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2025年3月13日更新
がん克服 命の大切さ伝え|ルイの部屋 店主 松崎晴夫さん(那覇市)[人生ブラボー!⑫]
仕事の一線を退いた後も、年を重ねても、人生を生き生きと送る人たちを紹介。今回は、那覇市で米国の中古家具を扱う「ルイの部屋」を営む松崎晴夫さん。がん闘病の経験や保護猫活動を通し、命の大切さを伝え続ける。
ルイの部屋 店主 松崎晴夫さん (那覇市)
がんから回復し、元気に店を切り盛りする松崎さん。毎日、店の前にやってくる地域猫を見守り続けている=那覇市・「ルイの部屋」
地域猫の保護活動も25年
2021年、松崎晴夫さん(73)は、肺腺がんのステージ4と診断され、余命は3カ月もないと宣告された。
「それでも普段の生活を変えようとは思わなかった」と話す松崎さん。「死ぬという感覚がなかった。がんだから何かを我慢しようとか、そういうことがない」と笑う。医師からも「ストレスが一番いけない」と言われ、なるべく普段通りの生活を続けた。
テセントリク療法という革新的な免疫療法との相性が良く、副作用もなく経過。直径5センチ大あった腫瘍は消え、現在は再発防止のための定期的な治療を続けながら、元気に店を切り盛りしている。
那覇市で米国の中古家具や米軍放出品を扱う店「ルイの部屋」を営みながら、開店と同時期に始めた地域猫の保護活動も25年以上、変わらず続けている。松崎さんのことを知る人は「きっと猫の恩返しだよ」と口をそろえる。
人も動物も分け隔てなく、「命を大事にする」。保護猫活動をする仲間と協力して猫たちの健康を見守り、具合が悪くなれば動物病院へ連れて行く。「口がきけない小さな命だからこそ、普段から見守り観察し、変化に気付けるようにしている」と、最期まで寄り添う姿勢を貫く。
がん患者とのつながりも広がっている。SNSを通じて松崎さんのもとに全国から相談が寄せられており、約50人と交流を持つ。「がん=死ではない。今はがんが治る時代。前を向いて生きることが大切」と、自身の経験を伝え、励ましている。
松崎さんは、11歳オス猫の茶太郎ほか8匹の猫を世話している
沖縄食材 パワー実感
妻と共に「すごく気に入って何度も訪れた」沖縄へ30年前に移住。「沖縄の食材は本当にすごい」と語る松崎さんは、もずくやシークヮーサーなど、地元の食材を活用した健康的な食生活も実践している。その経験も、同じ病と向き合う仲間たちへのアドバイスに生かされている。
「すべての命は誰かとつながっている。医師や看護師、妻、そして多くの人々に支えられて今がある」。困っている人や動物に手を差し伸べ続けるのは恩返しでもある。入院中も病室の窓から見える雲や虹に心を癒やされ、自然の恵みに感謝する日々を送った。
「明日どうなるかは誰にもわからない。だからこそ気持ちを強く持って、今を精いっぱい生きるんだよ」。そう語る松崎さんの笑顔には、生きることの喜びが満ちあふれている。
周囲の人々を元気づける、その明るい人柄は、きっと多くの人の心を救い続けていくだろう。
食卓に沖縄の食材
がんになってから、改めて食生活を見直すようになったという松崎さん。「毎日夕食には津堅島産のもずくに、シークヮーサーを皮ごとミキサーにかけたものを乗せて食べています」。しかし、「お酒は止めるとストレス」と言い、泡盛やいも焼酎を2合までと決め飲んでいる。他にも野菜をたくさん取るようにしており、「学ぶほどに、沖縄の食材はすごいと感じています。みんなに沖縄の食材のすばらしさを知ってほしいし、食べてほしい」と語る。
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取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1958号 2025年02月20日紙面から掲載」