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2018年10月18日更新

[彩職賢美](株)おもかげ 代表取締役 遺体管理師の嘉陽果林さん|遺体の表情整え 遺族の悲しみ緩和

遺体を美しく保つため、死後処置業務を行う県内では数少ない遺体管理師の嘉陽果林さん(34)。遺体の化粧や生前に近い表情に戻すよう処置を施し、遺族の悲しみを緩和。遺体の表情が変わらないように見守る。「処置をしている間はご遺族にとって、死と向き合う大切なひととき。悔いのないお別れをしてほしい」と話す。

悔いなき「別れ」サポート

(株)おもかげ 代表取締役 遺体管理師
嘉陽果林
 さん

これまで、2千体以上の遺体と向き合ってきた嘉陽さん。葬儀社からの依頼で、通夜から火葬まで遺体の状態を管理し、遺族や参列者が故人と対面できるように遺体の見栄えを整えるのが主な業務だ。「扱う故人の死因はさまざま。中には痛々しい表情を浮かべるご遺体も。そのようなご遺体を少しでも痛々しくないように処置を施します。私にしか担えない作業と思い取り組んでいます」と使命感に満ちあふれている。

「人の死はただでさえ悲しいものなのに、ご遺体の顔が痩せ過ぎていたり、変色していたりすると悲壮感が漂い、ご遺族も弔問客もさらに悲しくなってしまいます。場合によってはその表情が脳裏に刻まれ、子どもたちにとってはPTSD(心的外傷後ストレス障害)にもなりかねません」といい、遺体修復の重要性を語る。

また、「亡くなってしまったら、ご遺体は変わらないと思っている人も意外に多い」という。「死後、ご遺体は時間の経過とともに予想もしない変貌を遂げたりします。そうなったとしても、ご遺族の人たちでさえ手を施すことは難しく、誰のせいにもできません。少しの変化でもすぐに相談でき、安心して最後を見届けるサポート役でいたい」と力を込める。

嘉陽さんは、遺体の手を遺族に握ってもらうことにも重きを置く。「ご遺体の手を握ることで、家族とのつながりを認識していただくようにしています。また、時にはご遺体のケアを手伝っていただくことで、ご遺族が故人様のために『何かをした』という体験をしていただくことが大事。将来『あの時、手伝っておけば…』と心残りになる人も多い。将来を見据えてフォローするのも、ご遺族が死別の悲しみから立ち直るため支援するグリーフケアの一環」と説明する。

通夜や葬儀では、遺体を前に「やすらかな表情をしている」という遺族や弔問客の声が嘉陽さんにとって「処置を施してよかった」と胸をなで下ろす瞬間で、仕事の励みにもなっている。


以前は、納棺会社で納棺師として働いていた嘉陽さん。遺体の着付けをいかにきれいにできるかを常に意識していたという。ある日、遺体と対面した際、「ご遺体から流れ出ていた漏液が、ピタッと止まる不思議な現象を目の当たりにし、そのメカニズムを知りたいと思いました」と振り返る。

それから「遺体管理学」について調べ始める中で、「遺体をいかに美しいままで保たせることができるか」を追求したいという思いが募り、納棺会社を辞める決意をした。
 
独自で勉強しながら、県外で遺体の腹水や胸水を抜く技術、むくみを取る技術、痩せた顔をふっくらさせる技術、遺体を保たせる保全の技術を学ぶため研修を受けた。また、遺族が遺体に触れるとともに悲しみを軽減するためのフォローも必要だと思い、京都へ通い、グリーフケアの初級から上級まで約100時間かけ学び、京都グリーフケア協会認定上級グリーフサポーターの資格を取得。昨年、(株)おもかげを設立した。

最近では、顔のがんで亡くなった人の顔を修復することにも力を入れているという。「これからも遺体管理の必要性を広め、沖縄のご遺族の方々の悲しみをケアしていきたい」と抱負を述べた。



グリーフケア、終活の講座も

※写真は嘉陽さん提供

「グリーフケア講座」や「終活講座」を定期的に開催している嘉陽さん。「グリーフケア講座」では、グリーフケアの基礎を中心に分かりやすく説明する。ことし7月に行われた講座では数多くの参加者が。「私がこれまで仕事をする中で気付いたことや感じたことなどを中心にまとめた内容になり、みなさん真剣に耳を傾けていました」と嘉陽さん。特に「身内を亡くした人に対して言ってはいけない言葉」の内容では、メモを取る姿が多かったという。
具体的には「あなたの気持ちが分かる」といった安易な慰めや、「死ぬ運命だった。今は悲しいけれど、時間が解決してくれる」というような「勝手な決めつけ」、「私の友達に比べたら…」といった「他者との比較」などは、NG。「悲しみの最高潮にいる遺族の人たちにはこのような言葉掛けは避けたほうがいい」とアドバイスした。
11月24日(土)に開かれる「終活フェア2018おきなわ」で、嘉陽さんは「遺体管理の必要性」について講演する。場所は、いなんせ会館、参加無料。12月にも講演会を予定。詳細はホームページで確認を(「株式会社おもかげ」で検索)。


■問い合わせ先/(株)おもかげ 070‐5278‐8629



強い家族愛を実感
仕事柄なのか、寡黙なイメージの嘉陽さん。しかし、仕事を離れ、プライベートの話をすると満面の笑みを見せ、笑ったときの八重歯が親しみを感じさせる。そんな嘉陽さんが印象的なエピソードを語ってくれた。
「70代女性の遺体修復を依頼されました。体内の腐敗ガスと腹水を抜いてから保全の薬を入れ、痩せていた顔をふっくらさせ、メークと髪染めをして4日間布団で安置しました。とても美しい女性だったのでお子様方の希望で、初めは洋服を着せ、二日目に着物に着替えをしました。故人様とご遺族のつながりを作るために毎日ご遺体の手をオイルマッサージさせて頂き、みんなに手を握っていただけるようにしました。4日たっても臭気もなく、最後までみなさんが笑いながらご遺体の横で生前の話をされている時間は家族にとって大切で必要な時間。家族の強い愛を感じられ、感動的でした」と話した。



嘉陽さんのハッピーの種

※写真は嘉陽さん提供

Q.休日の過ごし方は?
仕事柄、昼夜問わず外出することが多いので、休みの日や空いた時間は、子どもたち(右は兄の琉、左は弟の銀)や母親の飼い犬と遊ぶ時間が、私にとっての癒やしの時間です。私が仕事で家を空けるときは、母親が子どもたちと遊んでくれるので、とても助かり、感謝しています。子どもたちも私の仕事を理解しているようで、私が居なくても兄弟仲良く遊んでいるようです(笑)。




PROFILE
かよう・かりん

1983年、東京都出身。高校卒業後、バスガイドを経て、2012年、納棺会社に就職。納棺師として遺体に向き合う。その後、遺体管理について知識を深めたいと退職。2017年、(株)おもかげを設立。「故人を美しく管理して最後まで見守る」をテーマに業務を担い、近年は県内の著名人の遺体管理も。京都グリーフケア協会認定上級グリーフサポーター。上級終活カウンセラー。

撮影協力/総合葬祭那覇

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撮影/比嘉秀明 編集/安里則哉
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1315
第1630号 2018年10月18日掲載

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安里則哉

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日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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