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2018年11月1日更新

[彩職賢美]言語聴覚士 沖縄リハビリテーション福祉学院 言語聴覚学科講師の平良和さん|吃音(きつおん)への理解 学び合い発信

沖縄リハビリテーション福祉学院の講師で、言語聴覚士の育成を担う平良和さん(39)。教壇に立つ傍ら、言語聴覚士を対象に吃音について学び合う沖縄吃音研究会を主宰。また年に1度、当事者やその家族、教員らが吃音について意見交換し、交流を図る「吃音キャンプ」も開催している。吃音に対し「向き合い方が大切」と話す。

障がいでなく人に向き合う

言語聴覚士 沖縄リハビリテーション福祉学院 言語聴覚学科講師
平良和 
さん

同学院の言語聴覚学科で教壇に立ってことしで9年目。「言語聴覚士の仕事に憧れ、入学してきた生徒たちに接すると、私も初心を思い出します。そして、仕事の励みにもなります」と平良さん。1年生から3年生までの生徒を相手に言語聴覚に関する基礎から、資格取得のための国家試験対策までを指導している。

平良さんが最初に任されたのが、吃音を含む専門領域の講義だった。「吃音は言葉が円滑に出にくい状態で、100人に1人の割合で吃音があると言われる。電話での会話や、緊張している時だけでなく、リラックスしている時に出やすい人など、人それぞれ。完治することは難しいと言われています」。

「最初はどう教えていいか分からず、悩んでばかりだった」と振り返る。県内では吃音の領域を専門とする言語聴覚士がほとんどいなく、毎日が教科書とのにらめっこだった。専門家の中でも、「吃音は悪いものではない。どもってもいい」という意見がある一方、吃音を軽減するような治療法を提唱する人もいる。「一体どちらが正しいのか」と悩み続けていた中、県外で吃音の勉強会があることを知り、知識を深めたいと参加。そこでの出会いがターニングポイントに。


千葉県で開かれた吃音の講習会に参加した平良さんは、吃音の当事者で講師の伊藤伸二さん(日本吃音臨床研究会会長)の講義を聞き、これまでもんもんとしていたことを払拭できたという。

「講義の中で『障がいとして人を見るのではなく、対等に見て関わらなくてはいけない。その人の話し方に目を向けるのではなく、内容に耳を傾けることで、その人が自分らしく幸せになることが目標』との一言に、それが私の目指す臨床像だと思えたのです」と話す。それからは、「専門家として、納得できることを提供したい。目の前で悩む人に伝えたい」との思いが強くなった。

知識を深めていく中で、「吃音に悩む人との向き合い方が大事だと気付きました。当事者は言葉が出にくいことに困っているのではなく、言葉を発することが不安になってしまうためにしゃべれなくなることが問題」と説明する。吃音に対する周りの理解も重要で、それを予防するためにも小さいころからの障がい教育の必要性を説く。

それからは、自ら企画して「幼児吃音」の講習会や勉強会を行ったり、小学校からの依頼で低学年に向け吃音についての授業をした。一昨年からは、言語聴覚士を対象に月に1度、吃音について平良さんがこれまで学んできたことを共有する「沖縄吃音研究会」を立ち上げた。さらに、伊藤伸二さんの協力のもと、吃音当事者や家族、教員らが集い吃音について考え、学び、語り合う「吃音親子キャンプ」の実行委員長を務め、親子の相談にのっている。
 
キャンプの参加者からは「悩んでいるのは自分だけじゃないと知り、気持ちが楽になった」、「もっと多くの人と話をしたくなった」などの声が上がっている。中には学校の「放送員」になりたいという夢を実現した子も。キャンプを通して当事者や保護者たちが勇気をもらい、前向きな気持ちで生活を送れるようになっている。

「その子の言葉や表現で話してもらうことを大事にしていったら、きっと子どもって何にでも挑戦できるはず」と平良さん。「今後は、教育現場で悩む児童生徒や保護者に近い目線で子どもたちに関わっていけたら」と意欲を見せた。


月に1度「吃音研究会」

言語聴覚士を対象に、ランチを楽しみながら、吃音について意見交換をする場「沖縄吃音研究会」を月に1度、宜野湾市内のカフェで行っている平良さん。「気軽に話し合える場なんです。私は年に数回ほど県外に伊藤さんの講演を聞きに行くのですが、そこで吃音について学んだ内容を共有し、現場で生かしてほしいと思い参加メンバーに伝えています」と話す。最初は4人ほどだった会員も現在は、平良さんの生徒だった卒業生も参加するようになったという。


11月23日~24日に吃音親子キャンプ

「第3回吃音親子キャンプinおきなわ」が11月23日(金)~24日(土)の1泊2日、沖縄県立糸満青少年の家で開かれる。キャンプでは、日本吃音臨床研究会会長の伊藤伸二さんを講師に招き、吃音について考え、学び、語り合う。対象は小学生~高校生(吃音当事者で親子で参加できる方)、家族、関連職種(ことばの教室教員、心理士、保育士、言語聴覚士など)に従事する人。

■問い合わせ先
沖縄リハビリテーション福祉学院言語聴覚学科内
098‐946‐1000(平良)


嘉陽さんのハッピーの種

Q.趣味は?
体力作りはもちろん、心身のリフレッシュも兼ねてランニングをすることが趣味です。これまでNAHAマラソンに3回出場しました。1回目は30キロ台でリタイアしてしまい、2回目はゴール地点の奥武山近くまできたが、制限時間内ではゴールできなかった。3回目は練習していなく、半分も行けませんでした。ことしは30代最後の年でもあるので、「絶対完走してやる」という強い気持ちで挑みます。そのため週に3回は走って、少しずつ距離を伸ばしています。写真は小学4年の娘・せれな が撮ってくれました(笑)。




PROFILE
たいら・なぐみ

1979年、宜野湾市出身。普天間高校卒業後、県外の医療系大学に進学し、言語聴覚について学ぶ。2003年、言語聴覚士の国家資格を取得。同年4月、ちゅうざん病院に就職。その後、介護老人保健施設、障がい者支援施設を経て、09年、同学院言語聴覚学科の講師に。16年より「吃音研究会」を主宰。同年、「吃音親子キャンプ」を行う。中学1年の息子と小学4年の娘の子育て奮闘中。

撮影協力/沖縄リハビリテーション福祉学院

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撮影/比嘉秀明 編集/安里則哉
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1316
第1632号 2018年11月1日掲載

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スタッフ
安里則哉

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日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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