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2017年4月13日更新

[彩職賢美]桜坂劇場 下地久美子さん|銀幕への誘い人(いざないびと)

下地久美子さん(38)は桜坂劇場の取締役興行部長。銀幕への誘い人として約10年、映画の魅力を語り、伝え続けている。心に刻むのは「年齢、性別に関係なく、たくさんの人が気軽に楽しめる劇場にしたい」との思い。そして「桜坂劇場がお客さまに愛される場であり続けられるよう、スタッフ全員で力を合わせていきたい」と意欲を燃やす。

彩職賢美|桜坂劇場の下地久美子さん
 

気楽に行ける映画館目指し

桜坂劇場 取締役興行部長・番組編成
下地久美子 
さん

桜坂劇場の顔として広報・宣伝活動に忙しい下地さん。入社のきっかけは同劇場で催されたライブだった。大学卒業後、海外留学の資金づくりを口実に季節労働者として県外へ働きに出た。沖縄に帰るたびに、県外暮らしの寂しさを癒やしてくれた下地イサムさんのライブがタイミングよく同劇場であったという。
季節労働が3年ほどたったころ、年末ライブに足を運ぶと劇場のファンクラブ会員とスタッフ募集の張り紙。スタッフになれば「イサムさんとお近づきになれるかなー」との〝よこしまな思い〟が「そろそろ沖縄に帰ろうかな」との気持ちの変化とも重なり、映画業界にアルバイターとして飛び込むきっかけとなった。



常に必要とされる人間でいたい

ほどなく、中江裕司監督(同劇場社長)の映画「恋しくて」が公開。映画を携え沖縄全島を回るキャラバン上映会を全社的に推し進める中、仕事は多忙を極めた。忙しくなればバイトも正社員も関係なくこき使われるのが業界の常。だが、下地さんは「大変だったけど楽しかった」と振り返る。子どものころから負けず嫌い。「常に必要とされる人間でいたい」との強い思いは仕事に向き合う姿勢に現れ、上司に「おれの部下にならないか」と言わしめた。

上映作品の宣伝のためのラジオでのトークは絶妙だ。RBCiラジオ「柳卓のいんでないかい!」では、大ベテランを向こうに、立て板に水の解説を繰り広げる。原稿など見ない。映画のために一生懸命、愛情を注いでいるからこそなせる技だ。下地さんは「大好きな映画を多くの人に見てもらえるよう、映画とお客さんの笑顔のために働いている時間はとても楽しく、幸せです」と言い切る。柳さんの突っ込みに笑いを交えての対応はリスナーに好印象を与え、下地さんの隠れファンの多さにつながる。新聞の告知記事も、作品の見せ場をしっかりとらえ、流麗な筆致は読者の気持ちをつかんで離さない。


直面する危機を好機に

これまで携わった映画で思い出深い作品は「エヴァンゲリヲン新劇場版Q」だ。当時、世界的に映画のデジタル化が進み、35㍉映写機はなくなる傾向にあった。デジタル上映システムは高価で、対応できずに閉鎖に追い込まれた映画館は多かった。
そんな中受けた「エヴァンゲリヲン」最新作のデジタル上映の話。清水の舞台から飛び降りる覚悟で、社内論議。結果、デジタル導入を決定。無事、上映にこぎつけ大ヒットにつなげた。デジタル化の波を乗り切り、劇場が存続するかどうかのカギとなった作品だった。下地さんは常に「考えることをやめない。自分一人で生きているんじゃない、ということを忘れない」を信条にしている。直面する危機を好機に転換させる原動力だ。

季節労働者から劇場のアルバイトを経て、役員に上り詰めた。本人は意識しないが、自分では欠点と思っていた「前に前に出る性格」「だまっていられない性格」が今の立ち位置にピタッとはまった証しだろう。
下地さんは、面白い映画がたくさん生まれるためには「面白い映画しか見ないぞ!」と構えないで、「気楽にバンバン映画を見て、自分の心のままに映画を批評してほしい」と願っている。下地さんの目には、映画館の向こうに明るいあしたが見えている。        




ラジオで熱のこもったトーク

RBCiラジオのスタジオで「柳卓のいいんでないかい!」パーソナリティーの柳卓さん=左=相手に映画の話で盛り上がる。隔週金曜日の夜にスタジオに入るが、前もっての打ち合わせは、CMの間に映画のチラシに目を通すぐらいだ。
それでも番組編成を長年担ってきたキャリアがものをいい、手振り交えてのトークはよどみない。
宣伝・広報活動は毎週木曜日のFMおきなわへの出演のほか、新聞の映画欄への執筆もある。
 



桜坂劇場10周年行事にぎわう

感謝の思いを多くの方に伝えたいと、感謝の宴=写真、映画の無料上映、トークイベントを社を挙げて開催。たくさんの人に支えられていることを実感し、大きなモチベーションになった。(写真は本人提供)


下地さんのハッピーの種

Q.気分転換はどのように図っていますか?
気の合う仲間と明るい時間からお酒を飲み交わし、くだらない話しかしない時間を持つことです。そしてプロレス観戦。いま、新日本プロレスにはまっています。
さらには映画を見る、です。アクション映画が好きです。なぜって、強い男性に憧れを抱いているからだと思います。ピタピタのTシャツであらわになる、大きな大胸筋が大好きです。自分も強くなりたいんだと思います。



PROFILE
しもじ・くみこ
/1979年京都府生まれの南城市育ち。知念高校から沖縄国際大学卒。大学在学中、中国留学を目指し、澳門で1カ月間の留学生生活を送る。大学卒業後、関東や東海地方で約3年間、季節労働者として働く。2007年、桜坂劇場にアルバイトで入り、09年正社員に。


桜坂劇場
098-860-9555
http://www.sakura-zaka.com/



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撮影/比嘉秀明・編集/上間昭一
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1250>
第1552号 2017年4月13日掲載

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