彩職賢美
2015年1月22日更新
[彩職賢美]KOS HAIRDRESSING代表 翁長響子さん|沖縄で花開く英国の美容技術
個性的なスタイルが印象的な翁長響子さん。イギリスでの8年余の美容師生活を終え、沖縄県宜野湾市真志喜に美容室KOS HAIRDRESSINGをオープンし1年余。全てのコンセプトは「普通」。「普通って本当は難しい。それを実現するためにイギリスで学んだ技術を生かし、普通の人が普通に輝ける場にしたい」と、ふるさと沖縄に美容技術の種をまき、花開く春を迎えている。
「普通」に輝くヘアスタイルを
沖縄でロンドン仕込みの美容室経営
KOS HAIRDRESSING代表
翁長 響子さん
店のドアを開けると、白を基調にした内装と、整然と並べられたヘア用品が目に飛び込む。笑顔で出迎えてくれた翁長さんは黒い洋服をまとう。「店内はイギリスの美容室をモチーフにした。洋服も、イギリスで働いていた店のスタッフのドレスコードが黒か白だったから」という。
子どものころから憧れていた美容師になるため、20歳で渡英。当初は反対していた母・れい子さん(65)を説得し、父・政清さん(65)の「やるからには徹底的に頑張ってこい」という言葉に後押しされながら、「美容業界の最先端を行くロンドンで学びたい」と飛び込んだ。
美容学校では入学2カ月目から1日に2、3人ずつカットする実践形式で技術を習得した。「イギリスでの生活は言葉や授業の方法なども含めて、とにかく天地がひっくり返るぐらい驚いた」と翁長さん。「自信が持てなくて、全てが不安。でも一生懸命やっていくうちに自信がついてきた」と振り返る。
集中コースの10カ月間で資格を取得。学校経営の美容室に勤務した。「特に海外だから苦労した、というのは感じなかった。人間関係の難しさはどこにいても同じだから」。淡々と語りながらも、多国籍、多民族という沖縄の環境とは異なる場所は厳しい部分も多かったようだ。それでも好きな美容師の道を究めるため技術を磨いた。
イギリスで勤務していたころ、社内で選出された美容師が腕を競うプログラムに参加した翁長さん(写真右上、右下とも中央)。ネジからイメージしたヘアデザイン(撮影/幸地真紀さん)。翁長さん提供
「働くうちに自分なりのヘアスタイルを表現したいと思うようになった。それができるのはステージ」と感じ、コンテストにエントリーするなど、活動の場を広げた。英国美容連盟の30歳以下のスタイリストコンテストでは優勝に輝き、ロンドンのファッションウイークのショーではヘアスタイリストとして12シーズンを担当した。
ファッション誌の表紙やコンテストでの入賞を重ね、実力が認められる中で2012年に帰沖。「最初から沖縄に戻る予定だった。華やかなショーの世界も魅力的だけれど、70代になった自分をイメージすると、沖縄で美容室をすることが最善の方法だと考えた」という。
13年11月に店をオープン。店の雰囲気は「イギリスで見て、学んだものを全て出している」と話す。そこには「何かが変わると思える場所にしたい」との思いと、「普通」にこだわる姿がある。「自分は普通だと思っていることが珍しがられる。店の内装も私にとっては普通だし、このスタイルも普通。実は普通に表現するって難しい」と笑う。客の髪質を生かすことをポリシーに、髪型、シャンプー、スタイリング剤などのアドバイスも入念に行う。
開店から1年余。「ゼロからのスタートだったけれど口コミで来客が増えた」と翁長さん。沖縄の良さを改めて実感する中、次に目指すのは海外から沖縄に戻ってきた人たちとつながること。「海外で沖縄の良さを知り帰ってきたら、発表する場が少ないのが現実。今後は仲間とコラボして、海外で学んできたことを沖縄に還元できる場を作りたい」。これからの発信力にも注目だ。
翁長さんのハッピーの種
Q.店名の由来は?
Kは響子、Oは翁長、そしてSは姉の鐘子(40)の頭文字。姉は私が日本の美容師資格を取得するとき、教材をイギリスに送ってくれたり、ものすごく助けてくれました。全く別の業種ですが、いつか一緒に働きたいという思いを込めて店名に入れました。その夢は2月には実現しそうで、姉と一緒に働くことができそうです。
Q.休日の過ごし方は?
オフ(休日)があるからオン(仕事)が生かされるとイギリスで学んだので、休みを満喫しています。週1回、友人のバレエスタジオでレッスンを受けています。体が固いので、なかなか上達しませんが(笑)。たまには、ヘアアレンジのアイデア探しにDIYセンターへも通います。
KOS HAIRDRESSING
沖縄県宜野湾市真志喜2-18-1 コモンズビル3階201
098-943-0650
http://kos-hair.com/
営業
11時~20時(月~金)
9時~19時(土)
9時~18時(日)
※定休日=水曜、第2・4火曜、完全予約制店
<詳しい店舗情報はこちらから>
PROFILE
翁長響子(おなが・きょうこ)1983年宜野湾市生まれ。沖縄キリスト教短期大学(当時)英語科を卒業後、単身渡英。有名美容学校TONI&GUY London Academyに入学し、卒業後、同校が経営する美容室で勤務。イギリスの永住権を取得し、8年間技術を磨く。滞在中に3年間の通信教育で日本の美容師資格も取得。2012年帰国し、13年、KOS HAIRDRESSINGをオープンした。
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明・編集/高江洲千里
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1154>
第1436号 2015年1月22日掲載
この記事のキュレーター
- キュレーター
- ちぃちゃん
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元企画・編集プランナー
身の回りの「はてな?」や「なるほど!」を追い求めながら、好奇心のアンテナを張り巡らせて日々、取材中。何でもやるからには「徹底的」に。そのための息抜きも大切に。メリハリのある暮らしと、メリハリのある仕事のこなし方ができるよう心がけています。