彩職賢美
2016年11月10日更新
[彩職賢美]歌手の大城クラウディアさん|歌は国境を越える
大同火災のCMソングや、オリオンビール「いちばん桜」のCMでおなじみのアルゼンチン出身で沖縄県系2世の歌手、大城クラウディアさん(36)。現在、東京を拠点に活動中だ。先月末には世界のウチナーンチュ大会に合わせて来沖し、「アルゼンチンと日本、アルゼンチンと沖縄の架け橋に」と日々奮闘している。
出会い大切に歌で一体感
歌手
大城クラウディアさん
2016年10月に開催された「第6回世界のウチナーンチュ大会」に合わせて、東京から駆け付けた大城さん。「アルゼンチンの人や沖縄の人をはじめ、多くの人に歌を聴いてほしい」と、那覇市などでワンマンライブを開催した。「私はポップスを中心に歌っているのですが、民謡も大好き。他の歌謡曲にない旋律が魅力的で、ライブでは必ず歌います」。ライブ会場では、アップテンポのリズムに観客が踊り出す。そんなファンの反応が、大城さんの励みになっている。
ウチナーンチュ大会フィナーレでは、元「THE BOOM」の宮沢和史さんらとともに出演した。「大会では、迎える側として関われてうれしかった。1世や2世の方々が年々お年を召され、来沖が困難になる中で、若い世代の参加者が多くなってきているのを見て、沖縄と世界のウチナーンチュのつながりが、過去から未来へと続いていくという大きな希望を実感することができました」と笑顔で語る。
ステージで再確認したのは「言葉が分からなくても一緒に歌うだけで一体感が生まれ、聞くだけでも何かを感じてもらえる」との歌の魅力。大城さんの高音で伸びのある歌声は、聴く者の心に響くとライブやウチナーンチュ大会の参加者からも評判に。
「歌を通じて海外の県系人たちの存在を知ってほしいし、海外の人たちにも日本や沖縄のことを知ってほしい」。曲作りでは、ディアマンテスのアルベルト城間さんにアルゼンチンの国旗をモチーフにした曲を、宮沢さんには日系人の思いを曲に書いてもらった。
「歌は子どものころから身近にあった。アルゼンチンでは、地方の日本人会や県人会が主催するカラオケ大会や歌のコンクールがあります。日本の歌で大会に出場していた母と一緒に私も3、4歳のころから歌っていました」と大城さん。1995年、高校生のころ「第2回世界のウチナーンチュ大会」のジュニアサミットに参加。「フィナーレで歌を歌う機会に恵まれたこともあり、アルゼンチンに帰ってから県系日系人のメンバーで沖縄バンドを始めました」。バンドでは「安里屋ユンタ」や「花」「島唄」などを演奏していたという。
バンドで歌っていた「島唄」が宮沢さんとの出会いを生み、本格的に歌を始めるきっかけになった。アルゼンチンのコメディアン、アルフレッド・カセーロが「THE BOOM」の「島唄」を気に入り、日本語で歌えるコーラスにと、大城さんに声が掛かった。「島唄」がアルゼンチンで大ヒットする中、宮沢さんと出会い彼らのツアーに誘われ、活動の拠点を日本へ。宮沢さん率いる多国籍編成ミクスチャーバンド「GANGA ZUMBA」の参加にもつながった。
「いろいろな人との縁があり、多彩なジャンルの歌にチャレンジすることで歌や表現の幅も広がりました。歌は国境を越えるのが分かりました。歌の持つ可能性をこれからも追求していきたい」と大城さん。「歌を通して、アルゼンチンと日本、アルゼンチンと沖縄の架け橋になれたら」と目を輝かせた。
手芸で気持ちもリフレッシュ
「手芸が趣味で、小物を中心に手作りしています」。集中して取り組むことで無心になれ、気持ちの切り替えにも一役買っている。周りの人にプレゼントすることも多くマネージャーの名刺入れも手がけ、喜ばれている。
沖縄で購入した生地で手作りしたバッグとマスク入れのポーチ
5歳からコンクールに
「初めてコンクールに参加したのは5歳のころ。小さいころは緊張なんかなく、楽しく歌えましたね。特別賞をもらった時は、とてもうれしかったのを覚えています」。(写真は本人提供)
アルゼンチンの日系社会の中で行われる、カラオケコンクールで歌う大城さん
両親ともに歌が大好き
「両親には、よく歌のことを教えてもらいました」。母親はコンクールに出場するほど歌が大好きで、父は歌があまり得意ではないそうだが、よく「もっとキーを上げて」「感情を込めて」などのアドバイスを受けていたという。
日本語学校(小学校)の卒業式で、沖縄出身の両親とのスリーショット
大城さんのハッピーの種
Q.沖縄に来たらやることってありますか?アルゼンチンにも沖縄の料理はありますが、私は中味汁が好きです。ウチナーンチュ大会に合わせて沖縄入りした際に早速、中味そばを食べました。それと、アルゼンチンではステーキをよく食べるのですが、沖縄でもステーキを食べます。東京に居るときはほとんど食べないのですが(笑)。
私は赤身が好きなのですが、沖縄のステーキはとてもおいしいと感じます。
Q.沖縄に来た際に思うことは?
那覇空港に到着すると常に「帰ってきた!」という気持ちになります。沖縄も「おかえり!」と言ってくれているような気がします(笑)。
また、今回のウチナーンチュ大会では主要なイベントだけでなく、父の生まれ故郷の名護市主催の歓迎会やアルゼンチンから来られたみなさんの歓迎会にも参加しました。個人的にも二つの故郷と、より深い絆ができたように感じました。
PROFILE
大城クラウディア(おおしろ・くらうでぃあ)1979年、アルゼンチンブエノスアイレス出身。5歳からアルゼンチン日系コミュニティーの歌のコンクールに出場し、優勝を重ねる。2001年、アルゼンチンでアルフレッド・カセーロ「Shima Uta(島唄)」のレコーディングに参加。宮沢和史(THE BOOM)と出会い、03年から日本で活動。07年、1stアルバム「CLAUDIA」をリリース。現在、宮沢さん率いる「GANGA ZUMBA」のメンバーとしても活躍中。
http://claudiaoshiro.com/
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明・編集/安里則哉
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1234>・第1530号 2016年11月10日掲載
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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。