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2024年2月22日更新
闘志あふれる 接触プレーが魅力|熱戦にちむドンドン(番外編)
沖縄県内のスポーツチームを応援する「熱戦にちむドンドン」企画。国内のトップリーグで競い合うハンドボールチームの「琉球コラソン」をはじめ、県内では数少ない社会人アメフトチームの「琉球ガーディアンライオンズ」、県内唯一のブラインドサッカーチーム「琉球Agachi」の3チームを紹介。選手同士の闘志があふれる接触プレーが魅力になっている。
日本ハンドボールトップリーグで戦う「琉球コラソン」。監督や選手に試合の見どころや楽しみ方を教えてもらった。ほかにも県内の社会人アメフトの走りである「琉球ガーディアンライオンズ」、県内唯一のブラインドサッカーチーム「琉球Agachi」を取り上げる。
必勝 チーム一丸
琉球コラソン 「堅守速攻」 感動届けたい
ANAアリーナ浦添を活動の拠点とする「琉球コラソン」は、国内トップリーグの日本リーグに所属し、しのぎを削っている。
チームのモットーは「堅守速攻」。東江正作監督は「体格的に決して恵まれているチームではなく、激しい攻守、最後まで諦めない魂のこもったプレーで泥臭く1点を取る。守るチーム」とチームの特徴を説明する。接触が容認されているスポーツなので、体格の良い選手同士が正面から強くぶつかり合う、格闘技のようなパワーあふれるプレーが多く見られるところも見どころという。
選手兼広報担当の宮城佑汰さんは「ジャンプシュートはもちろん、ボールの軌道を変化させるスピンシュートや、空中でパスを受け取ってそのまま決めるスカイシュートなど、相手の裏をかくシュートも見応え抜群です」と話す。想定外の方向から放たれるシュートを目の当たりにすると、思わずオーッと声が出てしまい、会場の雰囲気が一気に変わる。
また、選手の放つ最速100㌔以上にも及ぶシュートをゴールキーパーが死守する。キーパーのファインプレーで試合が盛り上がり、試合の流れが変わることも。ゴールキーパーの俊敏さや体を張った鉄壁の守備にも注目だ。
「接触プレーなど激しいコンタクトがある中で、どれだけ正確なパスやシュートができるかに注目。魂のこもったプレーをし、一戦必勝で感動を届けられるようなチームづくりをしていきたい」と東江監督。
会場では、DJによる「ディフェンス」のかけ声に合わせ観客も一緒に声を上げ、選手を後押しする。ハーフタイムには、キッズダンスチームによる華麗なダンスの披露などもあり会場を盛り上げる。チームのロゴが入ったフェースタオルやユニフォームなど応援グッズもあるので、身に付けて応援することでより一体感も生まれそうだ。
チームはハンドボールを楽しむ子どもたちの育成にも力を注ぐ。ジュニアチーム(コラソンU−12)のコーチも担う宮城さんは「将来、コラソンを背負って立つ選手が出るとうれしい」と期待する。
選手の動きを細かくチェックする東江監督(琉球コラソン提供)
ジュニアチームメンバーに聞いた! ハンドボールの面白さやチームの目標
コラソンU−12男子主将の山城晃聖さん(小6)(琉球コラソン提供)
県内ナンバーワンが目標
ゲームの展開が速いところがハンドボールの面白いところです。元気があり、明るく楽しいチームメートとプレーできるのがうれしい。先輩たちに負けないよう練習に励んで県内ナンバーワンになるのが目標。
コラソンU−12女子主将の古川雫月さん(小6)(琉球コラソン提供)
楽しくプレー 環境に満足
いろいろなフェイントやシュートができた時はとても面白いと感じます。コラソンの選手に指導してもらえる上、みんなで楽しくハンドボールができる恵まれた環境に大満足しています。まずは沖縄一になって、次に全国制覇をしたいです。
琉球ガーディアンライオンズ 肉弾戦と頭脳戦の大迫力
対広島ホークス戦で、相手の激しいタックルに対応する呉屋南仁選手(右から3人目)(琉球ガーディアンライオンズ提供)
キャプテンの嘉手苅さん(左)とコーチの安東さん
