老舗のある豊かさ‐国際通り
 
 ラジオ沖縄でオンエアされている「ゴーゴーダウンタウン国際通り発」。
この番組は、国際通りにもっと地元の足が戻ってきて欲しいという願いを込め、通りで店舗を営む２代目の皆さんと企画してスタートした番組だ。今年で15年を迎える長寿番組になった。ウィークディの月曜日から金曜日の18時25分から５分間。ちょうど帰宅の車で聞いてくださっている方も多い。店舗の話題をはじめ、いろいろな方に国際通りの思い出を伺ったり、観光客の皆さんに通りの感想を聞いたり、自由なスタイルで国際通りを楽しむ番組になっている。
情報を頂いたら出かけて行ってお話を聞く。突然のインタビューもよくある。ウチナーンチュの足が遠のいたのでは？とよく聞かれることもあるけど、そんなことはない。街でインタビューすると、今でも行きつけの店舗があったり、市場に出かけたり、映画館や本屋さんに行くと口々に言う。以前、国際通りでサンゴと貴金属のお土産屋さんを50年以上営んでいた85才になる母も、モノレールで週３回は国際通りに行く。血圧の薬をもらいになじみの病院（お医者さんも70才台で現役）に行ったり、友人の店に顔を出したり、模合をしたり。餅を買うだけでも市場に行く。通りで働く人と声を掛け合うだけで元気になるらしい。


着物姿の中西ご夫妻

番組を作るきっかけになったのは通り会の理事をされている十文字屋呉服店の中西久治さんの「昔ながらのお客さんに加えて若い世代もどんどん街にきて欲しい」の一言だった。大正元年創業で今年107周年を迎える十文字屋呉服店の歴史は戦前から戦後につながる国際通りの貴重な資料になっている。大女将と中西ご夫妻、おいしいお茶を出して下さる店員さん。畳間の奥に見える竹林が風流だ。そして通り沿いのショーウインドーには四季折々折の着物。豊かな気分になる。この時期は浴衣や小物、草履が店頭を飾っています。


着物姿でお迎えの若女将


この季節は浴衣がずらり




大城哲さん。着ているのは琉球絣の上布。そばにかけられているのは、大城さんが昨年制作した絣

高校の同級生の大城哲（さとる）さんは琉球絣（かすり）の職人で絣の専門店「おおき屋」の２代目。看板娘のおばさんはいつもニコニコと対応してくれる。おおき屋も開店55周年を数え店内には県内各地の織りや染めの反物から小物までそろっている。哲さんは、伝統の絣を使った革製品の小物を制作したり、草木染の風合いのいいストールやTシャツも作っている。大量生産ではない作品のような商品は、心を込めた贈答品にもお勧めだ。


かすりを使ったアイテム（ネクタイ、袱紗、名刺入れ）



創業61年を迎える山田宝石の山田博孝さんはジャズバンドでギターもされている。店内には30年以上提供しているミス沖縄の王冠も飾られていて、写真を撮られるお客さまも多いそうだ。かぶってみてもいいですよ、とジョーク交じりに笑顔で話す山田さんは控えめで誠実な人柄がにじみ出る。現在は２代目店長として夫婦で店舗を切り盛りされている。


山田博孝さんと私


ミス沖縄の王冠

ホテルラッシュで外国からの観光客でにぎわっている喧騒（けんそう）の国際通りに静かに存在する老舗。
「ずっと昔から、親の代からその場所にある」というそのたたずまいは間違いなく豊かな文化を生み出している。


１９５０年代、国際通りで「ほんむら堂」の前身「山田宝石　支店」を営む母と叔母


中西久治
十文字屋呉服店代表取締役（五代目）
国際中央通商店街振興組合理事長
玉川大学学友会沖縄支部長
茶道裏千家淡交会沖縄支部青年部育成委員会副委員長
茶道裏千家青年部九州ブロック相談役
https://www.facebook.com/jumonjiyagofukuten/
https://www.instagram.com/jumonjiya10/?hl=ja

大城哲
おおき屋代表（二代目）絣職人
琉球絣事業協同組合役員 かすり工房五代目
日本工芸会正会員
国際通り中央会理事
https://www.facebook.com/ookiya/

山田博孝
山田宝石（二代目）店長
還暦ジャズバンド ギター担当
https://www.facebook.com/yamadajewelry/
https://www.instagram.com/yamadahouseki/