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2017年11月9日更新

[彩職賢美](株)琉球補聴器 認定補聴器技能者の末吉芙由子さん|聞こえる喜び支えたい

琉球補聴器に入社して10年。末吉芙由子さんは、県内では数少ない認定補聴器技能者の一人として、シニア層を中心に幅広い世代の「聞こえ」をサポート。副店長として顧客やスタッフ一人一人にも常に気を配る。「お客さまとスタッフの可能性を広げる応援者でありたい!」。真っすぐな姿勢と明るい天然キャラで現場を盛り立てる。

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みんなの可能性広げる側に

(株)琉球補聴器 認定補聴器技能者
本店 副店長
末吉芙由子 
さん

1対1で話す時は問題ないけれど大勢で話すと不具合を感じる人、ある音だけ聞きにくい人、突発的に聞こえにくくなった人。「聞こえの状態は千差万別。ひとくちに難聴と言っても、どんな背景で今に至ったのかによって、補聴器は調整が違う」ときっぱり。だからこそ、補聴器作りの際はカウンセリングに最も時間をかける。

聴覚レベルや音に対する敏感度、いつごろから違和感があり、どんな時に困っているのか、まずは顧客の話に丁寧に耳を傾けるところから。家族と来店したものの「年寄り臭い」と拒む人もいるが、そういう時ほど「未来をイメージ」。「最終的にどんな生活を送りたいのか、お客さまと一緒に探していく」ことを大事にする。

家族にすら言いにくい悩みにはじまり、歩んできた道のり、人生観にまで話題が及ぶこともしばしば。「補聴器づくりは単なる物売りでなくオーダーメード。その方の人生に寄り添わせていただいている」と実感するゆえんだ。「今まで『友だちと話すのもおっくう』と閉じこもりがちだった方が、補聴器を使って元気に社会参加する姿を見るのが最高! そういう方を沖縄に増やしていけたら」と満面の笑みを見せる。

快活な話しぶりからは想像もつかないが、入社当初は思うように仕事ができず、理想とのギャップから「悔しくて毎日泣いていた」というから驚きだ。曲がったことが嫌いな完璧主義で、良くも悪くも物おじしないタイプ。「不満がすぐ顔に出ちゃって周囲に悪影響。『末吉さんはミカン箱の中の腐ったミカンだよ』と言われた」ことさえあった。

「チームワークがきれいごとに思えたんですよね。人それぞれバックグラウンドは違うんだから、自分の役割を果たせばいいじゃないかと」

そんな時、仲の良かった後輩が退職。何も知らずにいた自分のふがいなさ、話してもらえなかった寂しさから、「もっと力になってあげられたかもしれないのに」と人目をはばからず号泣した。以来、気になるスタッフがいると自分から声をかけ、必要とあらば「現場の声を直接聞いてもらえないか」と社長に直談判。「何とかしたい」一心で、部署や役職の壁を越えて関わり続けてきた。

会社で参加したセミナーも、考え方を変えるきっかけに。「私自身ずっと周りに支えられていたこと、不必要な人はいないことに気付いた時、できないことにイライラしていた自分がバカバカしくなって。相手も自分も許せるようになった」。

今春、副店長になったのは、そうした熱意が買われてのこと。今では、スタッフとプライベートなこともざっくばらんに話す「家族のような」関係だ。そんな末吉さんに社長がつけた呼び名は「サザエさん」。「根がおっちょこちょいなので、失敗して落ち込むことはしょっちゅう。でも今は誠心誠意尽くすこと、経験を次に生かすことが大事だと切り替えられるようになった」と笑う。

「年齢や育った環境にかかわらず、人はいつでも変われる。私が周りに可能性を引き出してもらってきたように、今度は私がお客さまとスタッフの可能性を広げたい」。副店長としての自己評価を尋ねると「まだまだですが、ただいま成長中です!」と熱い思いを胸に、前を向く。




バイブルは自己啓発本から漫画まで
「落ち込んだときは本を読みまくる」と末吉さん。自己啓発本から漫画までジャンルは幅広い。中でもバイブル的存在なのが、知人の靴屋に薦められたという漫画『 IPPO(イッポ)』。オーダーメードの靴屋の物語だ。「義足の方から高齢者まで、いろいろなテーマを抱えるクライアントに向き合って、その人だけの一足をつくる話ですが、私たちの仕事と似ているなと感じる部分が多い。職業人として、人として、さまざまなことを考えさせてもらえる本です!」




共に学ぶ仲間が元気の源
今年同社が30周年を迎えたことを機に、顧客への感謝を込めて「丘の上の一本松」の公演を行った際のスタッフの集合写真。iPadに入れて持ち歩いている。これ以外にも、コーチングセミナーに参加したり、全社で宿泊研修を行い互いにフィードバックしあうなど、社員のコミュニケーションや学びの場を頻繁に持つ同社。末吉さんは、その際スタッフからもらったメッセージを、「いつでも目を通せるように」と手帳に挟んで持ち歩いている。共に学び、切磋琢磨する仲間が「元気の源」のようだ。





末吉さんのハッピーの種
Q.趣味はなんですか?
3年前から始めたフラワーアレンジメントです。昔、花を扱う仕事をしていた父の影響だと思いますが、植物や花に触れていると癒やされます。好きな花はカラー。華美じゃないけど凜としたたたずまいがある。好きな色は白やワインレッド。お教室でアレンジメントを作った時は、会社に飾らせてもらってます=写真。花も愛でられてなんぼだと思うので(笑)。

(株)琉球補聴器 本店
沖縄県那覇市安里1-8-13(地図
098-863-4133




PROFILE
末吉芙由子(すえよし・ふゆこ)
1984年生まれ。伊是名村出身。5人きょうだいの長女。中学まで島で育ち、その後那覇高校へ進学。琉球大学をへて2008年、(株)琉球補聴器へ入社。15年、認定補聴器技能者に。ことしから同社本店の副店長として現場をまとめつつ、難聴者の聞こえをサポートするため日々まい進中。ミッションは「本質を見極め、愛と勇気で人の役に立つ!」



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撮影/比嘉秀明・編集/徳正美
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1277>
第1582号 2017年11月9日掲載

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