[肺がん②]進化し続ける薬物療法 新薬の登場で生存期間が延長|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳

家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。今回は肺がんの2回目として薬物療法にスポットを当て、国立病院機構沖縄病院の内科部長で肺がん副センター長を務める知花賢治先生に話を聞きます。(取材/堀基子・ライター)

チーム医療で最善の治療を

Q1 どんな薬で治療するの

肺がんの治療薬には、細胞傷害性抗がん薬、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあります。以前は細胞傷害性抗がん薬のみの使用でしたが、2000年代に分子標的治療薬、2010年代に免疫チェックポイント阻害薬が登場し、多くの治療を提供できるようになりました。

細胞傷害性抗がん薬は従来から用いられている薬剤で、がん細胞を直接攻撃します。分子標的治療薬は、細胞傷害性抗がん薬ががん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼしていたのに対して、がん細胞を標的として治療するため、より副作用が少ないとされています。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫細胞からの攻撃を逃れる仕組みを解除し、免疫細胞のがん細胞への攻撃を回復させることで治療効果を発揮します。これらの薬剤により、肺がんの5年生存率が向上してきました。

Q2 どんな場合に薬物治療するの?

これまで肺がんの薬物治療というと、手術が困難な方に対して単独で行うか、放射線治療と併用して行うことが多かったのですが、近年は手術前や手術後に免疫チェックポイント阻害薬と細胞傷害性抗がん薬を併用する治療を行うケースが増えました。

年々新しい薬剤や新しい治療スケジュールが使用されるようになり、治療の選択肢が増える中、個々の患者さんで最適な治療が異なるうえに、新しい薬剤にはこれまでにあまり見られなかった副作用が出現することがあり、以前よりも高度で専門的な知識が求められます。当院では多くの医師、がん薬物療法認定看護師、がん薬物療法認定薬剤師などが肺がん患者に対応し、副作用マネージメントなども含めた最善の治療を行うようにしています。

Q3 通院治療もできる?

厚生労働省はがん患者に対し治療と就労の両立を支援しています。当院では免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬の通院治療をしている方もおられ、働きながら治療できる時代になってきました。肺がん治療と就労の両立支援の充実を国も推奨しており、当院でも取り組んでいます。

細胞傷害性抗がん剤に加え、2000年代からは分子標的薬、2010年代からは免疫チェックポイント阻害薬が普及し、治療成績が向上することで、年々、肺がんの生存期間が延長してきています


次回は、沖縄病院の放射線治療科の医長として肺がんの治療にあたっている橋本成司先生に、肺がんの放射線治療について聞きます。

教えてくれた人

知花賢治/独立行政法人 国立病院機構 沖縄病院 内科部長 肺がん副センター長
ちばな・けんじ/医師。日本呼吸器学会指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本がん治療認定医機構認定医、日本肺癌学会暫定指導医、日本アレルギー学会専門医。Best Doctors in Japan 2024-2025を受賞。モットーは「自分や家族の治療に当たるつもりで患者さんと向き合う」。

お問い合わせ

独立行政法人 国立病院機構 沖縄病院
沖縄県宜野湾市我如古3ー20ー14
電話 098(898)2121


毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(142)
第2022号(2026年5月14日発行)から転載