老後資金が足りなくなるのはなぜ?|マネーのヒント!

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老後資金の不安というと、「いくら必要か」「年金で足りるのか」といった金額に目が向きがちです。しかし、実際に家計を崩す原因は単純な貯蓄額ではありません。本当に怖いのは「出費が重なるタイミング」を想定していない事です。(文/岡田有里・ファイナンシャルプランナー)

見落としがちな「支出の重なり」

なぜ「重なり」が危険なのか

現実に起きやすい「重なり」の代表的なパターンを見てみましょう。
・自宅のリフォームと配偶者の入院が同時に発生
・自分の医療費が増え始めた時期に親の介護が始まる
・子供の結婚、住宅取得を支援
・親族の葬儀、仏壇、墓に関する費用(断りにくい)

例えば、自宅のリフォームに200万円かかるとします。単発であれば、貯金や計画的な取り崩しで対応できる人も多いでしょう。しかし、同じタイミングで配偶者の入院が重なり、子どもの結婚支援で100万円が必要になったらどうでしょうか。

どれも珍しい支出ではありませんが、同時期に発生すると300万円規模の資金が短期間に出ていくことになります。このような“支出の重なり”が資金不足につながります。つまりリスクは金額ではなく、「予想していなかった重なり」にあるのです。

今すぐできる現実的な対策

“重なりリスク”に備えるため、ポイントを三つ押さえておきましょう。

一つ目は、「予想範囲で時系列に並べる」ことです。老後の10年、20年をイメージし、「この時期に修繕」「この頃に医療費が増えそう」といった形で大まかに書き出します。

支出の流れの全体像をつかむことが目的なので、左上表の「よくある老後の特別出費例」を参考にして、予想される「支出の重なり」を視覚化する表=右上=に記入してみましょう。

二つ目は、「資金のクッションを持つ」ことです。生活費の1~2年分を預金など使いやすい形で確保しておくだけで、重なった支出にも冷静に対応できて、精神的な安心感も大きく変わります。

三つ目は、「すべてに応えないと決める」ことです。特に家族関連の支出は際限がなくなりがちです。あらかじめ「ここまで」と線を引いておくことが、自分の老後を守ることにつながります。

老後の安心は「予測力」で決まる

老後の不安は、「いくらあれば安心か」という問いだけでは解決しません。考えるべきは「どんな状況でも崩れないかどうか」です。特別支出は避けられませんが、「いつ」「どのくらい重なるか」を意識して備えるだけで、対応力は大きく変わります。

もし今まで、老後資金を“総額”だけで考えていたのであれば、ぜひ1度「重なり」という視点で見直してみてください。それだけで、将来の見え方は大きく変わるはずです。

資産形成は金額を積み上げる事ではなく、崩れない構造を作る事でもあるのです。

執筆者プロフィル

おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業をへて沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動

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毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」マネーのヒント!(26)
第2021号(2026年5月7日発行)より転載