定年後も働く?|マネーのヒント!

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「定年退職後も働いたほうがいいのでしょうか」。マネー相談で、最近よく聞かれる質問です。長年働いてきたので、定年後はゆっくりしたい。雇用延長しても給与が下がるので、旅行や趣味を楽しみたい。そう考えるのは自然なことでしょう。一方で、「年金だけで生活できるのだろうか」という不安を感じる人も少なくありません。

老後の働き方を考えるときに大切なのは「感覚」ではなく「数字」です。実際の家計をもとに考えると、働くかどうかが老後資金にどれくらい影響するかが見えてきます。(文/岡田有里・ファイナンシャルプランナー)

感覚でなく数字で考える

一つのモデルケースで考えてみましょう。夫婦ともに58歳、夫は60歳で定年を迎えます。老後期間は60歳から90歳までの30年間とします。60歳時点の銀行預金は500万円、退職金は1千万円です。年金は65歳からは夫婦合わせて月20万円を受け取る想定で、生活費は月26万円とします。

60~65歳、夫婦で働くと

夫は再雇用で月15万円、妻はパートで月10万円の収入があるとします。世帯収入は月25万円となり、生活費との差は月額1万円の不足ですので、5年間で約60万円の不足になります。

66~69歳は妻のみパートに

夫は退職するが、妻はパートを続けて月5万円の収入があるとします。夫婦の年金が月20万円支給され、世帯収入は月25万円となり、この期間も生活費との差は月1万円ですので、5年間で約60万円の不足になります。

70歳以降は年金生活

70歳以降は夫婦ともに仕事をやめ、収入は年金のみとなります。年金が月20万円、生活費が月26万円なので、毎月6万円の不足ですので、71歳から90歳までの20年間で約1440万円の不足になります。

生活費の不足だけを合計すると、老後30年間の不足額は約1560万円になります。

生活費以外に特別出費も必要

しかし、老後のお金は生活費だけではありません。車の買い替えや住宅の修繕、家電の更新など、まとまった支出もあります。例えば、車の購入費として200万円、住宅修繕や家電の買い替えに200万円、趣味や旅行の費用として100万円を見込むと、特別支出は合計500万円です。

生活費の不足1560万円と特別支出500万円を合わせると、老後に必要なお金は約2060万円になります。

60歳時点の手元資産は退職金1千万円と60歳時点の預金500万円を合わせて1500万円ですので不足額の2060万円と差し引きすると、老後資金は約560万円不足する計算になります。

月数万円が大きな差に

ここで注目したいのが60歳以降の夫婦の労働収入です。夫は5年間の延長雇用で900万円、妻は60歳から65歳まで月10万円、65歳から70歳まで月5万円働くことで、合計900万円の収入になり、退職後の夫婦の収入は合計1800万円です。もし定年後働かず、この収入がなければ老後の不足額は先に計算した560万円と合わせて2360万円に膨らむことになります。

月数万円の収入は、現役世代ではそれほど大きく感じないかもしれません。しかし老後の家計では事情が違います。わずかな収入でも、それが長い年月続けば家計を大きく支える力になります。定年後に働くかどうかは、健康状態や家庭の事情によっても変わります。ただ、「働きたいかどうか」だけでなく、「家計にどんな影響があるのか」を数字で確認しておくことは大切です。老後の選択肢を広げるためにも、1度家計の数字を整理してみてはいかがでしょうか。

執筆者プロフィル

おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業をへて沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動

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第2016号(2026年4月2日発行)より転載