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COLUMN

金城真知子

2023年3月29日更新

法事で感じた孫嫁の罪悪感「地域との調和」が大切な親世代|金城真知子さんのコラム

3人の子育てワーキングママ金城真知子が「ホッとする沖縄時間vol.87」をつづります。

ここ数年の私は、沖縄の伝統行事が「苦手」になっていました。
過去には1000話以上もストーリーにするほど、沖縄の風習がとても大好きだったはずなのに、、、
女性だから? 母親だから? 長男嫁だから?

今回のコラムは99歳のお婆ちゃんの大往生を通して、お葬儀の流れの中で感じた「心のモヤモヤ」を「罪悪感」と「地域との調和」いうキーワードでお伝えします。

(狭い沖縄。特定の誰かや沖縄の風習を否定するわけではないことを、どうかご理解ください)


〜〜〜 孫嫁もやるべきなのか 〜〜〜

同居のお婆ちゃんのお葬儀。
長男のお義父さんが喪主となり、叔父さん叔母さん(お義父さんのご弟妹)が中心になって、葬儀の段取りが決められていきました。

ちなみにお義父さんは5人兄弟で皆さん沖縄在住。
近所に家を構えている親族も多く、仲が良くてチームワークも抜群なご兄弟です。

年中行事や地域の方とのつながりをとても大切にしていて、いとこや親族も集まるたびににぎやかな「これぞ沖縄の親族像」と思えるすてきなご家庭なんです。

ちなみに、私たちは実家の建て替えタイミングで一緒に暮らし始めたので、お婆ちゃんとの同居は2年くらいという環境。

この地域の風習や、細かなことを知らないため、
お葬儀の準備の時には
「手伝えることがあれば教えてくださいね」
「この日は仕事が入っていますが、休んだ方がいいんですか?」など、
いろいろと質問していました。

でも、周りの親族から見ると、同居している孫嫁なんだし、
「あなたがもっと主体的に動くべきでしょ」という印象だったかもしれません。

少しだけ、冷ややかな空気をうまくつかみ取れないまま、

なんだかモヤモヤ・ザワザワした後ろめたさを残し、
お葬儀の準備1日目が終わっていきました。




〜〜〜 自分を攻める声 〜〜〜

今までの年中行事は、
仕事や子育てを優先的にすることができていた私。

今回いざ頑張ろうと思っても、
すぐに法事料理が作れるわけもなく、
親族の食事を準備できるわけでもない。

お焼香に来てくださる地域の方々の顔も関係もわからない。

出棺までの数日間。
お通夜の日々も、家の中に居場所がない気がして
待機している時間が、どんどん苦しくなってきました。

休んでしまった分、どんどんたまっていく仕事。
何時間か抜けて、自分の部屋で仕事をしている間にも
法事のことが気になってしまう。

法事の場に行くと、進まない仕事の事が気になってしまう。
(はぁ、もどかしい。。。)


おばちゃんたちが集まっているみんなのために
手料理やさまざまな食材を持ってきてくれるたび、

ありがたい気持ちで受け取るどころか、
「ここまでやれてない私はダメなのかな」って
罪悪感の沼にハマってしまう。


「本家の嫁は、全然何もしないさ〜」
「結婚して15年もたつのに、何やってきたのかね」

誰からも言われていないのに、
自分自身の内側から攻める言葉が突き刺さる。

そんなモヤモヤした
苦しい時間は、何日も続きました。

出来ていない申し訳なさと、
何日も仕事が進んでいない焦り。

どんどん気持ちが沈んでしまっていたのです。


〜〜〜 気持ちが爆発してしまった夜に 〜〜〜

告別式と初七日が終わった夜。

親族がみんな帰った後に
翌日のお返し品を1セットずつ準備しながら、

お義父さんとお義母さんに
「オバちゃんたちはこんなにもアレコレやってくれているのに、
私は、あんなに手伝えなくて、ごめんなさい」

苦しい胸の内を打ち明けました。


出来る分で良いんだよって言われても、
何人いらしゃるのか、いつ来るのか分からないお客さんのために、
時間を割いて、たくさん準備をして待ってるって、正直シンドいですって。。。


お義父さんたちも少し疲れた表情で、

「地域の人との関わりもあるし、お世話になった人も多いから、
せっかく自宅まで来た人に『何もないから帰ってね』っては言えないしねー」と話ながら、

昔はもっと大変で、前よりは簡略化されてきた事。大変なのは分かるから、あなたたちの時代は、やりやすいように変えていったらいいんだよと、話してくれました。

いろいろはなしていく中で、お義父さんたちも
私とはまた違う部分で「しんどいな」と感じているいることが、
たくさんあるんだろうなと思えたのです。




〜〜〜 変えたくても、変えられないもどかしさ 〜〜〜

仏壇行事や年中行事の多い沖縄。

やってる本人が、正直大変だと感じていても、
周りとの「お付き合い」や「地域との調和」を大切にしているからこそ
急には変えられないもどかしさがあるんだなーと感じた今回のお葬儀。


今、どれだけ働き方改革が進んでいても
「伝統」や「しきたり」が、変化していかないのは
当の本人が「地域とのつながり」を大切にしているから。

新参者の「嫁」には、
仕事や子育てよりも「地域の人が優先」とは考えられなくって、
モヤモヤしていた時間。

親しい親族との関わりは大切にしたいからこそ
ハマってしまった罪悪感の沼。

自分自身の小さな感情を
整理するのが、大変だったこの2カ月間。

はぁ、、、両親やおじちゃんオバちゃんに比べると
メインで法事に関わったわけでもないのに、正直めちゃくちゃ疲れました。


来るかどうかの予想が難しいお客さまに準備した
お返し品の「巻きずし弁当」。

翌日、大量に残った いなりずしを食べながら、
これからのお葬儀の形を何度も何度も考えた
「うちなー孫嫁」の小言でした。




金城真知子さんのコラム[カテゴリー:子育て 大人女子を応援]



 

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フリーパーソナリティー
沖縄県南城市出身。琉球大学卒業。
ラジオパーソナリティー・ウェディング司会者・スマイルトレーナー®
FM沖縄『ちゅら玉・浪漫紀行』ではライター兼ナレーターを担当。
沖縄の自然や習慣・格言などを題材にウチナーグチを交えて紹介。
本コラムでは、沖縄で暮らす3児のワーキングママとして、家族の日常を綴っていく。

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