[彩職賢美]沖縄県子どもの本研究会副会長 宜野湾市民図書館館長「山内淳子」さん|読み聞かせて44年|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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彩職賢美|沖縄の輝く女性にインタビュー

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彩職賢美

2017年6月8日更新

[彩職賢美]沖縄県子どもの本研究会副会長 宜野湾市民図書館館長「山内淳子」さん|読み聞かせて44年

まばたきをするのも忘れて子どもたちの目が輝く。視線が食い入るように絵本や児童書に注がれる。家庭で、地域で、学校で、公民館で行われている、子どもの本の読み聞かせ。山内淳子さん(65)は活動の中心を担う県子どもの本研究会の前会長だ。学校図書館司書として本と関わり四十数年。「すべての子どもに読書の喜びを」と情熱を燃やし続ける。

今週の彩職賢美は、宜野湾市民図書館館長「山内淳子」さん|fun okinawa
 

読書の喜びをすべての子に

沖縄県子どもの本研究会副会長
宜野湾市民図書館館長
山内淳子
さん


「慰霊の日」がある6月、沖縄では戦没者の霊を慰め、鎮めるための行事が各地で行われる。県内の学校も平和月間とうたい、平和教育が取り組まれる。

山内さんが今、力を注いでいるのは、子どもの本・九条の会と連携する「戦争なんか大きらい!〜絵描きたちのメッセージ展〜」だ。同会会員の絵描き63人による、戦争と平和を考える絵本の原画を県民に広く見てもらおうという大掛かりな展示会。県子どもの本研究会だけではできない。山内さんは県内の美術館、マスコミなどに共催を持ち掛けた。だが、各団体とも手いっぱいのスケジュール、割り込むことはかなわなかった。

諦め切れない思いを引きずって、県立図書館に話を持ち込むと「できないことはない」との返事。山内さんの「沖縄の子どもたちに何とか原画の迫力を見せたい」という一途な思いが通じた瞬間だった。
山内さんはこの4月から宜野湾市民図書館の館長になった。県立図書館など各自治体が加盟する公共図書館連絡協議会に話が持ち込まれ、5市の図書館による巡回展として実現の運びとなったのだ。笑顔を絶やさない柔和な表情の奥底には、困難に直面しても諦めないしぶとさがあった。



沖縄戦で叔母(父の一番下の妹)を亡くした。看護学徒だったという。
戦後、傷痍軍人が「戦中、傷病兵として世話になった」と訪ねて来たことがあった。「父から叔母のこと、戦争のことをもっと聞いておけばよかった」と今、後悔している。
学校司書として採用された初任地で、ひめゆり学徒として激戦地を生き抜いた教師との出会いが平和教育への関わり方の原点になった。
「勇気を出して平和を創り出す人になってほしい。対話を大事にして、次の時代をつくる若い世代に行動してほしい」。山内さんは彼女の誠実な姿に感動し、思いを伝える決意をした。

司書になったのは進学した鹿児島の大学の教授の勧めがあったから。
教授というのは、文芸学者、児童文学研究者として名をはせた西郷竹彦氏だ。さらには、鹿児島県立図書館長だった、児童文学作家の椋鳩十(むくばとじゅう)氏との出会いもインパクトがあった。椋氏の「母と子の20分間読書」運動に感銘を受けたのだ。鹿児島の小学校で開かれた研究講座に参加。山内さんの今があるのはそのころの体験が下地になった。
山内さんは「西郷先生や椋先生に出会わなかったら、今の活動は意識の中になかったかも」と振り返った。日本子どもの本研究会の代田昇事務局長(当時)や椋氏らと行った「アメリカ児童文学の旅」は、若い山内さんに大いなる刺激を与えた。

山内さんのモットーは「本をしっかり読んで、この感動を一緒に共感しませんか」
会主催の「子どもの本の学校」「児童文化講座」に参加して、文学作家や研究家・実演家と出会い、その肉声を通して語られる作品創りや作品に寄せる思い、日常生活のエピソードは彼らの生き方とともに作品への理解を深めた。
22年間、会を先導し土台を築いた徳田きよ初代会長の時代から44年。同研究会がある限り、会での学びが会員の力になり、それぞれの活動の場で子どもたちに届けられる。研究会がある限り、沖縄の読書環境は悪くならない。山内さんはそう信じている。
 

小規模校で読み聞かせ


昨年、国頭村立奥小学校で読み聞かせをする山内さん。約40年前の初任地の小学校はマンモス校だったため、読み聞かせを校内放送でやったことがあった。
 

軍手で手づくりキャラクター


軍手で手作りしたかわいいキャラクターたち。「へびのいちにすけ」「トトケッコー」などの名前もユニーク。低学年生の興味をひきつけるための必需品だ。
 

椋鳩十氏らと米国旅行


著名な作家と身近に接し、その人柄に感銘を受け、たくさんの刺激を受けた。米国に到着直後に空港内で撮った集合写真は、今も大切にしているうちの1枚だ。(左と右上の写真は山内さん提供)


山内さんのハッピーの種
Q.幸せを感じることは?
家の玄関先やベランダでの土いじりが唯一の至福の時ですね。今、ベランダにはスカシユリやスパティフィラムが咲き誇っています。
それと子どもたちに読み聞かせをやっている時ですかね。現職の時に比べるとその機会もめっきり少なくなり寂しい気もしますが、できるだけ機会を見つけては読んでいます。
あまり、館長がしゃしゃり出るのもどうかと思いますので…。できるだけサポートに回ります。


戦争と平和を考える絵本の原画展

「戦争なんか大嫌い!〜絵描きたちのメッセージ展〜」


「戦争なんか大嫌い!〜絵描きたちのメッセージ展〜」 
絵本の原画63点を県内5図書館で巡回して展示。主催は公共図書館連絡協議会。

  • 名護市立(〜13日)
  • 宜野湾市民(15日〜25日)
  • 那覇市立(27日〜7月2日)
  • 糸満市立(7月4日〜13日)
  • 豊見城市立(7月15日〜26日)


PROFILE
山内淳子(やまうち・じゅんこ)
1952年宜野湾市出身。同市学校図書館司書として小・中学校で36年間勤務し、2012年3月同市立志真志小学校で定年。ことし4月同市民図書館館長に就任。同時に4年間務めた県子どもの本研究会会長を退き、副会長に。那覇市協働大使、新県立図書館あり方検討委員会委員、県子どもの読書推進会議委員、那覇市立図書館・公民館読み聞かせ講座講師。ブックスタートボランティアとして03年から那覇市、08年から宜野湾市のスタッフとして関わる。



週刊ほーむぷらざ「彩職賢美」|輝く女性を応援!
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撮影/比嘉秀明・編集/上間昭一
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1257>
第1560号 2017年6月8日掲載

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