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2021年7月22日更新

沖縄【海の日企画】|おぼれたら浮いて待つ

水難事故で亡くなる人のほとんどが服を着たままという。そんな事故への対処法として「浮いて待て」という動作が注目されている。「自らの命を救う行動」がとれるようにしよう。

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命を守る合言葉 「浮いて待て」


撮影/比嘉 秀明

命守る術 子どもに伝える

県警によると、県内の水難事故発生件数は全国で最も多く、昨年1年間で85件。死亡・行方不明者数は43人に上る。うち29人、約7割が県民だった=グラフ参照。

警察庁の調べでは水難事故死者のほとんどが服を着たままだったことが分かっている。服を着たまま水に落ちたとき、いかに呼吸できる姿勢を確保し、救助に結びつけるかと考えられたのが「浮いて待て」という方法。日本発祥で世界でも広がっている。

その方法を県内で子どもたちに伝えようと普及活動に取り組んでいる久貝裕志さんと仲村翔さんに、その方法をアドバイスしてもらった。

2人は消防隊員でもあり、命が危機にさらされる現場を数多く見てきた経験から「自分の身を守る方法を伝えたい」と、ボランティアで小学校などをまわり、指導している。

「プールで泳げても、服を着たままだと洋服が抵抗になり、うまく泳げず溺れてしまう」と久貝さんは指摘。「『浮いて待て』は、単に洋服を着て泳ぐ方法ではなく、救助が来るまで体力を温存するための浮き方の指導です」と力を込める。


実践し助かった例も

実際に、東日本大震災時に「浮いて待て」を実践した子が助かった。仲村さんが指導した児童の中にも、台風後の海で流された際に授業を思い出して実践し助かった子がいる。陸上にいる友人らもむやみに飛び込まず、浮くものを探して投げ込み、消防が現場に着く前に友人らによって救出されたという事例もあり、活動が救命につながっている。

コロナ禍で講習会がなかなかできない中、本格的なレジャーシーズンを迎え、仲村さんらは危機感を募らせている。「服を着たまま水の事故に遭ったときの助かり方を学校の水泳の授業に取り入れてほしい。教員が指導できるように取り組みたい」と話す。さらに「子どもが溺れる時は大声で助けを呼ぶことができず静かに溺れるので、子どもたちから目を離さないこと。また、慌てて助けに入らず、海のレジャーではライフジャケットを着用することを守ってほしい」と呼び掛けた。



仲村翔さん 宜野湾市消防職員協議会、一般社団法人水難学会指導員


久貝裕志さん 沖縄県ういてまて(着衣泳)普及団体「team LUCCO」、一般社団法人水難学会指導員

 ◆おぼれたら「ラッコ浮き」がきほん 
あわてずにラッコ浮きで浮かんで助けを待とう

「ラッコうき」とは背うきのこと。むねをはって、ゴロリとあおむけにねているポーズ

【ラッコ浮きのポイント】
①あごを上げ、真上を見る
②手は横に広げ、水の上に出さない
③足は軽くのばす
④はいているくつはぬがない!運動ぐつやスポーツサンダルなどの軽いくつをはいていると、足が浮く


 ◆浮くものがあれば、らくに浮ける! 


「ラッコうき」になってペットボトルをもつと、浮きやすくなる

【身につけていると浮くもの】


ウエットスーツ

ライフジャケット


運動ぐつやスポーツサンダル

ランドセル(だくようにもつ)

【身の回りにある浮くもの】


つりざお(おもりを入れたペットボトルをなげる)



クーラーボックス


タッパーなどのみっぺいようき


ペットボトル


うきわ

 ◆およいで助けるのはダメ! 



おとなでも、およいで助けるのはぜったいダメ! いっしょにおぼれてしまいます。助けに入った人もおぼれてしまう事故が全国で毎年のようにおきています

 海に行くときの三つのやくそく 
 1  子どもだけで海に行かない!
 2  遊泳禁止の場所でおよがない!
 3 つりではライフジャケットを着る!



 昨年、水難事故で亡くなった人は交通事故の約2倍! 
【グラフ①】

沖縄県警調べ

 水難事故で亡くなるのは約7割が県民! 
【グラフ②】

水難事故死者の特徴(罹災者別、令和2年)



 大謝名小学校6年生が「浮いて待て」をやってみた! 

【比嘉灯さん】
「浮いて待て」は4年生のときに初めて習い、それから浮けるようになりました。今日は久しぶりにやったけど、すぐできて良かった。自分だけでなく、友達とかが溺れたりしたときは、落ち着いて浮くことや、ペットボトルなど浮くものを渡せるようにしたいです。


【金城胡春さん】
もし溺れたときに「浮いて待て」の方法を知っていると、とても役に立つと思います。洋服を着たまま水に入ると体が重くて動きにくい。慌てず、リラックスしてあごを空に向けるようにするのがコツ。溺れたりしたときはうまくできるといいなと思います。


講師として「浮いて待て」を指導した宜野湾市消防職員協議会の皆さん​
『週刊ほ〜むぷらざ』2021海の日企画
第1772号 2021年7月22日掲載

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