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2013年2月14日更新

市場のチカラ「人集い海と出合う場所」

海んちゅ写真家 古谷千佳子のフォトエッセー「潮だまり」vol.23

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市場のチカラ

人集い海と出合う場所


昭和の良き香りのする、活気あふれる旦過(たんが)市場。どんぶりにご飯を入れてもらい、お総菜探しに出発! 100〜200円程度の総菜や刺し身を買って、ご飯の上に乗っけてもらいます。どんぶりがいっぱいになったら「いただきます!」

北九州市立大学の学生たちと旦過市場の共同で始めた、この「大學丼」という企画。おいしく楽しい体験を通して、地元の山海の幸を知ることができる。私はただ今、ココでお仕事中。市場内のお店の2階、一間を借りて暮らしている。お湯も出ないしテレビもない。普段の暮らしでは体験できない不便さが、いろいろな気づきを与えてくれる。

忙しさからテレビでニュースを見ながら食事していた悪い習慣を反省した。子どもと目と目を合わせての会話ができてなかったなって。銭湯の熱いお湯では3分もお湯に漬かっていられない「烏(からす)の行水」の息子だが、最近番頭のおばちゃんの膝下に潜り込んで遊んでくれてるので、私はゆっくりお湯に漬かっていられる。

デスクワーク中は、お向かいの店の子どもと遊んでてくれるし、周りの大人たちも見てくれる。マイカーがないと本当に不便だけれど、バスや電車の移動では他の人との会話が増え、外の景色も人の流れもよく見える。

楽が幸せでない、と分かっていたつもりだけれど、本当そうだなって今感じている。

そして、市場へ行こう! 大型スーパーでは味わえない体験がいっぱいある。海に行かずとも、海を感じられる場所=市場。賑わいのある海辺を取り戻すには水際線だけでなく、その背後に広がる陸域の特性も生かすことが必要だ。海の魅力が発信される市場に観光客だけでなく、地元の人が再び足を運ぶこと…。周辺地域の観光という意味で、市場は大変大きな地域資源であることを再確認した。

沖縄に戻ったら、自らの生活スタイルを変えなければならないと、今まさに痛感している。




[文・写真]
古谷千佳子(ふるや・ちかこ)
那覇市在住。海の仕事に従事、スタジオで写真を学んだ後、海人写真家となる。海・自然と調和する人々の暮らしや伝統漁業を主に撮影する。TBS「情熱大陸」などに出演。著書に 写真集「たからのうみの、たからもの」、「脳を学ぶ2」(共著)ほか
http://www.chikakofuruya.com/

 
古谷千佳子のフォトエッセー『潮だまり』
週刊ほーむぷらざ 第1337号・2013年2月14日に掲載

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