彩職賢美
2015年2月26日更新
[彩職賢美]公文書写教室指導者の宮城鈴子さん|地道に伝える 美文字の世界
2013年に週刊ほーむぷらざで連載が始まった「美文字のすすめ」。初代監修者の宮城鈴子さんは、17年にわたり公文書写教室で150人以上の生徒を指導する。「実用的で誰もが読みやすい文字にするのが基本。そのために自分の技術を磨く事も忘れてはいけない」。昨年、公文書写指導者最高段位の10段を取得。日々、自己研さんを積み重ねながら、美文字の道を歩む。
自己研さんも日々実践
硬筆、毛筆の実用書を指導
公文書写教室指導者
宮城 鈴子さん
平日の午後、幼稚園児から70代まで幅広い年代の生徒が続々と教室を訪れる。「教室を開設したころは生徒が集まらずに、続けられるのかが心配だった。この数年の美文字ブームもあり、自分で文字を書くことへの興味が高まって、多くの皆さんが来てくれる」。宮城さんはいつもにこやかに生徒を迎える。
結婚後、南城市に自宅を新築。第二子を出産し、「子どもがいても、家でできる仕事を」と考え、受講したのが公文書写教室の指導者研修だった。「周囲には書道教室が4、5カ所あり、生徒が全く来なかった。最初の生徒は小学3年生の娘だけ。しばらくすると娘がお友だちを連れて来て、徐々に生徒が集まるようになった」と振り返る。
那覇市真嘉比にも教室を開き、現在、2教室で150人以上が学ぶ。最近増えている大人の受講者は、パソコンや携帯などで文字を書く場面が少なくなってはきたものの、「自筆で書く場合、恥ずかしくないように」「自分の文字が正しいかどうか再チェックしたい」といった動機で始める場合が多いという。
写真上・左端/一人一人の文字へアドバイスする宮城さん
週に4日、教室で指導する宮城さん。指導者として技術を磨くための努力も地道に続けている。「自分ではちゃんと書いているつもり。それでも以前書いた文字を見返すと、とても恥ずかしくて。だから時間を見つけて練習している」。自分に課した課題は段位認定試験への挑戦。昨年、公文書写指導者として最高段位10段を取得した。
試験は、文字の組み立てから始まり、実用書式を書体別、筆記具別で書いたりと、数多くの課題をすべてクリアしなければならないという。宮城さんは3回目の挑戦だった。「出題された課題をクリアした結果が10段。それはあくまでも入り口で、もっといろいろな課題を勉強しなければならないと思った」と気を引き締める。県内の指導者としては最古参となり、教室開設研修をサポートしたり、全国の進級審査会の審査委員として参加することも増えた。
今年は教室開設18周年。毎年恒例の成果発表会を今年は県立博物館・美術館で開催する。「日ごろ学んだ書を発表する場として設けてきたが、生徒さんからの要望もありこれまでより大きな会場になる。こういう場があることで、さらに頑張ろうという意識が生まれてくるのでは」と、生徒の学ぶ意欲を引き出す。
「実用書として日常に生き、効率良く書ける美しい文字を多くの人にもっと知ってもらいたい」。宮城さんがしたためる文字は柔らかで読む人を心地よくさせてくれる。
季節の言葉を流れるように美しく書いた宮城さんの文字
宮城さんのハッピーの種
Q.指導者としてのやりがいや、文字上達の秘けつは。
子どもが「やめたい」って言いながらも、保護者の方が根気よく連れてきているうちに、楽しんで文字を書いている姿を見るとやりがいを感じます。大人の方には「文字の書き方にこんな決まりごとがあったなんて」と話して、文字の新たな魅力を感じ取ってくれた様子を見るときです。
文字は毎日ちょっとずつでも書いて、書くことを習慣付けることが上達の道ですね。
Q.たくさんの生徒さんに囲まれる毎日ですが、リフレッシュ法は?
1人になる時間を大切にしています。気持ちをリセットしながら、ゆっくりお茶を飲んだり。四六時中、教室のことばかり考えてしまいがちですし、ついついいろんなことを考えてしまうタイプなので。でもなかなか時間が取れないのが現実ですけど(笑)。
公文書写教室への問い合わせは公文エルアイエル
0120-410-297
PROFILE
宮城鈴子(みやぎ・すずこ)1958年、那覇市生まれ。那覇高校卒業後、東京の専門学校を経て、会社員として勤務。25歳で帰沖、結婚し一男一女をもうける。97年に公文書写教室の大里仲間教室、2006年には那覇真嘉比教室を開設した。公文書写指導者段位10段のほか、日本書写技能検定・硬筆、毛筆1級、英検、秘書技能検定、日商簿記各2級、全経工業簿記1級などの資格を持つ。
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明・編集/高江洲千里
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1158>
第1441号 2015年2月26日掲載
この記事のキュレーター
- キュレーター
- ちぃちゃん
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元企画・編集プランナー
身の回りの「はてな?」や「なるほど!」を追い求めながら、好奇心のアンテナを張り巡らせて日々、取材中。何でもやるからには「徹底的」に。そのための息抜きも大切に。メリハリのある暮らしと、メリハリのある仕事のこなし方ができるよう心がけています。