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彩職賢美

2016年2月11日更新

津堅ニンジン 規格外を生かす|農業生産法人 合同会社 萌芽の赤嶺かおりさん

今週の彩職賢美は、津堅ニンジンの商品開発、PRで島おこしをする「農業生産法人 合同会社 萌芽」の赤嶺かおりさん
才色兼備『沖縄で働く女性は、強く、美しい』

農家応援 放棄地なくしたい

赤嶺かおりさん(43)は「山のように捨てられていた規格外のニンジンをどうにかしたい」と家族と会社を設立。年間約2トンの無農薬ニンジンを商品化している。「津堅にんじんサイダー」は、規格外品の活用などが評価され、農林水産省が関わるフード・アクション・ニッポンアワード2015審査委員特別賞を受賞。「契約農家を増やして耕作放棄地をなくすのが夢。島を活性化したい」と、思いは熱い。




農業生産法人 合同会社 萌芽
赤嶺 かおりさん


キャロットアイランドと呼ばれる、うるま市津堅島に祖母が住んでいた赤嶺さん。小さなころから遊びに行くと祖母の畑を手伝い、ニンジンジュースを飲んで育った。「海から潮風が降り注ぎ島尻マージの砂地で育つ津堅ニンジンは、ミネラル豊富で甘くて柔らかい。3月までが旬」。ニンジンの話になると、瞳が輝く。

商品化のきっかけは7年前、島のゴミ捨て場で山になったニンジンを見たこと。大き過ぎや割れなど規格外のニンジンは販売ルートから外れ、島外へ持っていくにも輸送費がかかるため、廃棄されていた。

「汗水たらして作られたニンジン。何とかできないか」。思いに突き動かされ、本島北部の食品加工工場に相談。ニンジンを乾燥させて粉末化したパウダーを製品化した。その後、2010年に家族で会社を設立。現在、父は島の畑でニンジンを栽培、赤嶺さんは商品開発やPRを担当する。

パウダーはなかなか売れなかったが、3年前にうるま市の特産品開発事業に採用され、スポンジやクリームに使った「津堅にんじんロールケーキ」が完成。現在は麺
やクッキーなどの製品にも生かされている。

「ニンジン嫌いな子どもにも飲んでもらえるかも」と開発したのがピューレ入りのサイダー。離島フェアで一昨年初めて販売し、数十分で300本が完売。「ニンジンの食感、香りがいい」「飲みやすい」と好評で、今では1カ月に1800本売れる。「無農薬のニンジンを安心して食べられるように」添加物は使わない。

「津堅島と津堅ニンジンを多くの人に知ってほしい」と、県内外のフェアに参加。行政や他事業者とも連携し、積極的にアピールする。「商品に自信があるから、人に会うのが楽しい。よく、恐いもの知らずと言われます」と笑う。

現在、販路が無いものや規格外のものを農家から買い取っている。「出口を作りたい。相談があったら、すべて買い取るようにしている」ときっぱり。「ニンジンは手が掛かって大変、という農家が多い。高齢化も進み、年々農家が減っている」と危機感を持つ。

生産者を大切にしながら、消費者目線も忘れない。「津堅ニンジンは高級食材として県外からも受注があるけれど、日々食べるもの。消費者が手に取りやすい価格にしてリピートしてもらうことが大事」。

仕事の傍ら、週末は津堅島へ行き、農作業を手伝う。農薬や除草剤は使わず、収穫時も傷つけないよう手で抜き、洗って選んで箱詰め。出荷のために、雨の中収穫し深夜まで箱詰めしたことも。「ニンジンを絶やさず、先祖から受け継いだ畑を子や孫へ残したい」という思いが根底にある。

夢は島の活性化だ。「島の人が帰って来られるように、仕事を作って島おこしをしたい。いずれは島に住んでニンジンを育てて、ニンジンオバアになってPRしますよ」。視線の先に、明るい未来が広がっている。




事業者向けのイベントで、商品の説明をする赤嶺さん。サイダーはニンジン20%、大宜味村のシークヮーサー入りですっきりとした後味=編集部撮影



赤嶺さんのハッピーの種

Q.津堅ニンジンの魅力は?

甘くてみずみずしい! 柔らかいので時短で調理できて子育て中も便利です。よく作るのは、シリシリーのほかに、ピクルス、サラダ、キャロットラペなど。おでんにもニンジンを入れます。100パーセントジュースもおすすめ。牛乳も合いますよ。
ニンジンパウダーは、主にスイーツに。ホットケーキやパン、モチ、ゼリーなど、何にでも入れています。

Q.趣味は何ですか?

料理です。子育てをしながら、料理教室に10年以上通い、助手をしたことも。おいしいものが食卓にあればみんなが笑顔になると思い、食卓を大切にしてきました。子育てがきっかけで食育の大切さに気付き、食育インストラクターの資格を取得。調理師免許も取得しました。
会社設立前は経理の仕事が長く、畑違いだったのですが、学んだことが商品開発につながっています。


農業生産法人合同会社萌芽
098-855-5560
商品は、うるま市勝連城跡休憩所や海の駅あやはし館で販売。





PROFILE
赤嶺かおり(あかみね・かおり)1972年那覇市出身。高校を卒業後、ホテル、建設会社で経理をつとめる。2010年、家族と農業生産法人合同会社「萌芽」を設立。「津堅にんじんサイダー」が、フード・アクション・ニッポンアワード2015審査委員特別賞、離島フェア優良特産品賞、県産業まつり奨励賞を受賞。調理師免許、食育インストラクター2級の資格を持つ。2児の母。



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今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明・編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1204>
第1491号 2016年2月11日掲載

彩職賢美

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栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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