彩職賢美
2015年3月5日更新
[彩職賢美]沖縄都市モノレール(株)総務部営業企画課 副主任 辺土名廉さん|母目線を販促に 縁の下の力持ち
2003年、沖縄都市モノレールで県内初の女性運転士5人が誕生。その一人として活躍し、現在は営業企画課に勤務する辺土名廉さん。母の視点でグッズの企画・販売を手がけるほか、他部署との調整ごとも行う部署を超えた連携役を担い、人のつながりを大事にしている。「自分らしく働いていたい」との思いで業務に励んでいる。
人と人とのつながり大事に
沖縄都市モノレール(株)
総務部営業企画課 副主任
辺土名 廉さん
入社のきっかけは、自分がモノレールを運転している姿を想像して「カッコイイ!」と思ったこと。教師を目指し石垣島で臨時教諭をしていたころ、同社の募集を見て、目標の軌道修正を決めた。
試験に合格し、県内初の女性運転士の一人として5年間職務に当たった後、出産を機に施設課に異動。現在の営業企画課に配属されたのは5年前だ。船車券の取り扱いや職場見学、団体乗車予約まで、業務は幅広い。
中でも力を入れているのが、グッズの企画。モノレールに親しみを持ってもらいたいと、駅員の制服をイメージしたTシャツを制作。帽子や靴下、タオルなどと種類を増やしてきた。「特にTシャツは洗濯しても色落ちしにくく、伸びにくい素材や目を引くカラーを重視しました」と、母親目線で使い勝手やデザインを追及。「着心地がいい」「デザインがかわいい」と好評で、売り上げは販売当初に比べ5倍以上になった。
グッズを使った展示コーナーも県庁前駅に設置。見る人に季節感を味わってほしいと、四季を連想したディスプレーを工夫する。「予算が限られている分、市販物に手を加えた靴下やフェルトの花などを使っています」と、装飾品の多くは手作り。
「普段でも店舗のディスプレーを意識するようになり、どうすればグッズを良く見せられるかと考えるようになりました。『駅って楽しい!』と感じてもらい、駅の活性化へつなげたいとの思いも強まりました」
花やランドセルをかたどった装飾品がはがれないよう、チェックを怠らない辺土名さん。県庁前駅構内では、現在、春を連想させるディスプレーが楽しめる(編集部撮影)
明るい笑顔で親しみやすい現在の辺土名さんからは想像もつかないが、運転士当時は、「男性には負けたくないとの気持ちで仕事をしていた」という。
「以前は何か失敗すると自分を責めていましたが、子育てをする中で思い通りにいかないのが当たり前と考えられるように。仕事でも気張らず良い意味で力が抜けました」
モットーは、自分らしく物事に取り組む「やる気」、思い通りにいかなくても気長に待つ「根気」、気張らず物事に取り組む「のん気」だそう。
多客に伴う臨時列車の運行など、旅行会社や他部署との調整が必要になる際は、部署を超えた連携役も担う。「運転士のころは、自分が安全を意識していればとの気持ちが強かったのですが、今は多くの人の協力で、安全な運転ができることを実感しています」と、人と人とのつながりを大事にしている。
業務では「時間に追われ、気持ちが焦りがちになることも。そんな時こそ、自分のペースを心がけています。時には『疲れたら休む』と割り切ることも大切」。それも、部署内のバックアップ体制がしっかりしているからであり、そんな恵まれた環境に感謝しているとも。
家庭では、同社の乗務区で乗務助役として働く夫・健さんと協力しながら、家事・育児をしている。夫婦の意思疎通もバッチリ。そこが仕事と家庭の両立を担うポイントのようだ。
「また、運転したいですか?」と聞くと、迷わずうなずく辺土名さん。もう一度、ハンドルを握ることを夢見ながら、販売促進と安全な運行を支援。まさに縁の下の力持ちだ。
辺土名さんのハッピーの種
Q.おすすめのモノレールの楽しみ方は?
那覇市内の街並みが満喫できる車窓からの景色ですね。昼間はもちろん、夜は幻想的な首里城のライトアップを中心に街のネオンなど、ポイントごとに特徴のある風景が目に飛び込んできます。昼夜ガラリと変わる景色を楽しんでほしいです。 車両を貸し切って、結婚式などのイベントごとで利用するお客さまもいますよ。
Q.趣味や実践しているリフレッシュ法はありますか?
昨年から始めたのですが、休日にはフラワーアレンジメントを楽しんでいます。何と言っても自分の世界に入り、無心になれることが魅力ですね。「また明日から仕事を頑張ろう!」と気持ちもリフレッシュできるのです。
今のところ実現していませんが、家族でキャンプができるアウトドアもしたいです。
沖縄都市モノレール(株)
http://www.yui-rail.co.jp
PROFILE
辺土名廉(へんとな・れん)1976年生まれ、北中城村出身。2002年、沖縄都市モノレール入社。2003年電力車操縦者運転免許取得(沖縄県第1号)。2009年、施設課に異動し、駅や車両の維持管理などに携わる。2010年、営業企画課に異動。乗車券販売業務をはじめ、職場見学やインターンシップに関する業務にも携わる。10歳、7歳、4歳の3人の息子の母。
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明・編集/安里則哉
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1159>
第1442号 2015年3月5日掲載
この記事のキュレーター
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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。