようって。今は地盤を固めている途中。ネタは主に僕が作って、クリスのノリの良さと合わさることで、2人だからうまくいっている。あとは表現力。言葉とか表情とか。今の沖縄をある意味二人で表しているから、見た目も強みかな(笑)。

クリス 米兵のネタは僕だからこそ。普通の沖縄の人が米兵の格好をしたら、嫌な思いをする人もいると思うけど、それを僕がハーフ代表として中和している(笑)。幼い頃にからかわれたこともあるけど、負けず嫌いだったから「見とけよ」って思っていた。だから今りゅうたから「やなYナンバー」って言われてもキレない!
 
Q・コンテストで優勝したり、全国放送のテレビに出演されましたが、今後やってみたいことは?

クリス 芸人としてまだまだ。目指すのはありんくりんとしての「芸の確立」。ライブで芸が磨かれるので、今は「毎月ありんくりん」という12カ月連続ライブで毎回新ネタを披露している。テレビやラジオ、ライブで、皆さんから「週に1回はありんくりんが欲しい」と思われることが目標!

りゅうた 個人の活動も頑張りたい。僕は小那覇舞天さんを題材にした舞台の台本を書いたり、演出をしていて、今年も公演予定です。いつかこの舞台を所属先に関係なく、沖縄の芸人でできたらいいな。

クリス 僕は歌を作っていて、近々配信予定。これこそ、「ありんくりん(あれもこれも)」ですよ(笑)。        
 


ひがりゅうた/1992年生まれ。北中城村出身。エイサーが好きで、小学生の頃の夢は「青年会の会長」。血液型はB型。左利き。

クリス/1993年生まれ。沖縄市出身。父がアメリカ人、母がアメリカと沖縄のハーフ。血液型はA型。右利き。
 
編集/宮里知可乃
『週刊ほ〜むぷらざ』翔べ!わかむんちゃー under30[1]
第1654号 2019年4月11日掲載

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比嘉知可乃

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新人プランナー(企画・編集)
1990年生まれ、うるま市出身。365日ダイエット中。
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