北谷町内の運動公園や浦添緑地などを拠点に活動する「琉球ガーディアンライオンズ」は、「アメフト文化を沖縄に創りたい」と2020年に結成。アメリカンフットボールリーグのXリーグに所属するチームだ。選手は、国内の社会人アメフトのトップリーグで活躍した選手や大学アメフトの経験者から初心者まで幅広く在籍している。
試合は、プレーを通して相手陣地に攻め込み、100ヤードのコートの端までボールを運びタッチダウンを目指す。コーチの安東純貴さんは「ガツンと音がするほどの激しいぶつかりあいを展開。さらに敵地に攻める作戦を立てる頭脳的なプレーが見どころ。パスがうまく通り大幅に陣地を獲得するととても興奮する」と魅力を語る。
選手のスピードやタックルの衝撃、走ったり投げたりするボールの飛距離など、試合会場で見るとより迫力満点。タッチダウン(得点)した後は、チームみんなが感情を爆発させて喜ぶ。会場では選手たちの興奮を間近で感じることができる。
キャプテンの嘉手苅平さんは「昨年、一昨年とリーグに参加して、普段の練習から取り組みに対する気持ちの甘さを痛感。メンバーそれぞれが自分の役割をきちんと果たすことを今年の目標に掲げプレーしている」と話す。さらに「今季はX2リーグ(2部)に上がることが目標。県内での対外試合など試合経験を積んでいくことで、レベルアップを図っていきたい」と意気込む。
本年度は、米軍基地内のチームとの交流試合「首里城ボウル」や台湾の社会人チームを招いての親善試合「パイナップルボウル」も予定している。詳細はインスタグラムなどに掲載している。
琉球Agachi 音が頼りの〝超絶プレー〟
昨年、糸満観光農園で行われた交流試合。ボールを奪いにいく際は「ボイボイボイ」(スペイン語で「自分が行く」という意味)と発するのがルール。「ゴールまであと6㍍」「角度なし!」といった周りの的確な指示も重要(琉球Agachi提供)
沖縄盲学校の卒業生を中心とするメンバー。前列中央が代表の屋良景斗さん、右奥が副代表の屋良有希さん(琉球Agachi提供)
選手が目隠しをして、音の鳴るボールを追いながら行う5人制の「ブラインドサッカー」。パラリンピックの正式種目にもなり注目されている。南風原町のドリームコートや沖縄盲学校体育館を拠点にする県内唯一のブラインドサッカーチーム「琉球Agachi(アガチ)」は活動7年目を迎える。
チーム副代表の屋良有希さんは「まるで見えているかのようなドリブルや思いきりぶつかり合いながらボールを奪い合う迫力あるプレーが楽しめます。仲間の声を聞きながらコースを狙ってシュートを放つ。静寂の中で行われるスポーツですが、ゴールが決まると歓声が響きわたり、素直にスゴイって感じられると思います」と魅力を語る。
試合はゴールキーパー以外の4人のプレーヤーはアイマスクを装着し、音の出るボールを用いてプレーする。選手は視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ、敵陣ゴールの裏に立ち指示するガイドの声や仲間の声などを頼りにゴールを目指す。国際大会以外はアイマスク着用で晴眼者も参加でき、障がいの有無にかかわらず男女が混合で試合を行う。
代表の屋良景斗さんは「ディフェンスが自慢のチーム。練習ではアイマスクをしないでドリブルをしている人にどれだけ守備がついていけるかといった練習を繰り返し行います。攻撃力がまだまだ弱いのでそこを鍛えていきたい」と話す。
チームは東京や大阪などで開かれる日本選手権にも参加。「近年は勝ちから遠のいているので、勝てるようもっと練習を積んでいきたい。昨年、クラウドファンディングを利用して北海道のチームを招き交流試合を開催した。県外チームとの交流試合も企画したい。将来的に沖縄から日本代表選手を出すのが大きな目標」と意気込んでいる。
取材/安里則哉
『週刊ほ〜むぷらざ』熱戦にちむドンドン<番外編>
第1907号 2024年2月22日掲載
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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。